湘南ゆるガシ日和 ・・・急がず、休まず

湘南でゆるゆら暮らしココロ赴く先へガシガシ出かけるライター山秋真が更新。updated by Shin Yamaaki

愛のわからないひとへ:『すべては海になる』

2009-12-30 21:29:03 | 本/映画/音楽/番組
すこし時間がたってしまったけれど、
映画『すべては海になる』の試写会にいく機会があった。



「愛のわからない人へ」という本棚からすべてが始まるこの映画は、
やっぱり猫が好き」や「すいか」の脚本をかいた、
作家でTVディレクターの山田あかねさんが原作・脚本・監督を手がける。

その「愛のわからない人へ」という本棚を担当しているのが、
佐藤江梨子さん演じる27歳の書店員・夏樹。
この棚に、書店を訪れる人びとが引きよせられるように集まる。

もうひとりの主役・柳楽優弥さんが演じるのは
「17歳で死にたいと思ったことのない奴なんて、
よほどの幸運の持ち主か、ものすごいバカのどっちかじゃないの?」
と吐きすてるようにいう17歳の光治。
学校ではイジメにあい、家は崩壊中で、本を読むことが救いの高校生。

  それぞれの場で生きづらさを抱える二人の出会いは
  書店だった。心に刺さる言葉は、痛くて、やさしい。
                            (パンフレットより)

いったいどんな物語になるのやら? 
とおもって観てみたら、これがけっこう面白かった。

まだ公開前でもあり詳細ははぶくけれど、わたしが気にいった点は、
勧善懲悪・因果応報的な悲劇のヒロインとしないところ。
その善悪の基準は誰がつくったの? わたし同意したっけ? という思いもあるし。

パンフレットをよくみると、上野千鶴子さんの言葉があったので、以下にご紹介。

   「すべては海になる」というタイトルはシンボリックだ。
   生まれる前、そして死して後、すべてをのみこんで海がある。
   いつかはかならず「すべては海になる」、だが
   それがたった今でなくてもよい。
   そこから生へと引き返しても、今ある困難が少なくなるわけではない。
   この作品の結末がアンチクライマックスでなかったら、
   わたしは夏樹と同じようにつぶやいていたことだろう、「ウソつけ」と。
   “ポスト援交世代のリアル”を描き出すのに、この作品は成功した。

せっかくだから「愛のわからないひとへ」夏樹セレクト・ブックリストも紹介しておこう。

夜と霧
    (フランクル みすず書房)
たった一人の反乱
    (丸谷才一 講談社)
オン・ザ・ロード
    (ジャック・ケルアック 河出書房新社)
男流文学論
    (上野千鶴子、富岡多恵子、小倉千加子 筑摩書房)
あなた自身の生を救うには
    (エリカ・ジョング 新潮社)
<魂>に対する態度
    (永井均 勁草書房)
ヘルター・スケルター
    (岡崎京子 祥伝社)
ガープの世界
    (ジョン・アービング 新潮社)
まだ見ぬ書き手へ
    (丸山健二 朝日新聞社)
エロティシズム
    (ジョルジュ・バタイユ 二見書房)
素粒子
    (ミシェル・ウェルベック 筑摩書房)
エヴァンゲリオン研究序説(新版)
    (兜木励悟 データハウス)

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