原子力災害の根絶を!
<2005年に福島県連絡会が東京電力に対して行った申し入れ>を下記に添付します。東京電力、電力業界、経団連は「想定外」を理由として責任はなかったと主張しています。しかし、彼らの主張、理屈が“うそ”であることが明らかな文書、申し入れをぜひ知ってほしいと思います。
この下記文書は、「想定外」でなかったことを証明しています。東京電力は地震、津波被害が原子力災害を引き起こすかもしれないということを知っていた。それを経済効果、利益第一主義を優先した勝俣社長(当時、本当の悪人)、役員の判断によって引き起こされた原子力災害です。
第一に、勝俣会長、経営幹部の刑事責任を追及すべきだと思います。このことは他の電力会社、原子力産業で利益を享受している利益第一主義者、原子力発電所再稼動にうごめく原子力村住民、御用学者などへの警告となるからです。東京電力(各電力会社)への批判的意見、タブーを打ち破ることにもなります。
原子力災害の議論にあたって「原発反対」「原子力は必要」の二者択一はおかしい。との議論が提示されています。福島県の避難者が「災害で出た被災物」の広域処理で各自治体から「拒否」されていることはおかしい。そもそも福島県の原子炉12基は東京電力、関東地区の電力を供給していたんだぞ!との「叫び」はそのことを示しています。
自分たちは放射能汚染、放射線を浴びることは「拒否」するがーーこの意識は当然です。しかし、それは自分、居住地だけの利害ではなく、全国民に等しく及ぶ意識、権利でもあるのだと思い至ることが必要と思います。
原子力災害と原子力発電再稼動の問題を「感情論」で考え、議論することは間違いです。原子力災害は現実であり、認識をしなければなりません。事実なのです。しかも、その災害で地域が全滅し、被爆した住民が多数発生したことをゴマかさないで、認識することです。しかも、福島を除いて42基も原子炉が存在して、稼動していました。今後も原子力災害が起きる可能性が非常に高く存在していることが現実です。
原子力災害の根絶のためには、第二に、原子力事故、産業の情報を開示すべきです。「エネルギー確保のためには必要だ」などの経済論理からの必要論が本当かどうかを検証することが必要です。電力会社の論理は自らに有利な結論に誘導するために「原子力発電の単価が安い、環境によい」などの論陣を張っています。彼らと原子力村は「再生可能エネルギー」の拡大、産業発展の実質的妨害を行っています。このようなことを止めさせる、公開の場での議論、論拠を開示させることが必要です。そのためには経済産業省、原子力保安院の改革、監視が重要な意味を持つと思います。許認可権を握る彼らの行動を監視し、適切な批判をくわえることが今後の原子力発電所再稼動に重要な意味を持っています。
第三に、再生可能エネルギーへの転換を促進する世論形成が重要だと思います。表面的な経済論理に振り回されず、節電を行いながら、再生可能エネルギーの利用、促進に協力することが必要です。そのことで再生可能エネルギーへの投資、推進者を支援することが出来ます。政府、経済界が再生可能エネルギーを無視できない環境を作り上げる必要もあります。
場合によっては原子力発電からの電力を利用しない運動も必要かも知れません。各電力会社、経団連の意向に任せている限りは新しい流れは作り出せないことは確かです。
第四に、停止中の原子炉を再稼動させない運動を拡大することです。福島原発事故の要因も分からず、調査中の一方で原子炉を再稼動させ、その電力を利用しながら、原子力災害の防止を考え、議論することは矛盾です。
現在、54基中52基が停止中です。節電をし、企業が持っている自家発電能力を活用すれば、最大電力使用能力を超過することは防ぐことが出来ます。その結果、大規模停電は防ぐことが出来ています。
今までもそうであったように電力会社、原子力村、野田、前原、仙石、原子力保安院、自民党などは常に国民を馬鹿にして 「どうせ稼動したらあきらめる」「金の力で立地自治体を黙らせ」「安全神話を振りまき」「いつかは忘れるだろうから」という思惑で着々と再稼動に向けた手続きを進めています。原発マネーに依存した自治体は財政収入を確保するために(福島県、立地自治体がそうであったように一部ボスの浅はかな思惑)再稼動を待っています。佐賀県、玄海町、東通村などの動きがそのことを証明しています。彼らの考え方を止めさせるためにも批判を強め、運動を無視できないように広め、続けることが重要です。
