少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

破滅の王

2022-01-15 07:00:00 | 読書ブログ
破滅の王(上田早夕里/双葉社)

ブログを拝見している方がお勧めしている作家さんが気になって、図書館で探してみた作品。いくつかある中で、一番新しそうなのを選んだ。

第二次世界大戦前から終戦までの、主に上海を舞台とする物語。上海自然科学研究所に勤務する主人公の周辺は、日中間の争いの本格化に伴い、不穏の様相を深めていく。同僚の研究者が殺されたり、行方不明になったり。当時の上海の様子や世相が丁寧に描かれるが、この物語の核心である「破滅の王」、つまり治療方法のない細菌兵器が登場すると、一気に加速して、主人公はその事態への対処に翻弄される。

この作者は、SFでデビューしたようだが、この作品は、サイエンスに関連するフィクションではあるが、一般にいうSFとは異なるようだ。むしろ、国際謀略小説(スパイ小説より範囲の広い、例えばフレデリック・フォーサイスのような作品)に近い印象を受けた。殺人事件が起こり、その犯人探しという趣向も織り込んで、ある意味で非常に重いテーマを、端正にまとめ上げた作品、と呼ぼうか。

(そういえば、日本語で書かれた国際謀略小説を、ほとんど読んでいない。)

料理に関連する作品なども書いている、作風の広い人のようなので、気に入った作品が見つかれば、また紹介することがあるかもしれない。



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2 コメント

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Unknown (tibikuro2014)
2022-01-20 17:49:04
こんにちわ。
上田早夕里作品お読みになったのですにゃ。
ボクわ、まだこの作品読んでなかったにゃ。
読まなきゃ!
SF的なギミックを小説に散りばめるように
菓子職人の詳細を、わかりやすく
作品にこめた「ショコラティエの勲章」を
読んで、菓子の奥深さを知りたくなって
本物の菓子職人の書いた本を
買ってしまいましたにゃ。
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Unknown (sadao-mii)
2022-01-20 18:21:37
コメントありがとうございます。ショコラティエ…を読みたかったのですが図書館で見つかりませんでした。また探してみます。
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