木の節についてちょっと書いてみようと思います。
ちょうど今やっている現場で
柱の「抜け節」が気になると
お施主さんから指摘がありまして、
現場でその節を埋めることになりました。
写真内の緑色の○の部分の節は
「死に節」というものです。
写真だとわかりにくかもしれませんが、
節が抜け穴が開いてまして、
これを「抜け節」とも言います。
それに対して、
節とその周りの繊維が連結しているしっかりした節を
「生き節」と言います。
私達の設計する家は、ほとんどが真壁です。
ですので、柱は露出した 現わし になります。
さて、露わになる柱ですが、
節が気になるかどうか、
人それぞれ感じ方が違うと思います。
そのため、木材には強度面とは別に、
意匠面から 節 の
有る・無し
多い・少ない
を示す慣用的に使われている等級があります。
無節 ・ 上小節 ・ 小節 ・ 特一等
( → ほど節が多くなります )
この4つの等級を組み合わせることで、
4面ある柱面を、
例えば、
二方無節(柱4面あるうちの2面には節の無いもの)
というように
細かく指示をして材料を注文します。
ですが、節が少ない程、価格も高く、
節を気にするなら、
材木費を見積もり段階で
ある程度しっかり見込んでおく必要があります。
最近、私達の設計している家では
柱材は、ヒノキ材の「特一等」を使用しています。
一般のお客様に、
柱はヒノキです
と言うと
「そんな良い材だと高いでしょー」
と敬遠されますが、
「いえいえ、
ヒノキと言ってもいろいろありましてー
私共で採用しているヒノキは
意匠面からの等級でいけば最下位の「特一等」材で、
4面とも節ありです」
と
等級のお話をしなければ
木材ついてなかなか分からないと思います。
等級では一番低い「特一等」材でも、
私達の設計では、古民家再生はもちろんのこと、
新築でも古民家のもつ雰囲気を好むお客様が多いことから、
柱をはじめとする木部に「古色」を施すことが多く、
節のある粗相に見える木材(特一等材のことですが)でも、
古色塗装を施すことで誤魔化せる(表現が悪いのですが)
という点で、一石二鳥の効果になってます。
さらに、特一等材であっても私達の設計スタンスとして、
材木屋さんに直接掛け合って材料を選んでいますので、
「特一等材でも良いところをお願いします☆」
と、材木屋さんとの日頃のお付き合いの中で
上手くやっております
あとは、
大工さんに節の少ないところを見え掛りになるように
柱の配置をしてもらいます。
真壁の木の家というのは
慣れていないと、こうしたちょっとした配慮が
案外できないものです。
大壁ばかり造作している大工さんだと、
そこまで気にかけてくれません。
さて、木の等級の話にそれてしまいました。
話の本題に戻ります!
節埋めについてです。
まずは、現場で気になった死に節の所を
先にドリルで穴を整えます。
そして次に「ふし太郎」という道具がありまして、
(言ってみれば、でっかい鉛筆削りみたいなものです)
用意しておいた節の棒を
この「ふし太郎」で削ります。
節の棒です↓こんなものがあるんです!
「ふし太郎」という商品名の道具です↓
節の棒を、「ふし太郎」で削ると、
鉛筆みたいに出来あがります↓
いろんな大きさの穴が綺麗に埋まるわけなのです。
節埋め完了↓
節の部分は後で塗装をします。
こちらは、別の柱ですが
節埋めした後、塗装したものです。
言われなければ、節埋めしてあるとは
ほとんど気が付きません。
この節埋めは、道具がないと
なかなか大変です。
道具を持っていない大工さんにお願いしても
やってくれないことが多いですね。
今回は長々と書いてしまいましたが、
精度の良い工業製品に慣れてしまっている
お施主さんをはじめ、
私達もですが、
自然の素材を建築で扱う上で、
隙間や狂い、そして素材のもつ不均一さ
をどこまで妥協できるか、許せるか
いろいろな問題にぶつかります。
もちろん、自然素材のこうした性質を
「味わい」といって楽しむこともできますが、
それも時には、
自然素材だから工業製品のようにはいかない、
という言い訳に聞こえてしまうので、
出来るだけそんな言い訳をしないで対応できるよう
頑張っていきたいと思います。
(と言いながら、自然素材なので、、、と言っていたら
ゴメンナサイ)