<2005年に福島県連絡会が東京電力に対して行った申し入れ>
「チリ津波級の引き潮、高潮時に耐えられない東電福島原発の抜本的対策を求める申し入れ」 2005年5月10日 原発の安全性を求める福島県連絡会代表 早川篤雄
地震や津波に対する原発の安全審査については、かねてから問題提起をしてきましたが、社団法人土木学会が2002年2月にまとめた「原子力発電所の津波評価技術」に照らし合わせても、福島原発の場合、現状のままではチリ津波級によって発生が想定される引き潮、高潮に対応できないことが、これまでの私たちと東電のやり取りで明らかになりました。チリ津波は1960年のことで、このことは、本来、東電は承知のはずであり、福島第一・第二原発の建設・運転に当たって、当然、対策が措置されているべきものです。ところが、福島原発の各原発は、これらの欠陥を放置したままに、建設・運転されていたことになり、きわめて重大な事態と言わねばなりません。
(1) チリ津波級の引き潮のとき、第一原発の全機で、炉内の崩壊熱を除去するための機器冷却用海水設備が機能しないこと、及び冷却材喪失事故用施設の多くが機能しないことが判明しました。
私たちはこの点を重視し、県民の安全・安心を確保する立場から、早急な改善を三度にわたって求めてきました。
しかし、「原子炉圧力抑制室などに貯水しているので、津波で海水が取水できなくても大丈夫」 といい続け、まじめに改善策を検討する態度はみられません。原子炉圧力抑制室などの貯水を使うということは、原子炉の冷却材喪失事故状態(最悪の場合空焚きから苛酷事故に至る)そのものになっていることを意味しています。
これまで住民運動の苛酷事故未然防止の要求を受けて、浜岡原発1号・2号機では3号機増設時に海水を別途取水するバイパス管(岩盤中に連携トンネル)を取り付け、女川原発の1~3号機では、取水口のある湾内を十メートル掘り下げて、機器冷却用水確保の対策を実施しています。
東電はこうした例にも謙虚に学び、早急に抜本的な対策をとるよう、強く求めるものです。
(2) 高潮のときに、第二原発の44台の海水ポンプが水没することも判明しています。
想定される最大の高潮のときに、第一原発6号機の海水ポンプ14台が20㌢水没し、第二原発は1号機と2号機(各々11台ずつの22台の海水ポンプ)が90㌢水没し、3号機と4号機(同じく22台)が、100㌢水没することになります。そこで東電は第一原発の6号機については土木学会が発表した直後の定期検査にあわせて密かに20㌢のかさ上げ工事をしました。
しかし、第二原発の海水ポンプは「水密性を有する建物内に設置されているので安全性に問題はない」として、今日まで何の手も打っていません。
これに対し私たちは再三、海水ポンプ建屋を見せてもらいたいと申し入れをしましたが、テロ対策上見せられないという態度をとり続けています。
これは、テロ対策を理由にした「悪乗り」としか言いようがないものであり、黙過することのできないことです。
2002年に発覚したあまりにもひどい事故隠し、改ざん事件を経て、二度とこうしたことを繰り返さない、今後は包み隠さず情報公開に努めると県民に約束したのは、いったいなんだったのかといわざるを得ません。わたしたちは強く抗議し、また、海水ポンプ建屋を公開するとともに、抜本的な対策をとるよう求めるものです。
(3) 津波が運ぶ土砂への対策を立てるよう求めます。
スマトラ島沖地震で発生した高潮は、地形を変えてしまうほどの大量の土砂を海岸線に運びました。福島原発の取水口や排水口が土砂で塞がれる危険性もあります。対策をとるよう求めます。
(4) 福島第一・第二原発の各号機の安全審査において、チリ津波について、どのように取り扱われたのか、それぞれ明らかにするよう求めます。
東京電力株式会社社長 勝俣 恒久 様
