長らくお待たせしておりました上田の古民家改修二期工事
4月よりぼちぼち工事が始まりました。
1期工事では、大屋根を全面断熱改修、そして主な生活空間をゾーニングし断熱改修&暖房設備の新設、また、水回りを一新しました。
2期工事は、お子さんの成長に伴って昔の勉強部屋を少し直し、養蚕時代のままになってる蚕室の窓の気密化を図るというものです。
2階蚕室
このお宅は、一般的な戸建て住宅の凡そ3軒分はあろうかと思われるくらい大きな蚕室造りな古民家。
全部屋を改修するとなると、それはそれは面積的に大変な事ですが、
1期工事で主な生活空間は改善されましたので、
残された未改修のお部屋は、程ほどの改修で十分、というお施主さんのお考えです
確かに、何が何でも、大きな古民家を丸ごと全部快適にする必要も無い、といえばその通りだと私も思います。
そして何と言っても
1期工事で行った屋根の全面断熱改修は、帽子と同じようなもので、夏の防暑、冬の防寒、どちらにも有効
基礎・土台周りがしっかりしている古民家なら(ここはかなり重要ポイントではあるのですが)
屋根という要所を押さえた改修がなされれば
後は生活しながらでも、その大きな空間を分割して1期→2期→3期工事とじっくり改修を進める事が出来ますので
1期工事で屋根の全面断熱改修をされた事は非常に良かったと思いますね
今回の2期工事。
蚕室がまだ数部屋、明治の養蚕時代のまま残っていまして、外部に面する開口部が木製の雨戸と障子のまま。
その心許ない窓の気密化を図りたいというのが2期工事のお施主さんのご希望です。
ならば1期工事で改修した内容と全体のバランスをみて、
1期工事部分で採用したサッシ(APW310)と同じものを蚕室にも設置することにしました。
本当はもっとグレードの低い安いものでいい、というお話もあったのですが、
一度設置したサッシは、余程の事がない限り、2~30年くらい使い続けます。
蚕室も将来的に居室になる可能性がある(3期工事?)と思いまして、
ここは1階の生活ゾーンと同じグレードのサッシとさせて頂きました
蚕室の他に昭和時代にリフォームされていた部屋も数部屋あり
(その一室を子供部屋にされるそうです)
1期工事の屋根断熱だけでは、昭和時代にリフォームしてあった個々の部屋の夏の暑さ&冬の寒さをしのぐには少々厳しいので寒冷地用エアコンを導入する事になりました。
大きな大きな蚕室造りの古民家、一番のコアとなる1階の生活空間は
1期工事の床断熱改修&床暖房+薪ストーブで冬の寒さ対策はバッチリかと思いますが
お施主さんも仰っておりましたけど
これから必要となる子供部屋には温熱環境を整える必要はなく、
むしろ寒暖差に慣れるようにした方がいい、と。
確かにこの考えも一理ありますね
3世代が暮らす古民家。
世代によって使用する居室の温熱環境が違っていいと思います。
ただ、建物の中で寒暖差、温度差の生じる部屋を作ってしまうと、
冬場、寒い部屋で結露が生じることに繋がります。
しかし、古民家はそもそも気密性が低く、空間容積は大きいため、
高気密建築よりは結露のリスクは比較的低い。
ですので、
大きな古民家の改修の考え方として、使用頻度の低い部屋には、
大工さんによる改修工事の必要のない高性能なエアコンを導入して
(エアコン配管工事と電気工事は必要ですけど)
間欠的に温熱環境を改善する、という方法もアリだと思いますね
ちなみにエアコン工事は、家電量販店にお願いせずに、
1期工事で床暖房を施工していただいた冷暖房システム施工業者さんにお願いしております。
家電量販店さんのエアコン標準設置では対応できない古民家ですからね
さてこのように、2期工事の方針が大凡決まり、4月から工事が始まっておりましたが、
今週から大工さんが現場入りしました。
実は今回こちらの現場に来て下さる大工さんは、
長野市の古民家再生でお世話になった大工さん達が入って下さる事になりました
そもそも大工さんを雇用してるような工務店ではない私達。
現場毎に在来の木造の出来る大工さんに声を掛け、
タイミングを見計らって現場に入ってもらうというスタンスでやっております。
その大工さんのタイミングの調整がなかなか難しかったりするのですが
今回はひょんな事から長野市の古民家再生でお世話になった大工さんにまたお仕事お願いできる事になりまして
またあのコンビだね~と内心、主人と私は嬉しく思ってます
また、今回の2期工事と並行して
お施主さん(ご主人)はご自分の離れ部屋を一部DIYしたいようで
うちの主人がアドバイスしたり道具を貸しながら進めるようです
とはいえ、めちゃくちゃお仕事がお忙しいお施主さんなので
お体壊さないかと心配
最近は非常にDIYが流行っていますけども
単純に、安くあげたい、という目的ではなくて、
こうしてみたい→どうやったら出来るのか(考える)→方法を見つける→実行するための道具・材料を調べる→道具・材料を用意する(買う)→実行→もしうまくいかなければ→また考える…
といった過程が面白い、とお施主さんは仰ってましたので、
ご多忙であっても、そういう事を考える事が却って頭のリフレッシュに繋がる、というものかもしれませんですね!
ということで、
今回の二期工事は、設計としてはあまりやることが無いので、私は事務的な関与にとどめ、
現場サイドの男性陣にお任せです