東京電力の刑事責任を問うべきであり、その刑事責任を問わない政治、司法の姿勢こそが最大の問題です。電力会社は各地域の大手企業群の上位に君臨しています。北海道経済団体の会長は、北海道電力社長、副社長が代々、就任し支配しています。このような構図は、全国の企業群、経済団体に共通したものです。
電力会社は潤沢な資金を使って政治献金、関連企業、大手金融機関、重電メーカー、ゼネコン、鉄鋼メーカーなどに利益を提供してきました。その仕組みが総括原価方式、地域独占による価格安定化でした。電力会社はリスクをすべて利用者である国民につけまわして、国民収奪で存続、利益を確保してきただけです。その点ではまともな経営管理などは必要でなく、政治資金などを通じて政治支配に現を抜かす時間的、経営的余裕があったのだと思います。
その体質が継続し、すべてのことを国民に付回す。利益のためにはどんな汚いことでも行う東京電力の「無能さ、でたらめさ」をさらけ出しています。このような企業は破たん処理をすること以外に手はありません。資産を事故対策費用にすべて提供することこそが正義です。東京電力を解体し、送電会社、発電会社に分離すること。原子力発電の中止、廃炉、民間企業の発電を供給能力に加算すること、再生可能エネルギーの投資、開発で、電力の確保は確実に出来ます。その上で利用者の節電、生活様式の見直しを進めることではないかと。
<河北新報社説>東京電力汚染水漏れ、ずさんな管理
東京電力福島第1原発でまた、高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れた。保管タンクにつながる弁の開閉ミスによって、約100トンがあふれ出てしまった。不注意やミスが重なった結果とみられるが、弁の開閉について意図的な隠蔽(いんぺい)が行われた可能性も指摘されている。
タンクからの大規模な汚染水漏れは昨年8月にも発覚した。タンク底部のパッキンが変形して約300トンの汚染水が漏れたが、今回は構造の問題でなく作業上の不手際になる。
福島第1原発では膨大な量の汚染水が発生し、海への流出も止められないでいる。いまだに初歩的なミスを防げないのは深刻な事態であり、国は東電の管理体制を抜本的に見直す姿勢で臨むべきだ。
汚染水漏れは「H6」と呼ばれる場所のタンク群の中の1基で起きた。放射線量は1リットル当たり約2億3千万ベクレルで、昨年8月(約2億ベクレル)を超える強さになっている。ストロンチウム90などの放射性物質が含まれているとみられる。
別の場所にあるタンクに汚染水を入れようとしたのに、誤ってH6のタンクに入れてしまった。このタンクは既に汚染水で満杯に近かったため、天板からあふれる結果になった。
本来はタンクにつながる配管にある弁を閉じなければならないのに、開いていたことが原因だった。
弁の開閉を間違うのも大きな問題だが、より厳しく検証しなければならないのは東電の安全管理体質ではないか。
あふれたタンクでは、水位が高すぎることを示す警報が鳴った。協力企業が東電に連絡したが、担当者は汚染水を入れる予定のタンクでなかったために、単なる計器異常と判断したという。
正常に作動した警報を故障による間違いと決めつけてしまっては、安全確保が根本から崩れてしまう。
さらに東電の調査によって、弁の開閉をめぐって不可解な事実が判明している。汚染水の漏えいが分かったのは先月19日午後11時半ごろだった。その12時間程前に撮られた写真では問題の弁は開いており、汚染水が流れ込む状態だった。
ところが漏えいが発覚した約1時間後には、なぜか閉じていたことが分かっている。その間、弁を操作したという報告はないというから、開閉ミスを隠すために何者かが急いで「証拠隠滅」を図ったと受け止めるしかあるまい。
原発内の作業現場は一体どうなっているのか、度重なる失態に不信感は強まる一方だ。
東電はさらに、放射線量をこれまで過小評価していた疑いも濃厚になっている。国の原子力規制委員会から「放射線測定の基本知識が欠けている」とまで酷評された。
当然のことだが、廃炉作業や汚染水対策のためには安全確保が大前提になる。組織の体質や科学的な知識の不足が問われるようでは、全く心もとない。