中野のお父さん(北村薫/文芸春秋)
この人の作品は、「円紫師匠と私」シリーズを3冊、紹介したことがある。いつか、別のシリーズを読むことになるだろう、と思っていた。
で、思いがけず重い本を読んでしまった気分転換に、シリーズ3作を一気読みした。主人公は、出版社に勤める体育会女子の編集者。(体育会系、としていない理由は本文中にあります。)仕事で謎にぶつかった時に頼るのは、中野に住む国語教師のお父さん。安楽椅子探偵ならぬ、炬燵探偵だ。
シリーズ3作に、それぞれ印象に残る作品がある。
『中野のお父さん』では、「闇の吉原」。其角の句を題材にしている。(泡坂妻夫の『煙の殺意』にも同じ句を扱った作品があった。)
『中野のお父さんは謎を解くか』では、「菊池寛はアメリカなのか」。アメリカの意味が実に意外。
『中野のお父さんの快刀乱麻』では、「古今亭志ん朝の一期一会」。リモートではなく、人と人が会うことの意味が、心にしみる。
お父さんの本の知識が細かすぎるという面は、確かにある。しかし、多少の消化不良があっても、そのまま飲み込んで読み続けることはできる。(多くの本を、私はそのように読んでいる。)本や落語など幅広いうんちくに満ちた、軽妙で、ときおりダジャレや地口もまじる文章は、いくらでも読んでいられる。益田ミリさんのイラストも、内容に合っている。
この作者には、ほかにもシリーズがある。いつか読むことになりそうな気がする。
この人の作品は、「円紫師匠と私」シリーズを3冊、紹介したことがある。いつか、別のシリーズを読むことになるだろう、と思っていた。
で、思いがけず重い本を読んでしまった気分転換に、シリーズ3作を一気読みした。主人公は、出版社に勤める体育会女子の編集者。(体育会系、としていない理由は本文中にあります。)仕事で謎にぶつかった時に頼るのは、中野に住む国語教師のお父さん。安楽椅子探偵ならぬ、炬燵探偵だ。
シリーズ3作に、それぞれ印象に残る作品がある。
『中野のお父さん』では、「闇の吉原」。其角の句を題材にしている。(泡坂妻夫の『煙の殺意』にも同じ句を扱った作品があった。)
『中野のお父さんは謎を解くか』では、「菊池寛はアメリカなのか」。アメリカの意味が実に意外。
『中野のお父さんの快刀乱麻』では、「古今亭志ん朝の一期一会」。リモートではなく、人と人が会うことの意味が、心にしみる。
お父さんの本の知識が細かすぎるという面は、確かにある。しかし、多少の消化不良があっても、そのまま飲み込んで読み続けることはできる。(多くの本を、私はそのように読んでいる。)本や落語など幅広いうんちくに満ちた、軽妙で、ときおりダジャレや地口もまじる文章は、いくらでも読んでいられる。益田ミリさんのイラストも、内容に合っている。
この作者には、ほかにもシリーズがある。いつか読むことになりそうな気がする。
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