今夜は半月。
特別に寒かった今日、ものすごく冷たい風が吹くなか飽きることなく、
黄色がかった色の月を眺めていた。
ひとつの思い出が心のタンスから
引っ張り出されてきた
幼い頃、木造の小さな家にすんでいたワタシは、2階にある狭い物干場が大好きだった。広さ的には多分、畳三畳か四畳分位のものだったろう。裸電球が無造作にぶら下げられていて、そこに物干し竿が二本掛けられていた。裸足で入っちゃダメよ、サンダルに履き替えてね、と母から言われていたのに、木の感触が大好きだったワタシは、言うことを聞かず大抵裸足のままその物干し場へ行ったのだ。夜になると、パチンと電球のスイッチを入れ、薄暗い明かりのなか、物干し場から、夜空を眺めていた。おかしな感覚に襲われたこともあった。星を眺めているうちに、そのまま夜空にジブンが吸い込まれてしまうような錯覚を起こし、気づくと泣いているのだ。、、「なんだ、またそこにいたのか、、」背後で優しい父の声がする。そして、父と二人、物干し場の手すりに掴まりながら、今度は安心して、、また星を眺め始める。
数年後、母の仕事が軌道に乗り始め、我が家は、その家を手放し、離れた場所にかなり大きな家を建て引っ越すことになった。
正直悲しかった。
ワタシにとり、あの小さな家は、宝物がギュッと詰まった家だった。
五十年過ぎた今でも、
たまにだが夢にみる。
今もまだあの家に住んでいる夢だ。
そして、あの物干場が、夢に必ず出てくる。
花火大会を、、
無数に散らばる夜空の星を、
背伸びして眺めた、
あの
物干場が。、、