中西準子氏の主張要約③
このコメを消費者が買うことによって、何が期待できるのか?
先に比較したけれども、そのリスクはさほど大きくはない。それほど大きくないが、誰でもできるだけ減らしたい。それを我慢してほしいと私は言う。それは、何故か?
(1) 福島農業への壊滅的な影響を回避したい
福島県の21年度のコメの産出額は948億円である。利益はこの半分もないだろうが、この金額で考えるのがいいと思う。放射線の影響のない地域まで、福島のコメとして売れないという影響を受けていると聞く。この内、どのくらいが影響を受けているかわからないが、1,000億円規模の生産が影響を受けていると考えていいだろう。
厚生労働省が急に暫定基準値をとりやめて新基準値を出した(2011年12月)政治的背景は既に報道されているが、それに輪をかけた厳しい作付け制限を農水省が出し、福島県もそれを実行しようとしているのは、(私の勝手な推察かもしれないが)放射線の影響のない地域まで疑われるという状況を何とかしたいという気持ちがあるからではないかと、私には思える。
つまり、放射線の影響を受けた地域は犠牲にしても、福島県の他の地区を救いたいという考え。この推察が正しいかどうかは別として、福島県の農業を考える時、二つの問題があるという認識が必要だと思う。
それは、放射線の影響を受けた地域と、そうでない地域。その二つを考えなければならないのだということ。そして、コメだけに限って言えば、両方の金額の合計は1,000億円/年。放射線の影響を受けた地域だけの収支を考えればいいのではない。
放射線の影響を受けた地域のコメの問題と、全く受けていないのに、福島のコメとして影響を受けている二つの問題がある。消費者が、リスクの大きさをきちんと理解し、これを引き受けようと考えれば、この全体を救うことができる。
(2)もうひとつの義援金
放射線の影響が残っているが、そのコメは十分基準値を満たしている、そういうコメが売れ残る。その場合、どうなるだろう?多分、国か県か東電か(*)が買い取ることになるだろう。だから、農家には直接被害が及ばないかもしれない。しかし、もし私達が買えば、その資金は復興のための資金として使える。消費者はコメ代を払っているだけで、義援金を出したことに相当する。
コメ10kg買ったとしたら、5,000円送ったことになる。
一度や二度、どこの家でも義援金を出しているだろう。しかし、1年も経つと出せなくなる。ここでコメを買うことで、もう一度義援金を出せる。コメを買うことは、こういう効果がある。
(*) 東電が払うべきだという威勢のいい意見をしばしば耳にする。でも、東電と言っても国か電気利用者が払うにすぎないことは、書く必要もないかなと思いつつ、やはり書いておこう。
(3) 仕事とお金
コメの作付けについて、農家の方が強く主張しているのは、やめてしまえば農業がつぶれ、仕事がなくなるということである。放射線の影響を受けた地域の農家の方は、補償金は貰えるかもしれない。しかし、それよりは仕事をして自分の力でお金を稼ぎたいと考えるのは当然だ。また、補償などいつまで続くかも分からない。
仕事を失うことの恐怖は誰にとっても大きい。でも、その恐怖は、街に住むわれわれの方が強いかもしれない。だからこそ、生業を失いたくないという気持ちは理解できるのではなかろうか。われわれがコメを買うことで、仕事の場を提供できる。農家は仕事を求めている。
今の農家がコメだけで生活できるわけではない。さらに、多くの農家にとっては、農業だけで生活できるわけではない。しかし、コメ作りは生きることの柱になっているのだと思う。私達が、少し気持ちを切り換えることでその希望に応えることができる、そういう機会が私達に与えられている。補償金漬けの問題が早くも指摘されていることも、合わせて考えよう。補償すればいいは、解決にならない。
(4) がんリスクへの向き合い方
時間がなくなってしまったので、リスクの大きさについての話は、また別の機会にするが、がんは多くの事柄が原因になっており、一つの要因だけを徹底的に0にしようとしても意味が小さい。全体のリスクを見つめて、その要因を少しずつ減らすことが重要である。そのことを考えると、それほど神経質になるほどのリスクではないことが分かって貰えると思う。
このコメを消費者が買うことによって、何が期待できるのか?
