歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

一夜咲きの幽霊

2009年08月19日 | 徒然 -tzure-zure-
日が暮れた井の頭公園の

薄い闇のなかで

 ぼんやり



 ぼんやり 白く浮かび上がる

 “幽霊” みたいな




カラスウリ を 見つけた。

  烏瓜(カラスウリ)
  Trichosanthes cucumeroides
  ウリ科カラスウリ属  つる性多年草
  英名:Japanese snake gourd
  別名:玉章(たまずさ)、土瓜、山瓜、狐ノ枕



夏の夜に、ひと夜だけ 咲く花。
ひと夜咲きの 儚い花。



どこにでもある野草だ と云うけれど
いざ探してみると、夜だけ咲く花だからか、
そう簡単には出逢えない。


夏の宵闇に かすみかける眼を じっと凝らして、
今宵、
やっと 出逢えた。


 *

昔住んでいた東京のアパートの 小さな小さな庭で

ある夏の夜、暑くて、
窓を開けようと
カーテンを バッと開けたら

眼の先に 白い ぼんやりとしたモノが


ゆうれいの影か と、
死ぬほどびっくりした。

それが 初めて出逢った 烏瓜の花。


よくよく見てみたら
不思議な もしゃもしゃのレースの毛。
不思議な花。


夜の闇には そのふんわりした純白が 妙に 浮き立っていて

レースの繊細な毛の もしゃもしゃが
怪しい幻のような その白の おぼろげな様を
なおさらに引き立たせていて 

見れば見るほど幻想的で

幽霊のように儚く
幽霊のように美しくて

すっかり惚れ落ちた。


それ以来、
夏になると、
この花を、なんとなしに、探してしまう。

宵闇の始まる暗い薮のどこかに 蔓をからませて じっと座って
ふふっと微笑んでいるはずの
幽霊のような この花を、
つい 探してしまう。





今年の夏は、
こうして、出逢えた。

今とても流行っている「緑のカーテン」

自分は、この花でやりたい。
今年は間に合わなかったから
来年は、ぜひ、やってみたい。


夏の闇に、

毎夜毎夜
白い小さなゆうれいたちが ぽつりぽつりと浮かんでいる 風景。

幽玄。

暑さなど忘れて、ぼうっと、眺めてしまうだろう。
それこそ 魂をぬかれたように。


そんな 夢を 想い、浮かべる。






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