もんじゅの運転が再開された。
1995年12月にナトリウム漏れ事故で止まってから
実に14年以上もたっている。
*** *** ***
もんじゅ運転再開 14年5カ月ぶり、8日臨界
2010年5月6日午後3時41分 福井新聞
日本原子力研究開発機構は6日午前、
1995年のナトリウム漏れ事故で停止していた
高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉を起動し、
14年5カ月ぶりに運転を再開した。
8日には原子炉で核分裂が連続して起きる臨界に達する見通し。
性能試験(試運転)の第1段階となる炉心確認試験は
7月下旬まで続けられる。
核燃料サイクルの中核と位置づけられる高速増殖炉開発が再始動。
国は2050年ごろの実用化を目指すが、技術の確立やコスト面で
大きな課題を抱え、実現するかは不透明だ。 …中略…
もんじゅは初臨界から1年8カ月後の1995年12月、
2次系配管の温度計さや管が折れ、ナトリウムが漏れた。
その後、現場映像を意図的に編集したビデオ隠しや虚偽報告、
報告遅れが次々と発覚し、「隠ぺい体質」と批判を浴びた。
05年から改造工事を行ってナトリウム漏れ対策が強化されたが、
その後も漏えい検出器の誤作動が相次ぐなどして
運転再開はたびたび延期されてきた。 …後略…
(全文は以下URLからどうぞ:
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news0/index.php?page=article&storyid=21301&storytopic=7)
*** *** ***
「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故は
珠洲市長選無効訴訟の高裁判決がでる直前におきた。
当時わたしは珠洲(すず)にいて、
珠洲市長選無効訴訟判決についての各紙の記事を整理した。
原発立地の問題がからんだ珠洲市長選挙で
選挙無効判決がでたとあって、地元はもちろん
全国でもニュースになっていた。
地元紙は全面をつかい
1993年珠洲市長選挙の無効判決について報道していたけれど、
全国紙では「もんじゅ」の事故とページをわけあったりもしていた。
そんなわけで偶然、手もとに保存してあった
95年当時の「もんじゅ」事故の新聞報道のなかから、
大阪から届いた記事をご紹介しよう。
朝日新聞(1995年12月11日夕刊)1面
次の記事は記憶に刻みなおしたいと、記事下に本文をタイプした。
朝日新聞(1995年12月11日夕刊)12面
***** ***** *****
もんじゅ配管部 ダクトに穴 床に「雪」 ベテラン職員驚く
「いままで見たこともない光景が広がっていた」―。
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖原型炉「もんじゅ」
(福井県敦賀市)で起きたナトリウム漏れ事故で、11日未明、
立ち入り調査で現場に入った福井県と敦賀市の原子力安全対策課の
職員が驚いた。配管室に入った四人は全員、原発の専門家。
さまざまな事故、トラブルの度に現場を踏んできたベテランでさえ、
目を疑うばかりのすさまじさだった。
県と同市の両原子力安全対策課の職員各二人は、
同日午前三時半ごろから約三十分間、ナトリウムが漏れた
二次系冷却材配管室に入った。
同九時から記者会見した同市原子力安全対策課の笹岡自勝主幹と
松永隆司原子力係長の二人によると、透明なビニール状の
防護服と顔全面を覆うフイルター付きの防塵マスクをつけて
入ったが、内部は鼻を突く異臭がし、配管室全体に薄く
雪が積もったような状態になっていた。笹岡主幹は
「今までに見たこともないような状況だった」。
ナトリウムが漏れた場所と見られた温度計の設置個所は、
原子炉格納容器とのコンクリート遮へい壁から約五十㎝ほどの
配管側面。ナトリウムが漏れ出し、固まった跡があった。
呉原子力安全対策課の岩永幹夫・技術主任は
「入った瞬間、甘いような、酸っぱいような異臭が
鼻を突いた」。床は酸化ナトリウムの色で白っぽく、
ぬるぬるしていた。滑らないよう注意しながら歩いた。
「色が付いていれば、さながら泥水をぶちまけたような
光景だった」。ナトリウム化合物がたい積した場所に
近づくにつれて(余熱で)暑くなり、汗が噴き出した。
「動燃の撮影したビデオを見ていたが、それは床部だけ。
上部の様子は初めて見た。想像はしていたが、
直径九十㎝大の換気用のダクトにぽっかりと穴が開き、
吸入口は目詰まりしていた。温度は一千度を超えていただろう。
すさまじいに尽きる」と話した。
***** ***** *****
14年5カ月ぶりの運転再開。
ナトリウム漏れ対策や組織の隠ぺい体質が改善された結果なのか。
それとも地元の・全国の・現場の人びとの事故の記憶がうすれた結果か。
あるいは、地域社会が急速に疲弊しつつある帰結…?
