少し偏った読書日記

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「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた

2022-06-18 07:00:00 | 読書ブログ
「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた(グレゴリー・J・グバー/ダイヤモンド社)

「ネコひねり問題」とは、ネコはなぜ高いところから落ちても足から着地できるのか?という問題。この問題の科学と歴史をひもといた一冊。

物理学者に関するジョークとして、「まずその牛を球だと考えてみよう」というものがあることを、以前、紹介したことがあるが、ネコひねり問題に対する最初の科学的アプローチは、水中に沈めた球の運動に基づいて説明しようとするものだった。(間違っていたけれど。)

その後、写真技術が発達して、猫が落下する鮮明な連続写真が公表されたが、それですぐに問題が解決したわけではなかった。また、物理学の発展に伴い、新たな論点が持ち込まれた。角運動量保存則にもかかわらず、空中の猫が回転できるのはなぜか。また、一般相対性理論(の根本にある等価原理)によれば、落下中のネコは無重量状態にあり、どちらが下かを感知できないはずなのに、正しく地面に着地するのはなぜか、など。

現在のところ、ネコの宙返りを可能にしている要因は4つあって、ひとつだけが正解ではない、ということらしい。現実のネコはそれぞれ、自分なりの最適なバランスを獲得しているのだろう。

終盤に、トポロジーの話がでてくる。猫の宙返りという現象を幾何学的位相としてとらえると、それはフーコーの振り子や偏光と同様、球面を使って表現できる。つまり、ネコを球としてモデル化できる、というオチがついて、本書は完結する。

おまけとして科学者に関する猫エピソードがいくつか紹介されており、ニュートンに関するものが(真実かどうかは怪しいが)面白かった。



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