新・幕末史~グローバル・ヒストリーで読み解く列強VS.日本~
(NHKスペシャル取材班/幻冬舎新書)
2022年にNHKスペシャルで放送された「新・幕末史 グローバル・ヒストリー」の内容をさらに深めて書籍化したものらしい。(放送は見ていない。)
本書は、黒船来航の1853年から戊辰戦争が終結した1869年までを取り上げ、列強諸国(英国、フランス、ロシア、プロイセン、アメリカ)が、新体制への移行、特に戊辰戦争にどのように関わったかを、各国に遺された外交文書の分析を通じて明らかにする、というもの。
帝国主義的な植民地獲得競争の中で、列強の動向によっては、日本が植民地となったり、傀儡政権化するおそれも十分にあった。
また、当時の我が国の課題は、そのまま、その後の発展方向(とその限界)に直結している。歴史に「もし」を持ち込んではいけないといわれるが、さまざまな「もし」が想定し得る時代。
明治維新から150年余り、当時の激動の歴史は、現代と地続きであることを実感した。
そして、当時の各国のむきだしの欲望は、地政学的な観点で見ると、必ずしも過去の遺物として看過できるものではない、とも思った。
読後に考えることが多かった一冊。
歴史は繰り返さない、だが韻を踏む。
と、誰かが言っています。
戦国時代以来の本格的な内戦の結果、かなり専制的な体制が出来てしまったことに残念な思いはありますが、何ごともそれ程うまくはいかないものでしょう。