井戸川町長は双葉町町議会で以下の内容を表明した。(1)東電からの保管要請(2)安全な構造(3)最終処分先の確定と全量搬出(4)施設に対する町の検査、命令、課税権の確保(5)双葉郡の一部事務組合による管理参画-を挙げた。
除染後の除染土壌、汚染された物質(コンクリート、廃材、樹木、草など)を除染後保管する設備を双葉郡に設置したいとの政府方針への双葉町長、町議会の要請内容です。ここで(1)に記載された東京電力が放射能汚染を引き起こしたのであるから、放射能汚染された物質、除染後の汚染物は東京電力責任の汚染物(東京電力が責任を持つべき、保管すべき汚染物であるとの認識)であるとの規定、要求は極めて正当なものです。したがって、東京電力が中間貯蔵施設に対する保管要請を各自治体に出すべきである。そのことがまず、前提条件である。筋論です。
その上で、(2)中間貯蔵施設は安全な構造を構築すべきである。これは当然の要求事項です。福島第一原発事故で被曝し、地域一体が放射能汚染された地域が再度、高濃度の除染物で汚染されることは絶対に避けなければならない課題です。
また、(3)「最終処分場を確定させ、全量搬出するべきである」との要請もきわめて正当な要求です。現在福島以外の稼動している原子力発電所、ウラン燃料の核廃棄物処理最終処分場は決まっていません。中間貯蔵施設は青森県東通村です。最終処分場が決まっていない状態で、中間貯蔵施設に除染物、汚染物を保管すれば、最終処分場がない段階では「半永久的な」「中間貯蔵施設=最終処分場」となる危険性、可能性があるからです。
これまで東京電力、経済産業省、原子力安全保安院などは地域住民の要求を無視してきました。老朽化対策、耐用年数の規制などを東京電力、電力各社任せにしてきました。その結果、利潤追求を最優先化して事故を多発させました。今回の福島原発事故対策でも、廃炉を恐れて海水注入を東京電力が決断できなかった。ここにも彼らの利益第一主義が表面化しました。そのくらい、利益第一主義は徹底され、安全性は軽視されていました。したがって、(4)立地自治体が検査、命令、課税権をしっかり確保することは当然の要求です。しかし、自治体が原子力設備、安全性の確保に関する点検を行うことは体制上、財政上の負担との関係で、きわめて大きな困難性があります。(自己矛盾でもあります)原子力発電を国策として進めた政府、経済産業省への不信感、政府の無責任さへの抗議でもあると思います。本当に原子力発電、稼動の矛盾と現在の科学技術のレベルではコントロールできない技術であることが理解できます。原子力発電が電力単価で安いとの電力会社の宣伝はこの1つを見ても「うそ」であると分かります。