ケータイが鳴った。
03から始まるからトーキョーからだ。
この番号、前も見たけどMの知り合いじゃない。
とりあえず、出た。
以下、M 相手
「はい」
「ゴトウさんのお宅ですか?」
ほらほら……、やっぱり。
この前と声も同じ。
ちょっと世慣れたカンジの男の声。
しかも、ケータイにかかってきたのに、
「〇〇さんのお宅ですか?」と言うので覚えていた。
普通は「〇〇さんのケータイですか?」と言わない?
「この前も同じ番号で着信があったときに言いましたけど、
ゴトウさんじゃありません」
「失礼しました。お電話番号は090-××××ですよね?」
前も同じく聞かれた。
で、前は「そうです」と素直に言った。
でも今日は、
前回もわざわざ確認したのに、また間違って掛けてきたわけ? と、
Mの中では不信感がうずまいた。
「たぶん、そうじゃない?」
「いえ、あなたの番号です」
ここでなぜか相手は偉そうな口ぶりになった。
そこでMはムッとした。
「だから、たぶんそうでしょ?
あなたが掛けている番号そのままです」
と、ちょっと強い口ぶりで言った。
(たぶんというのは、
実はMは自分のケータイ番号を覚えてない。
強い口ぶりで『たぶん』というのも締まらない話だし)
すると相手は、
「失礼しました」
と、言って電話を切った。
前回も思ったんだけど……、
どうにもアヤシイ。
オレオレ詐欺じゃないけど、
何か悪いことをたくらんでいるような声。
ここから何か展開があるのだろうか? と、
思わせるような声。
Mは以前、債権回収の仕事に関わったことがあるので、
取り立てをしている電話をよく聞いていた。
ソフトな取り立て屋みたいなカンジの声。
実際匂わないけど、匂いでワカル。
てか、
アンタ誰よ?
そう思った時、Mは失態に気付いた。
そこよ……
それを聞くべきだったのよね……。
万が一、また同じ間違い電話を装ってきたら
先に「どちら様?」と聞こう。
で、間違いだというのに何で何度も電話をしてくるか
その理由を聞かなくっちゃ。
まぁ、聞いても素直に言わないだろうけどさ。
絶対、単純な間違い電話じゃないはず。
だって、Mは今の番号、10年以上も使っているのよ。
10年以上も使っていて、番号を覚えていないというのも
おバカだけどさ……。
ま、なんにせよ、これが犯罪に発展するのなら
ちょっと見もの(?)かも。
てか……、
間違い電話を装った詐欺なんて成立するのかな??
やっぱ、単純に間違い電話か?