最終回文庫 ◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

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星新一の著作をコレクションする(4) 『悪魔のいる天国』(元版)

2016年05月14日 | 星新一




前の記事、HPB『悪魔のいる天国』の元版です。
 『悪魔のいる天国』中央公論社 昭和36年12月25日発行 290円


装幀:真鍋博


この本は、星新一の著作を集めようと思うきっかけになった本です。
新刊書店で見た記憶はまったくなく(というよりは、書店で書棚を眺めるという習慣もありませんでした)、古書店の棚で出合ったのが最初で、インパクトがある黒と白のデザインに強く惹かれたことを憶えています。
赤い帯が付いていたことを知るのは、ずいぶん後になってからでした。

振り返って計算してみると、星新一の本を集めてみようと思い始めたのは、この本が出版されてから10年近く経ってからだったことになります。
それまでに、好きな作家の本を手元に置きたいと思ったことはありました。井伏鱒二、木山捷平、庄野潤三といった純文学畑の作家がその入口でした。しかし、そういった作家はすでに古書価が確立されていて、折しも「初版本ブーム」で、古書店の目録に載っても希望者が殺到し、裏から手を回して手に入れた輩がいるというような、まことしやかな噂が流れることがたびたびあるというような過熱した時代でもあったのです。

「集めたい」のに集まらないというので、その矛先が星新一に向いたとも言えます。
しかし、どんな著作があるのかその全容もわからず、当時はやみくもに古書店を歩き回り、古書店や古書展の目録に目を通すぐらいしか方法はなかったのです。

少しずつ集めるうちに、やがて著作目録を作るまでになりましたが、その時点でも把握できていなかったものがいくつもありました。