<2005年に福島県連絡会が東京電力に対して行った申し入れ>を下記に添付します。東京電力、電力業界、経団連は「想定外」を理由として責任はなかったと主張しています。しかし、彼らの主張、理屈が“うそ”であることが明らかな文書、申し入れをぜひ知ってほしいと思います。
この下記文書は、「想定外」でなかったことを証明しています。東京電力は地震、津波被害が原子力災害を引き起こすかもしれないということを知っていた。それを経済効果、利益第一主義を優先した勝俣社長(当時、本当の悪人)、役員の判断によって引き起こされた原子力災害です。
第一に、勝俣会長、経営幹部の刑事責任を追及すべきだと思います。このことは他の電力会社、原子力産業で利益を享受している利益第一主義者、原子力発電所再稼動にうごめく原子力村住民、御用学者などへの警告となるからです。東京電力(各電力会社)への批判的意見、タブーを打ち破ることにもなります。
原子力災害の議論にあたって「原発反対」「原子力は必要」の二者択一はおかしい。との議論が提示されています。福島県の避難者が「災害で出た被災物」の広域処理で各自治体から「拒否」されていることはおかしい。そもそも福島県の原子炉12基は東京電力、関東地区の電力を供給していたんだぞ!との「叫び」はそのことを示しています。
自分たちは放射能汚染、放射線を浴びることは「拒否」するがーーこの意識は当然です。しかし、それは自分、居住地だけの利害ではなく、全国民に等しく及ぶ意識、権利でもあるのだと思い至ることが必要と思います。
原子力災害と原子力発電再稼動の問題を「感情論」で考え、議論することは間違いです。原子力災害は現実であり、認識をしなければなりません。事実なのです。しかも、その災害で地域が全滅し、被爆した住民が多数発生したことをゴマかさないで、認識することです。しかも、福島を除いて42基も原子炉が存在して、稼動していました。今後も原子力災害が起きる可能性が非常に高く存在していることが現実です。
原子力災害の根絶のためには、第二に、原子力事故、産業の情報を開示すべきです。「エネルギー確保のためには必要だ」などの経済論理からの必要論が本当かどうかを検証することが必要です。電力会社の論理は自らに有利な結論に誘導するために「原子力発電の単価が安い、環境によい」などの論陣を張っています。彼らと原子力村は「再生可能エネルギー」の拡大、産業発展の実質的妨害を行っています。このようなことを止めさせる、公開の場での議論、論拠を開示させることが必要です。そのためには経済産業省、原子力保安院の改革、監視が重要な意味を持つと思います。許認可権を握る彼らの行動を監視し、適切な批判をくわえることが今後の原子力発電所再稼動に重要な意味を持っています。
第三に、再生可能エネルギーへの転換を促進する世論形成が重要だと思います。表面的な経済論理に振り回されず、節電を行いながら、再生可能エネルギーの利用、促進に協力することが必要です。そのことで再生可能エネルギーへの投資、推進者を支援することが出来ます。政府、経済界が再生可能エネルギーを無視できない環境を作り上げる必要もあります。
場合によっては原子力発電からの電力を利用しない運動も必要かも知れません。各電力会社、経団連の意向に任せている限りは新しい流れは作り出せないことは確かです。
第四に、停止中の原子炉を再稼動させない運動を拡大することです。福島原発事故の要因も分からず、調査中の一方で原子炉を再稼動させ、その電力を利用しながら、原子力災害の防止を考え、議論することは矛盾です。
現在、54基中52基が停止中です。節電をし、企業が持っている自家発電能力を活用すれば、最大電力使用能力を超過することは防ぐことが出来ます。その結果、大規模停電は防ぐことが出来ています。
今までもそうであったように電力会社、原子力村、野田、前原、仙石、原子力保安院、自民党などは常に国民を馬鹿にして 「どうせ稼動したらあきらめる」「金の力で立地自治体を黙らせ」「安全神話を振りまき」「いつかは忘れるだろうから」という思惑で着々と再稼動に向けた手続きを進めています。原発マネーに依存した自治体は財政収入を確保するために(福島県、立地自治体がそうであったように一部ボスの浅はかな思惑)再稼動を待っています。佐賀県、玄海町、東通村などの動きがそのことを証明しています。彼らの考え方を止めさせるためにも批判を強め、運動を無視できないように広め、続けることが重要です。
