
持病の薬をもらいに予約した病院に行きました。
主治医のS先生はいつも通り、手や腕、肩の動き具合を確認し、
「前回撮ったレントゲンにも特に気になる所見はありません」と、
今夏の不安を解消してくれました。

次回も7週後の予約で、とお願いすると、「実は異動になりそうで
来られないかもしれません…」と仰る。「えっ」と驚き、
覚悟していた事を告げられた気がしました。「それは残念です…、
ありがとうございました」と言うのがやっとでした。

S先生はこの病院に月に1回、東京の日本赤十字病院から
来られる持病専門の先生です。そういう先生方は長くて2、3年、
短ければ半年から1年で交替される。S先生もいずれ…と思い、
それなりに覚悟しているつもりでしたが、今春も異動の話を
聞かなくてホッとしていたところでした。

四年前に初めて先生の診察を受けた時、それまで1年以上
病名がわからないまま身体の痛みに耐えて苦しんでいた私。
生きる事にも不安な毎日に、的確な薬を飲む事と、生活に
希望を与えてくれた頼もしい医師でした。
それまで幾人かの先生と出会っても、今一つ医師を信頼
できなかった私でしたが、病名を知った事で自分も病気と
向き合い、理解を深め、治療法も調べる事ができました。
医者も患者も人間同士、だからこそ相性のいい人にめぐり
合う事は、先の長い闘病生活ではとても重要なのです。
先生は、時として治療法を追いかける私を無理に止めず、
根気良く付き合ってくれた後でなだめ、病気と寄り添って生活
する事も必要と教えてくれました。数年で痛みからも解放され、
諦めていた海外旅行に行くことも出来ました。

今では外見から病人とは判らない、落ち着いた生活を送る
事が出来るのは、先生のお陰だと日頃から感謝していました。
それだけに(S先生がこの病院に来られなくなる)と思うだけで
不安です。今日の晴れ上がった空が何だか恨めしい心境です



