歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

十月の夜の羽の音

2012年10月22日 | 遊興 -pleasure-
東の窓に オレンジが見えて、
目が覚めた。



土曜日の朝。

空はそれから、



たちまちのうちに変わった。




大気には、



金木犀が満ち満ちている。

溢れんばかりに、オレンジ色が満ち満ちている。


そんな土曜日の朝。




そんな土曜日も、
進行する現場。



こつこつと積まれていく、石。





じわじわと赤く増えていく、修正事項。文字。記号。





着々と変わってゆく、景色。





曲線は、
おそらく、私の譲れない美意識。




そうして、

夜。


駆け込みで、文字通り息を切らして(だって、ビルの5階まで階段で登んなきゃいけないんだもの!)
ぷはーっ!つって飛び込んだのは、



友人たちの展覧会。

タイトルは、
「Le son de coup d'ailes」




意味は、
“羽の音”。
だそうです。

フランス語。




サブキャプチャーにあったコンセプトは:

  記憶の片隅に漂う、微かな残像と欠片が
  重なり合う一瞬、一時の多重構造の世界。





入るなり、美しい。
オフホワイトとベージュの、柔らかな世界。




白いドレープの陰影。

好き。

やりたいこういうの。いつか自分の家が、こういうのが似合うような家になることが、もしも、あったら。




この展示はというと、

昨年冬、自分も参加したグループ展:『バレリーナの屋根裏部屋展』

そのメンバー(多数)のうちの お3方が再集結したというもの。


写真家の、ふくいさん。(HP:http://yukofukui.com/

髪型はミイだったよ。

ふくいさんの写真の、植物を撮ったときの光の透ける感じや儚げな色味が、大好き。



花。

ものすごくぼやかして、光そのもの・色の光かたまりそのものにまで抽象化した、花。

逆に、はっきりと緻密に写したのは、枯れかけた、死にかけの花。

生と死の境界の、曖昧。



自分じゃ撮れない写真。

写真って、誰でも簡単に撮れるようだけど、
誰にも容易には撮れないものも、ある。





アンティーク・レースなどをコラージュしたジュエリー小物作家、Re-tour(ルトア)さん。
(HP:http://re-tour.net/



超繊細。

細かい細かい糸、布、
旧い聖書のひと欠片。

これまた、自分じゃ絶対に出来ないな、という作品。
ちいさなちいさな、緻密に絡められ、凝縮された、繊細な想い。

展示の仕方も、細やか。


こういう落ち葉も、ちゃんと取りに行って来たんだもんなあって分かるから、
ぐっと来る。



ルトアさんのショップカードには、もりっちが。



ルトアさんが、会うなり一目惚れして「私の作品のモデルになって!」と、初めて頼んだという、
もりっちこと、森野先生。が、モデルになったショップカード。頂きました。


飾ってあったポプリの香りが深く沁みて、なおさらとても素敵なカードに。


思えば、
このもりっちからつながって出会ったのが、このお三方でした。

そんなもりっち先生も、間もなく、展示が(こっそり)始まるそうです!
詳細は、おそらくもりっちのHP>>http://morinomisako.com/に。



そして、コラージュ作家の、林美奈子さん。(HP:http://hayashiminako.blog33.fc2.com/




今回出展されていたのは、今までで一番好きだったかも。



針金のオブジェ。

これだけでも、センスが違うのがわかる。

それから、
「夢十三夜」
と名付けられた、十三編の小さな、詩的な作品集。




金色と白、その淡い間の飴色。ストイックに、言葉も削ぎ落された世界。
非説明的な、抽象的な表現。

結構意外に理屈派だったりする自分には、なかなか出来ないワザ。


アーティスティックなもの、何にでも共通しているのですが、
「自分じゃ絶対出来ないわ、これ・・」
っていうものに、
圧倒的な、絶対的なリスペクトを抱かずに居られません。





一枚のCDアルバムみたい。




こういうの大好き。


13編の中で 一番(なぜか)気に入ったのが、



この、「草の薫り」という作品でした。


ところで、
「十三夜」。

前にも書いたけど、
同名の曲が、マイガッデス:Coccoさんの作品にもある。なので、
もう、タイトルだけで好き度5倍増し確定。ドキュン!と撃たれたのでした。





残り30分くらいのところに駆け込んで、
結局30分くらいさらに長居してしまって、
申し訳なし。

でも、もっと長く浸っていたかったなあ・・
と思える、

濃密な、
繊細な、優しい心地の部屋でした。
普段は古家具を売っているギャラリーだそうで
なるほど、そこかしこに、そうそう見かけない、アンティーク家具たちがありました。




最後に、お三方を撮る。



ぶれるぶれる。



記憶の片隅に漂う、微かな残像と欠片が
重なり合う一瞬、
一時の多重構造の世界。
・・的な。



楽しげ。


素敵な気分をお裾分け、頂きました。

それにしても、

撮った写真が ことごとくピンぼけ!
妖精が飛んでたのかしらん・・。




というわけで、
残念ながら、もう終わっちゃったのですが。。。






より詳しい展示の様子は、ルトアさんのブログ(こちら>>http://yayakoz.exblog.jp/18090983/などで、ご覧になれますね。ぜひ。


そんなこんなで、
珍しく茅場町というところに行って来ましたサタデーナイト。




で、

ああそうか、バレリーナ展から、はや一年くらい経つのか~、と。


あれ以来、
この一年、
フリーの“野口造園”的活動は 事実上休止状態にして、本業の庭づくりに邁進して来ました。


あのときの作品は、今も:



鎮座しております。
私の小さな部屋の、窓辺に。
ちらっと、マイナーチェンジしつつ。





10月も、半ば過ぎ。

ほんとに、

早いものです。


* * *



次回は、
翌:日曜日のこと。
横浜に行った話を。






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