先日、松本市に建つ古民家を拝見して参りました!
どうでしょう。この風格といいますか、佇まい。
一瞬、ふわ~っと昔にタイムスリップしたかのような
まるで文化財保存されている建物みたいでした。
こちらの家には、現在60歳代くらい?の男性がお一人で暮らされています。
ですから、家の周りは手が入っていてとても清々しています。
よくぞここまで残っていてくれた、と言いますか、
(誰に感謝しているのか、よくわかんないですが、お問い合わせ下さったお客様に対してではありますけれども、それだけじゃない感じでもあります)
建物を拝見しながら密かに感動しておりました。
聞くところによりますと、昔、庄屋をされていて、築凡そ250年だとか?!
もしそれが本当なら、かなり貴重な建物って事になります。18世紀?!
これだけ古い形態が残されている、という事は
近年リフォーム等されていなかった事でもありまして、
(昭和時代に屋根瓦などは新しくされた様子ですが、それでも数十年前ですね)
さすがに老朽化で床が落ちていたり、土台がちぎれていたり、隙間も相当あってビニールシートであちこち覆われていたりしてましたが、
拝見したところ、建物自体はまだしっかりしていて修理をすればまだまだ住める建物でした。
古民家を拝見する度に想う事ですが、
今の住宅事情において、いろいろな制度が設けられておりますケド
例えば、
2001年から始まった住宅性能表示制度(住宅の品質確保の促進に関する法律)とか、
2009年から始まった長期優良住宅認定制度(長期優良住宅普及の促進に関する法律)とかね。
ちなみに、長期優良住宅という名称に落ち着く前は200年住宅なんて言っていて、なにが200年?!なにが長期優良だって
古い建物に関わっている身分としては、ほとほと呆れていましたが
(だいたい、自分が生きてない先の事まで保証するような言いまわしを平気でする事自体、胡散臭いって思いませんか? そういう謳い文句は不当表示に近くないかって思いマス)
案の定、
『木造長期優良住宅の総合的検証委員会 耐久性分科会 平成 25 年度成果報告集』 なるものが平成26年3月に出まして
その中に、長期優良認定仕様、性能等級評価仕様で建てて、わずか数年で劣化した劣化事例がいくつも載っておりました。
劣化の原因は、結露によるカビ、腐朽菌による材料の腐朽、シロアリ等が多いようでした。
やっぱりね。
だから私はいつも、国が定める制度よりも(違法な事はしませんけど、法律を守ればいい、制度を採用すればいいってものではない)
まず
腐らない建物を健全に建てる方が優先!と思っており、
それが出来なければ、いくら構造を耐震にしても意味が無い、と考えていました。
長期優良だか、200年住宅だかそんな耳触りのいい標語に乗せられている建築業界。
車のような工業製品じゃない住宅に、あれこれ仕様をあてがってみたところで
耐久性に関しては、実は伝統建築の足元にも及んでいないじゃないかって
200年近く現存してきた伝統建築を目の前にすると思ってしまいます。
(ふつふつと今の時代に、怒りが湧いてきてしまう。)
ですので、せめて今残っている古民家は大切にしたいと思っておりまして
建物を保存しながらも住み続けられるように直してあげたいと
いつも考えています。
しかし、、、我が家もそうですが
これくらいのクラス・規模になってくると、ちょっと改修、というレベルではありませんし、
普通に家一軒建てるくらいの費用は掛かる。。。
こういう古い家(屋敷)を受け継ぐという事は
各代が新宅を建てるくらいの費用を掛けながら、維持されていくようなもの。
ここで価値観が問われるのかもしれません。
新宅にしろ、家を受け継ぐにしろ、どっちみち掛かるものは掛かるのなら
古い家に費用を掛けて住み継ぐ方が合理的な感じもするのですけど、
しかし、そうそう思い通りにはいかずで、実際は大変なのであります。(海野宿の我が家もですが)