東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 第5回委員会
黒川 清委員長 コメント
本日の第5回委員会では、米国原子力規制委員会(NRC)元委員長で、現在カーネギー研究所理事長であるリチャード A. メザーブ博士に、長年原子力にかかわってこられた専門家としての見地から、見解をお聞きした。
事故の真相究明にあたる国会事故調として大変意義のある議論だったと思う。
まず国会事故調として、本日の議論の意味合い、今後検討するにあたって考慮すべき重要なポイントを6つ申し上げたい。
本日の議論を通じて我々が考えた6つの重要なポイント
1.【原子力に関わる人々の責任】
原子力に携わる者は、安全に関して高い規範を持たなければならない。常に、さらに高い安全水準を目指して挑戦する責任を負う。
事業者やメーカーは、規制機関によって基準が定められたからこの程度でもよいといった、受け身の甘えた考えは許されない。
規制機関も、事業者には専門性でかなわないとか、事故の一義的な責任は事業者にあるから、といった言い訳は許されない。
事業者、規制機関、学者、そしてメーカーなど関係者がすべて安全を唯一絶対の目標として自律的に不断の努力を尽くす姿勢が不可欠であると認識している。
1.【事業者の責任と独立性】
発電所の事故防止と事故の被害拡大の阻止については事業者が一義的に責任を負う。緊急時において、事業者は、事故対応について自らの責任のもとに判断することが求められる。発電所の操作・運営に政治家の判断を仰がねばならない状態は避けるべきであり、責任もあいまいになる。そのために、事業者は常日頃から、安全確保のための厳しい自己責任原則を確立し、そのための能力を維持しなければならない。
1.【規制機関の責任と独立性】
規制機関は、平時だけでなく緊急時においても、常に事業者に正しい判断を行わせ、実行させることで、事故の拡大防止を実現する能力を備える責任がある。規制機関自らも、事業者から、政治からの独立性を確保し、その責任を負わなければならないという使命がある。また、規制機関の組織は、緊急時を想定し、あらかじめ事業者と政府の役割分担・指示命令系統を明確にし、訓練によって徹底的に浸透させる義務を負わなければならない。
1.【意思決定プロセスの透明性】
国家安全保障等に係る場合を除き、すべての意思決定を透明にしていくこと、さらには国民が参加の機会を持つこと、意見を言う機会があることが、独立性を担保するうえで、また国民、そして世界からの信頼を得るうえで非常に重要である。
1.【人材の重要性】
アメリカNRCでは、原子力安全に人生のキャリアをかける専門家人材が主体になっているという点も、日本が学ばなければならない重要なポイントだ。
「原子力安全を第一の使命とした組織」の中でキャリアを積み上げることを可能にすることが一つのキーポイントだと思う。
いわゆる官僚組織の中をローテーションしながら育成された人材が緊急時に役に立たなかったことはこれまでの委員会でも明らかになった。
もっと専門家にインセンティブを与えることも重要だ。
1.【事故調査における独立性・透明性】
原発事故調査においては、独立性と透明性が何よりも重要なポイントだ。
国会事故調のような独立の第3者機関を活用していかなければ、世界に対して説明がつかないと同時に、世界からも信頼を得られないのではないか。
そのことも今回のメザーブ博士の重要なメッセージだったと判断している。
国会事故調のこれまでの検討で、原子力規制の在り方について、内容的にも重要なことが明らかになりつつある。
今回も原子力安全についての重要な示唆をいただいた。また、安全文化ということの重要性も認識できた。
国会事故調としては6月の最終報告に向けて、これらについて可能な限り、明確にしていく予定である。
黒川 清委員長 コメント
本日の第5回委員会では、米国原子力規制委員会(NRC)元委員長で、現在カーネギー研究所理事長であるリチャード A. メザーブ博士に、長年原子力にかかわってこられた専門家としての見地から、見解をお聞きした。
事故の真相究明にあたる国会事故調として大変意義のある議論だったと思う。
まず国会事故調として、本日の議論の意味合い、今後検討するにあたって考慮すべき重要なポイントを6つ申し上げたい。
本日の議論を通じて我々が考えた6つの重要なポイント
1.【原子力に関わる人々の責任】
原子力に携わる者は、安全に関して高い規範を持たなければならない。常に、さらに高い安全水準を目指して挑戦する責任を負う。
事業者やメーカーは、規制機関によって基準が定められたからこの程度でもよいといった、受け身の甘えた考えは許されない。
規制機関も、事業者には専門性でかなわないとか、事故の一義的な責任は事業者にあるから、といった言い訳は許されない。
事業者、規制機関、学者、そしてメーカーなど関係者がすべて安全を唯一絶対の目標として自律的に不断の努力を尽くす姿勢が不可欠であると認識している。
1.【事業者の責任と独立性】
発電所の事故防止と事故の被害拡大の阻止については事業者が一義的に責任を負う。緊急時において、事業者は、事故対応について自らの責任のもとに判断することが求められる。発電所の操作・運営に政治家の判断を仰がねばならない状態は避けるべきであり、責任もあいまいになる。そのために、事業者は常日頃から、安全確保のための厳しい自己責任原則を確立し、そのための能力を維持しなければならない。
1.【規制機関の責任と独立性】
規制機関は、平時だけでなく緊急時においても、常に事業者に正しい判断を行わせ、実行させることで、事故の拡大防止を実現する能力を備える責任がある。規制機関自らも、事業者から、政治からの独立性を確保し、その責任を負わなければならないという使命がある。また、規制機関の組織は、緊急時を想定し、あらかじめ事業者と政府の役割分担・指示命令系統を明確にし、訓練によって徹底的に浸透させる義務を負わなければならない。
1.【意思決定プロセスの透明性】
国家安全保障等に係る場合を除き、すべての意思決定を透明にしていくこと、さらには国民が参加の機会を持つこと、意見を言う機会があることが、独立性を担保するうえで、また国民、そして世界からの信頼を得るうえで非常に重要である。
1.【人材の重要性】
アメリカNRCでは、原子力安全に人生のキャリアをかける専門家人材が主体になっているという点も、日本が学ばなければならない重要なポイントだ。
「原子力安全を第一の使命とした組織」の中でキャリアを積み上げることを可能にすることが一つのキーポイントだと思う。
いわゆる官僚組織の中をローテーションしながら育成された人材が緊急時に役に立たなかったことはこれまでの委員会でも明らかになった。
もっと専門家にインセンティブを与えることも重要だ。
1.【事故調査における独立性・透明性】
原発事故調査においては、独立性と透明性が何よりも重要なポイントだ。
国会事故調のような独立の第3者機関を活用していかなければ、世界に対して説明がつかないと同時に、世界からも信頼を得られないのではないか。
そのことも今回のメザーブ博士の重要なメッセージだったと判断している。
国会事故調のこれまでの検討で、原子力規制の在り方について、内容的にも重要なことが明らかになりつつある。
今回も原子力安全についての重要な示唆をいただいた。また、安全文化ということの重要性も認識できた。
国会事故調としては6月の最終報告に向けて、これらについて可能な限り、明確にしていく予定である。