発電しながら猛毒のプルトニウムをふやす
「高速増殖炉の名前が『もんじゅ』(文殊菩薩=もんじゅぼさつ)や
『ふげん』(普賢菩薩=ふげんぼさつ)だなんて、ふざけてるよ」。
仏像好きのシューさんが、先日そう言って口を尖らせていた。
もっともだと思う。
1995年12月にナトリウム漏れ事故で止まってから
実に14年以上もたっている。
*** *** ***
もんじゅ運転再開 14年5カ月ぶり、8日臨界
2010年5月6日午後3時41分 福井新聞
日本原子力研究開発機構は6日午前、
1995年のナトリウム漏れ事故で停止していた
高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉を起動し、
14年5カ月ぶりに運転を再開した。
8日には原子炉で核分裂が連続して起きる臨界に達する見通し。
性能試験(試運転)の第1段階となる炉心確認試験は
7月下旬まで続けられる。
核燃料サイクルの中核と位置づけられる高速増殖炉開発が再始動。
国は2050年ごろの実用化を目指すが、技術の確立やコスト面で
大きな課題を抱え、実現するかは不透明だ。 …中略…
もんじゅは初臨界から1年8カ月後の1995年12月、
2次系配管の温度計さや管が折れ、ナトリウムが漏れた。
その後、現場映像を意図的に編集したビデオ隠しや虚偽報告、
報告遅れが次々と発覚し、「隠ぺい体質」と批判を浴びた。
05年から改造工事を行ってナトリウム漏れ対策が強化されたが、
その後も漏えい検出器の誤作動が相次ぐなどして
運転再開はたびたび延期されてきた。 …後略…
(全文は以下URLからどうぞ:
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news0/index.php?page=article&storyid=21301&storytopic=7)
*** *** ***
「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故は
珠洲市長選無効訴訟の高裁判決がでる直前におきた。
当時わたしは珠洲(すず)にいて、
珠洲市長選無効訴訟判決についての各紙の記事を整理した。
原発立地の問題がからんだ珠洲市長選挙で
選挙無効判決がでたとあって、地元はもちろん
全国でもニュースになっていた。
地元紙は全面をつかい
1993年珠洲市長選挙の無効判決について報道していたけれど、
全国紙では「もんじゅ」の事故とページをわけあったりもしていた。
そんなわけで偶然、手もとに保存してあった
95年当時の「もんじゅ」事故の新聞報道のなかから、
大阪から届いた記事をご紹介しよう。
朝日新聞(1995年12月11日夕刊)1面
次の記事は記憶に刻みなおしたいと、記事下に本文をタイプした。
朝日新聞(1995年12月11日夕刊)12面
***** ***** *****
もんじゅ配管部 ダクトに穴 床に「雪」 ベテラン職員驚く
「いままで見たこともない光景が広がっていた」―。
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖原型炉「もんじゅ」
(福井県敦賀市)で起きたナトリウム漏れ事故で、11日未明、
立ち入り調査で現場に入った福井県と敦賀市の原子力安全対策課の
職員が驚いた。配管室に入った四人は全員、原発の専門家。
さまざまな事故、トラブルの度に現場を踏んできたベテランでさえ、
目を疑うばかりのすさまじさだった。
県と同市の両原子力安全対策課の職員各二人は、
同日午前三時半ごろから約三十分間、ナトリウムが漏れた
二次系冷却材配管室に入った。
同九時から記者会見した同市原子力安全対策課の笹岡自勝主幹と
松永隆司原子力係長の二人によると、透明なビニール状の
防護服と顔全面を覆うフイルター付きの防塵マスクをつけて
入ったが、内部は鼻を突く異臭がし、配管室全体に薄く
雪が積もったような状態になっていた。笹岡主幹は
「今までに見たこともないような状況だった」。
ナトリウムが漏れた場所と見られた温度計の設置個所は、
原子炉格納容器とのコンクリート遮へい壁から約五十㎝ほどの
配管側面。ナトリウムが漏れ出し、固まった跡があった。
呉原子力安全対策課の岩永幹夫・技術主任は
「入った瞬間、甘いような、酸っぱいような異臭が
鼻を突いた」。床は酸化ナトリウムの色で白っぽく、
ぬるぬるしていた。滑らないよう注意しながら歩いた。
「色が付いていれば、さながら泥水をぶちまけたような
光景だった」。ナトリウム化合物がたい積した場所に
近づくにつれて(余熱で)暑くなり、汗が噴き出した。
「動燃の撮影したビデオを見ていたが、それは床部だけ。
上部の様子は初めて見た。想像はしていたが、
直径九十㎝大の換気用のダクトにぽっかりと穴が開き、
吸入口は目詰まりしていた。温度は一千度を超えていただろう。
すさまじいに尽きる」と話した。
***** ***** *****
14年5カ月ぶりの運転再開。
ナトリウム漏れ対策や組織の隠ぺい体質が改善された結果なのか。
それとも地元の・全国の・現場の人びとの事故の記憶がうすれた結果か。
あるいは、地域社会が急速に疲弊しつつある帰結…?
発電しながら猛毒のプルトニウムをふやす
「高速増殖炉の名前が『もんじゅ』(文殊菩薩=もんじゅぼさつ)や
『ふげん』(普賢菩薩=ふげんぼさつ)だなんて、ふざけてるよ」。
仏像好きのシューさんが、先日そう言って口を尖らせていた。
もっともだと思う。