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銀英伝人物評46<ニコラス・ボルテック>

2004年08月24日 11時26分26秒 | 銀英伝人物評
フェザーンの高官。最初は自治領主の補佐官、後に帝国駐在高等弁務官となった。ルビンスキーの腹心ではあったが、ボルテックにはルビンスキー自身の野心を話していないので、地球教と袂を分かつにはこの男の存在は邪魔だったのかもしれない。

高等弁務官となってからは本国との連携で皇帝誘拐計画を進めるが、実行に移す前にこのことをラインハルトに喋ってしまったため、フェザーンがラインハルトに貸しを作ることができなくなった。これは原作・OVAどちらもわかりづらい話に見えたが、つまり、あらかじめ誘拐の計画をラインハルトが知っていれば計画の成否もその後の処理も、彼の思うままにできるわけで、フェザーン外交の主導権を握れるからだろう…たぶん。
もし、誘拐実行後にラインハルトが真相を知った場合は、はじめからフェザーンに主導権を握られている形になり、しかもラインハルトの都合がいいようにフェザーンが状況を整えてやった(皇帝の存在は邪魔だったので)ことになるから、心理的な面も含めてラインハルトに貸しを作ることができた…はず。

計画を先に喋ってしまったことが大きな失敗だったと気付いたボルテックは、開き直ってラインハルトの覇業を助けて、自治領主の地位につけてもらうことにした。無論、この魂胆は周囲の人間にばればれで、ビッテンフェルトからは露骨に売国奴扱いされる。
具体的にラインハルトに何をしてやったかというと、ラグナロック作戦発動時、あたかも帝国軍は全軍がイゼルローン回廊へ向けて進発したような報告を本国に送り、フェザーン侵攻直前までその征路を隠すことに成功した。

帝国軍がフェザーンを制圧した後、代理総督の座につき、一応ボルテック自身の計画は成功したかに見えた。しかしラインハルトの意図は、祖国を売った人間としてフェザーン人の憎悪をボルテックに集中させることと、それによる統治の失敗であった。ちなみにラインハルトがフェザーンへの遷都を考えたのはフェザーンに来てからであるので、当初の意図はボルテックがフェザーン統治に失敗した後は首をすげかえて自分の腹心をここに配することにあった。

ラグナロック作戦後、ボルテックは何度か登場するがセリフは一切なし。新帝国歴2年、パーティーの席上でルビンスキーが計画した爆弾テロに遭い負傷。しかもテロの共犯として逮捕までされた。この逮捕を行ったのはラングだが、ルビンスキーに依頼されてのこと。そして獄中で毒を飲んで(おそらくルビンスキーの差し金に毒を盛られた)死んでしまった。
その後、フェザーンにある彼の邸宅はマリーンドルフ親子の住居となった。