さいわい梅雨の晴れ間となった6月19日、
ドキュメンタリ映画『祝の島』のロードショーがはじまった。
晩には、公開記念イベント
「黒田征太郎100画撩乱ペインティング」も。
「初監督作品の公開初日」は、人生に一度きり。
これはやっぱり、ともにお祝いさせてもらいたい。
そう思って東中野へ出かけていった。
改札をでたところで馴染みの顔にぐうぜん会い、
一緒に会場へいくと、なんと一番のり。
せっかくだから黒田さんのライブペインテイグを
間近でみてみたいと、最前列中央にすわる。
ステージ上の机に何色ものクーピーペンシル。
ほかにも数枚の白いタオルと、
机の後ろにたくさんの厚紙が用意されていた。
黒田さんは、これで絵を描くみたい。
予定時刻を少しまわった頃、ハナブサ監督と黒田さん、
上々颱風(しゃんしゃんたいふーん)の
白崎映美さんが姿をみせた。白崎さんはスペシャルゲスト。
ハナブサさんの話のあと、
白崎さんの歌、
『祝(ほうり)の島』撮影チームが歌う磯節、
プロデューサーの本橋成一さんの話、
祝島から駆けつけたTさん、Hさん、Nさんの
トークや歌など、会場はにぎやかだ。
その間、黒田さんは黙々と紙にクーピーペンシルを走らせ、
ときに指でそれをのばし、こすり、描いてゆく。
1枚描きおわると黒田さんは片手で絵を会場にみせる。
お弟子さんと思しき若衆が素早くそれを受けとり、
羽ブラシで表面をさっとぬぐってから、壁に展示。
これが、延々とつづく。
…おもしろい。退屈しない。それどころか、目を離せない。
なんだかすごい人だぞ。
それにしても、どこかで聞いたことがある名前のような?
イラストとか絵とかの場でなくて。
うーん、でも、どこで???
…ここだった(↓)。
*****
『血と骨』などの小説でバイタリティーあふれる
登場人物たちの姿を描いてきた梁石日(ヤン・ソギル)さんの
新刊『海に沈む太陽』(2005、筑摩書房)は、
イラストレーター・画家の黒田征太郎さんをモデルにした青春小説。
高校を中退して船乗りになった輝雅は
軍事物資を積んで戦争中の東南アジアへ。
船を下りてからもさまざま職を転々とするが、
やがて絵を描きたいという情熱に突き動かされ、
ニューヨークへの渡航を夢見る。
戦後の日本の世相を背景に、自分の力で運命を切り
開いていく主人公の姿はパワフルの一言。
黒田征太郎の青春時代として読んでも読み応えがあるが、
それ以上にその生き方が刺激的だ。…
詳しくは以下のURLへ:
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/pickup/interview/yan_s/
*****
なるほど、パワフルな描きっぷりなはず。
会場では、祝島のびわの実や
ハナブサ監督ゆかりの山梨ワインがふるまわれ、
みんな思いおもいに『祝の島』の公開を喜び祝う。
はじめて食す祝島(いわいしま)のびわの実は、
果肉もあつく、瑞々しく、充実の味わい。
…今年も見事に実ったんだ。
祝島の底力と、つながっていこうとするいのちの力をみる思い。
そういえばこの日、
『祝の島』の映像をとおして出会っていた祝島の方々と
思いかげず直接に出会うこともできた。
そのひとり・Tさんは、やはり28年のあいだ原発計画の予定地だった
能登半島の突端・珠洲市にも行ったことがあるといっておられた。
Tさんが珠洲にいった時期、わたしもずっと珠洲にいた。
ニアミスだったのかもしれないし、出会っていたのかもしれない。
『祝の島』の公開記念イベントで出会いなおしというのも嬉しい。
あのころの珠洲には、全国各地からたくさんの人が来ていた。
原発をたてたい人も、たてたくない人も、
それぞれの立場で、さまざまな思惑で、いろんな顔や名前や言葉で。
次から次にやって来るそうした人たちと、
その相手をし受けいれたり拒絶したりする地元の人たちを、
見るとはなしに、でも結果的に見つづけていたので
(同時にわたし自身も見られていたわけだけど)、
原発予定地で計画にあらがう人びとの支柱となる人(たち)の、
人間を見ぬく力を、わたしは信頼している。
そういう祝島の人が、この人を証人として選んだんだ、
そうでなければこの映像は撮れないだろう―。
それが、監督が祝島で撮ってきた映像を初めてみたときの感想。
もちろんそれでなくとも、
原発予定地だった珠洲の苦楽を垣間見てきて
ああいう事態はもう珠洲で終わりにしたいと願っているから、
上関原発計画にあらがいつづける祝島へのシンパシーは強い。
そのなかで特に『祝の島』をわたしが応援するのは、
監督が気持ちのいい人だからというだけでなく
祝島の人(たち)がハナブサ監督を証人に選んだのだろうと思うから。
証人は証言しないと。祝島の声を伝え届けないと。
…誰に?
まだ、祝島を・上関原発計画を知らない人たちに。
…誰のため?
