2012年6月29日(金)午後6時半ころ、
国会議事堂前駅は人でごった返していた。
おおぜいの人間の体温で、となりの霞ヶ関駅より気温が高い気がする。
人波の最後尾につき、ようやく外へでられたのが6時40分すぎ。
官邸前へ行くのに一番近いという出口からでたのに
人混みがすぎて官邸前方向へあるくことができない。
仕方なく、反対の霞ヶ関方向へと歩きはじめた。
逆方向でもやっぱり、ひと・ひと・ひと。
さまざまないでたちの老若男女が、
メッセージボードで、のぼりで、喉でと、さまざまな形で声をあげている。
音を奏でる人、歌う人、
花をかかげる人、
パンを焼いてきた人。
自分たちの声が正当に聞かれないから、ここまで、じかに、声を届けにきたのだ。
国会正門前の方へ折れ、さらに永田町方面へむかい、
国会をぐるり一周するようなかたちで、ようやく官邸前に到着。
陽はすでに落ちていた。
それでも、官邸前は、なお熱い。
満ちあふれる声は「おおい、げんぱつ、さいかどう、はんたい」。
ものいう猫の背後に機動隊の車が停まる。
機動隊の車が官邸前の道に横づけされたことで、
官邸におおきな壁がつくられたような格好になった。
午後7時40分すぎ、「主催者」から「今日のデモ終了」のアナウンス。
かつて見たこともないような、膨大な数の人が、ちょくせつ届けにきた肉声。
これを無視する首相なら、民主国家をうたう国のトップに値しない。