<2005年に福島県連絡会が東京電力に対して行った申し入れ>
「チリ津波級の引き潮、高潮時に耐えられない東電福島原発の抜本的対策を求める申し入れ」 2005年5月10日 原発の安全性を求める福島県連絡会代表 早川篤雄
地震や津波に対する原発の安全審査については、かねてから問題提起をしてきましたが、社団法人土木学会が2002年2月にまとめた「原子力発電所の津波評価技術」に照らし合わせても、福島原発の場合、現状のままではチリ津波級によって発生が想定される引き潮、高潮に対応できないことが、これまでの私たちと東電のやり取りで明らかになりました。チリ津波は1960年のことで、このことは、本来、東電は承知のはずであり、福島第一・第二原発の建設・運転に当たって、当然、対策が措置されているべきものです。ところが、福島原発の各原発は、これらの欠陥を放置したままに、建設・運転されていたことになり、きわめて重大な事態と言わねばなりません。
(1) チリ津波級の引き潮のとき、第一原発の全機で、炉内の崩壊熱を除去するための機器冷却用海水設備が機能しないこと、及び冷却材喪失事故用施設の多くが機能しないことが判明しました。
私たちはこの点を重視し、県民の安全・安心を確保する立場から、早急な改善を三度にわたって求めてきました。
しかし、「原子炉圧力抑制室などに貯水しているので、津波で海水が取水できなくても大丈夫」 といい続け、まじめに改善策を検討する態度はみられません。原子炉圧力抑制室などの貯水を使うということは、原子炉の冷却材喪失事故状態(最悪の場合空焚きから苛酷事故に至る)そのものになっていることを意味しています。
これまで住民運動の苛酷事故未然防止の要求を受けて、浜岡原発1号・2号機では3号機増設時に海水を別途取水するバイパス管(岩盤中に連携トンネル)を取り付け、女川原発の1~3号機では、取水口のある湾内を十メートル掘り下げて、機器冷却用水確保の対策を実施しています。
東電はこうした例にも謙虚に学び、早急に抜本的な対策をとるよう、強く求めるものです。
(2) 高潮のときに、第二原発の44台の海水ポンプが水没することも判明しています。
想定される最大の高潮のときに、第一原発6号機の海水ポンプ14台が20㌢水没し、第二原発は1号機と2号機(各々11台ずつの22台の海水ポンプ)が90㌢水没し、3号機と4号機(同じく22台)が、100㌢水没することになります。そこで東電は第一原発の6号機については土木学会が発表した直後の定期検査にあわせて密かに20㌢のかさ上げ工事をしました。
しかし、第二原発の海水ポンプは「水密性を有する建物内に設置されているので安全性に問題はない」として、今日まで何の手も打っていません。
これに対し私たちは再三、海水ポンプ建屋を見せてもらいたいと申し入れをしましたが、テロ対策上見せられないという態度をとり続けています。
これは、テロ対策を理由にした「悪乗り」としか言いようがないものであり、黙過することのできないことです。
2002年に発覚したあまりにもひどい事故隠し、改ざん事件を経て、二度とこうしたことを繰り返さない、今後は包み隠さず情報公開に努めると県民に約束したのは、いったいなんだったのかといわざるを得ません。わたしたちは強く抗議し、また、海水ポンプ建屋を公開するとともに、抜本的な対策をとるよう求めるものです。
(3) 津波が運ぶ土砂への対策を立てるよう求めます。
スマトラ島沖地震で発生した高潮は、地形を変えてしまうほどの大量の土砂を海岸線に運びました。福島原発の取水口や排水口が土砂で塞がれる危険性もあります。対策をとるよう求めます。
(4) 福島第一・第二原発の各号機の安全審査において、チリ津波について、どのように取り扱われたのか、それぞれ明らかにするよう求めます。
東京電力株式会社社長 勝俣 恒久 様