暮らしを脅かされている祝島の人のため、そして同時に、
それは別世界の他人事と思いこまされてきた自分自身のため。
どうぞあなたも、映画をとおして、
祝島の海に・山に・空に・人に、出会って下さい。
叶うなら、祝島の声を、あなたの大切な人たちに伝えてください。
『祝の島』予告編は以下のURL(Our Planet TV)からも試写可能。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/537
ドキュメンタリ映画『祝の島』のロードショーがはじまった。
晩には、公開記念イベント
「黒田征太郎100画撩乱ペインティング」も。
「初監督作品の公開初日」は、人生に一度きり。
これはやっぱり、ともにお祝いさせてもらいたい。
そう思って東中野へ出かけていった。
改札をでたところで馴染みの顔にぐうぜん会い、
一緒に会場へいくと、なんと一番のり。
せっかくだから黒田さんのライブペインテイグを
間近でみてみたいと、最前列中央にすわる。
ステージ上の机に何色ものクーピーペンシル。
ほかにも数枚の白いタオルと、
机の後ろにたくさんの厚紙が用意されていた。
黒田さんは、これで絵を描くみたい。
予定時刻を少しまわった頃、ハナブサ監督と黒田さん、
上々颱風(しゃんしゃんたいふーん)の
白崎映美さんが姿をみせた。白崎さんはスペシャルゲスト。
ハナブサさんの話のあと、
白崎さんの歌、
『祝(ほうり)の島』撮影チームが歌う磯節、
プロデューサーの本橋成一さんの話、
祝島から駆けつけたTさん、Hさん、Nさんの
トークや歌など、会場はにぎやかだ。
その間、黒田さんは黙々と紙にクーピーペンシルを走らせ、
ときに指でそれをのばし、こすり、描いてゆく。
1枚描きおわると黒田さんは片手で絵を会場にみせる。
お弟子さんと思しき若衆が素早くそれを受けとり、
羽ブラシで表面をさっとぬぐってから、壁に展示。
これが、延々とつづく。
…おもしろい。退屈しない。それどころか、目を離せない。
なんだかすごい人だぞ。
それにしても、どこかで聞いたことがある名前のような?
イラストとか絵とかの場でなくて。
うーん、でも、どこで???
…ここだった(↓)。
*****
『血と骨』などの小説でバイタリティーあふれる
登場人物たちの姿を描いてきた梁石日(ヤン・ソギル)さんの
新刊『海に沈む太陽』(2005、筑摩書房)は、
イラストレーター・画家の黒田征太郎さんをモデルにした青春小説。
高校を中退して船乗りになった輝雅は
軍事物資を積んで戦争中の東南アジアへ。
船を下りてからもさまざま職を転々とするが、
やがて絵を描きたいという情熱に突き動かされ、
ニューヨークへの渡航を夢見る。
戦後の日本の世相を背景に、自分の力で運命を切り
開いていく主人公の姿はパワフルの一言。
黒田征太郎の青春時代として読んでも読み応えがあるが、
それ以上にその生き方が刺激的だ。…
詳しくは以下のURLへ:
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/pickup/interview/yan_s/
*****
なるほど、パワフルな描きっぷりなはず。
会場では、祝島のびわの実や
ハナブサ監督ゆかりの山梨ワインがふるまわれ、
みんな思いおもいに『祝の島』の公開を喜び祝う。
はじめて食す祝島(いわいしま)のびわの実は、
果肉もあつく、瑞々しく、充実の味わい。
…今年も見事に実ったんだ。
祝島の底力と、つながっていこうとするいのちの力をみる思い。
そういえばこの日、
『祝の島』の映像をとおして出会っていた祝島の方々と
思いかげず直接に出会うこともできた。
そのひとり・Tさんは、やはり28年のあいだ原発計画の予定地だった
能登半島の突端・珠洲市にも行ったことがあるといっておられた。
Tさんが珠洲にいった時期、わたしもずっと珠洲にいた。
ニアミスだったのかもしれないし、出会っていたのかもしれない。
『祝の島』の公開記念イベントで出会いなおしというのも嬉しい。
あのころの珠洲には、全国各地からたくさんの人が来ていた。
原発をたてたい人も、たてたくない人も、
それぞれの立場で、さまざまな思惑で、いろんな顔や名前や言葉で。
次から次にやって来るそうした人たちと、
その相手をし受けいれたり拒絶したりする地元の人たちを、
見るとはなしに、でも結果的に見つづけていたので
(同時にわたし自身も見られていたわけだけど)、
原発予定地で計画にあらがう人びとの支柱となる人(たち)の、
人間を見ぬく力を、わたしは信頼している。
そういう祝島の人が、この人を証人として選んだんだ、
そうでなければこの映像は撮れないだろう―。
それが、監督が祝島で撮ってきた映像を初めてみたときの感想。
もちろんそれでなくとも、
原発予定地だった珠洲の苦楽を垣間見てきて
ああいう事態はもう珠洲で終わりにしたいと願っているから、
上関原発計画にあらがいつづける祝島へのシンパシーは強い。
そのなかで特に『祝の島』をわたしが応援するのは、
監督が気持ちのいい人だからというだけでなく
祝島の人(たち)がハナブサ監督を証人に選んだのだろうと思うから。
証人は証言しないと。祝島の声を伝え届けないと。
…誰に?
まだ、祝島を・上関原発計画を知らない人たちに。
…誰のため?
暮らしを脅かされている祝島の人のため、そして同時に、
それは別世界の他人事と思いこまされてきた自分自身のため。
どうぞあなたも、映画をとおして、
祝島の海に・山に・空に・人に、出会って下さい。
叶うなら、祝島の声を、あなたの大切な人たちに伝えてください。
『祝の島』予告編は以下のURL(Our Planet TV)からも試写可能。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/537