先に比較したけれども、そのリスクはさほど大きくはない。それほど大きくないが、誰でもできるだけ減らしたい。それを我慢してほしいと私は言う。それは、何故か?
(1) 福島農業への壊滅的な影響を回避したい
福島県の21年度のコメの産出額は948億円である。利益はこの半分もないだろうが、この金額で考えるのがいいと思う。放射線の影響のない地域まで、福島のコメとして売れないという影響を受けていると聞く。この内、どのくらいが影響を受けているかわからないが、1,000億円規模の生産が影響を受けていると考えていいだろう。
厚生労働省が急に暫定基準値をとりやめて新基準値を出した(2011年12月)政治的背景は既に報道されているが、それに輪をかけた厳しい作付け制限を農水省が出し、福島県もそれを実行しようとしているのは、(私の勝手な推察かもしれないが)放射線の影響のない地域まで疑われるという状況を何とかしたいという気持ちがあるからではないかと、私には思える。
つまり、放射線の影響を受けた地域は犠牲にしても、福島県の他の地区を救いたいという考え。この推察が正しいかどうかは別として、福島県の農業を考える時、二つの問題があるという認識が必要だと思う。
それは、放射線の影響を受けた地域と、そうでない地域。その二つを考えなければならないのだということ。そして、コメだけに限って言えば、両方の金額の合計は1,000億円/年。放射線の影響を受けた地域だけの収支を考えればいいのではない。
放射線の影響を受けた地域のコメの問題と、全く受けていないのに、福島のコメとして影響を受けている二つの問題がある。消費者が、リスクの大きさをきちんと理解し、これを引き受けようと考えれば、この全体を救うことができる。
(2)もうひとつの義援金
放射線の影響が残っているが、そのコメは十分基準値を満たしている、そういうコメが売れ残る。その場合、どうなるだろう?多分、国か県か東電か(*)が買い取ることになるだろう。だから、農家には直接被害が及ばないかもしれない。しかし、もし私達が買えば、その資金は復興のための資金として使える。消費者はコメ代を払っているだけで、義援金を出したことに相当する。
コメ10kg買ったとしたら、5,000円送ったことになる。
一度や二度、どこの家でも義援金を出しているだろう。しかし、1年も経つと出せなくなる。ここでコメを買うことで、もう一度義援金を出せる。コメを買うことは、こういう効果がある。
(*) 東電が払うべきだという威勢のいい意見をしばしば耳にする。でも、東電と言っても国か電気利用者が払うにすぎないことは、書く必要もないかなと思いつつ、やはり書いておこう。
(3) 仕事とお金
コメの作付けについて、農家の方が強く主張しているのは、やめてしまえば農業がつぶれ、仕事がなくなるということである。放射線の影響を受けた地域の農家の方は、補償金は貰えるかもしれない。しかし、それよりは仕事をして自分の力でお金を稼ぎたいと考えるのは当然だ。また、補償などいつまで続くかも分からない。
仕事を失うことの恐怖は誰にとっても大きい。でも、その恐怖は、街に住むわれわれの方が強いかもしれない。だからこそ、生業を失いたくないという気持ちは理解できるのではなかろうか。われわれがコメを買うことで、仕事の場を提供できる。農家は仕事を求めている。
今の農家がコメだけで生活できるわけではない。さらに、多くの農家にとっては、農業だけで生活できるわけではない。しかし、コメ作りは生きることの柱になっているのだと思う。私達が、少し気持ちを切り換えることでその希望に応えることができる、そういう機会が私達に与えられている。補償金漬けの問題が早くも指摘されていることも、合わせて考えよう。補償すればいいは、解決にならない。
(4) がんリスクへの向き合い方
時間がなくなってしまったので、リスクの大きさについての話は、また別の機会にするが、がんは多くの事柄が原因になっており、一つの要因だけを徹底的に0にしようとしても意味が小さい。全体のリスクを見つめて、その要因を少しずつ減らすことが重要である。そのことを考えると、それほど神経質になるほどのリスクではないことが分かって貰えると思う。