“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

住民の命を守る もっと危機意識を持って

2014年03月11日 17時00分13秒 | 臼蔵の呟き

<北海道新聞社説> 住民の命を守る もっと危機意識を持って

 東日本大震災の発生からきょうで3年を迎えた。

 マグニチュード(M)9・0の巨大地震が東北地方の沿岸部を襲い、続く津波で集落が次々と崩壊していく惨状がいま、あらためてよみがえる。

 ひとたび大地震が起これば、長い海岸線を持つ北海道にも同様の惨事が襲いかかるのは自明の理である。

 大震災では道内も、死者を含む大きな被害に直面したことを思い起こさなければならない。

 だが、この3年間の道や自治体の取り組みは果たして万全だったといえるだろうか。道の被害想定が震災前から見直されていない現状が危機感の欠如を物語る。

 立ち止まることは許されない。道民一人一人が防災意識を高めたい。備えに一刻の猶予もない。

■浸水域に45万人居住

 道内では太平洋沖を震源とする巨大地震がほぼ500年間隔で起きている。この発生歴を踏まえれば「次」は切迫している。

 道は2012年の浸水域などの見直しで津波高を最大35メートルとし、道東や日高、胆振管内から道南まで大津波が襲来すると想定した。

 日本海側とオホーツク海側を含めると45万人もの人が津波に襲われる浸水域に暮らしているとされる。その緊張感をどれだけの住民が共有しているだろうか。

 道は犠牲者数や経済に与える打撃など被害想定の改定を急ぎ、市町村も対策を加速すべきだ。

 大震災から3年を機に、北海道新聞が行った調査では、道内の半数近い沿岸自治体が、なお津波避難計画の策定を終えていないことが明らかになった。

 避難計画が策定されなければ「避難困難地域」は特定できない。最優先で取り組まねばならない。

 釧路市は避難困難地域に限って車での避難を認めることにしたが、住民の不安は払拭(ふっしょく)されていない。過去の地震で渋滞が生じ、避難先にたどり着けなかったからだ。

 同様の悩みを持つ自治体と情報交流を進め、知恵を絞りたい。

■「南海」は対策が進む

 過去3年間、政府の検討は「南海トラフ」と「首都直下」大地震に重点が置かれてきた。

 東海地方から四国、九州まで太平洋岸に広く大津波をもたらす南海トラフ地震の避難困難地域では、すでに避難タワーやシェルターの建設が進められている。

 施設整備費の3分の2を国が補助する制度が創設され、対策が年々、拡充されている。

 これに対し、大きなリスクを抱える道内が置き去りにされてきた感は拭えない。

 道には深刻な状況を政府に訴え、意識を変えさせる責務がある。

 地域によっては県が主体になって避難施設を建造している現状からすれば、道には住民の安心を保障する強い指導力も見えない。

 東日本大震災は、壊滅的な被害を受けた地域に対し、外部からの早急な物資補給や人材支援が欠かせないことを教訓に残した。

 こうした体制を重層的に強化していく必要がある。

■泊再稼働に道開くな

 東京電力福島第1原発の過酷事故は、避難の困難さを見せつけた。風向きに応じた避難先の変化に対応できず、結果的に放射能被害を拡大させた。

 北海道電力泊原発で事故があれば、同様の事態も想定される。

 泊原発は12年5月から、3基が全停止しているが、敷地内には使用済み核燃料などが保管されている。稼働していないからといって安心できない。

 泊原発から30キロ圏内にある後志管内の13町村はそれぞれ、今月7日までに住民約7万7千人の避難計画を策定した。

 泊原発は積丹半島の付け根に位置し、気象条件に応じて古平町に通じる当丸峠が通行止めになる。

 国道5号など、限られた道路を避難ルートに想定していることを考えれば、避難計画の実効性は極めて心もとない。

 高齢化が進行する地域のお年寄りなど弱者をどう守るか。重い課題でありながら、こうした取り組みは進んでいない。

 原発からわずか9キロにある障害者支援施設「岩内あけぼの学園」(岩内町)は、事故に伴う長期避難に備え、十勝管内清水町や伊達市の施設と、相互に避難支援を行う協定を独自に締結した。

 こうした試みを歓迎したい。

 泊周辺の現状をみれば、道は安易に再稼働に道を開くことがあってはならない。

 泊周辺の住民が置かれた厳しい状況を見据え、命を守り抜く施策を強く打ち出すべきだ。


東日本大震災から3年

2014年03月11日 14時46分00秒 | 臼蔵の呟き

各新聞社が東日本大震災関連の社説を掲載しています。

多くの社説は、原発と廃炉、福島復興の遅れに関して見解を掲載しています。この日経新聞は経済記事を得意とする新聞社ということもあり、経済問題、産業の復旧、復興状況を取材し、報道しています。

東日本大震災から3年がたちました。圧倒的多くの被災者、被災自治体は復興が遅い。国の対応が悪い。安倍政権の被災地復興の対応が悪いと主張しているのが特徴です。東京オリンピックと公共工事、原発事故を意識的に小さく見せかけるような政府の対応。いずれも、被災地で懸命に立ち上がる自治体、被災者から見れば「いい加減にしろ!」といいたい気持ちになるのは当たり前です。復興税を国民から徴収しながら、大手企業には復興法人税負担を無くす。復興予算を他の公共事業、全く震災に関係ない事業に流用する。彼らの不真面目さといい加減さは不真面目さを通り越して、本当に日本国政府、国民の安心、安全を課題とする行政、政府なのかと考えさせられてしまいます。

 <記事>

 1万8000人を超す死者・行方不明者を出した東日本大震災からまもなく3年がたつ。今も仮設住宅などで暮らす被災者は26万人に上る。あの震災を経て、日本は変われるのだろうか。イチゴ産地である宮城県亘理町でもうすぐ200区画の住宅団地の造成が終わる。津波で被災し、「災害危険区域」に指定された地域の人々が集団移転するが、10区画程度の空きが出る見通しだ。

省庁は柔軟な対応を

 他地域に転出したり、自力で住宅を建てることをあきらめたりした被災者が相次いだためだ。町は危険区域外でも自宅が被災した町民に追加募集したが、国土交通省から「目的外使用だ」とその分の造成費の返還を求められている。 この事業は国が全額負担するから無駄遣いは困る。しかし、時間とともに被災者の意向は変わる。国の姿勢は画一的ではないか。

 それでも住宅再建が進み始めた亘理町は良い方だ。被災地で完成した宅地や公営住宅はまだ一部にすぎない。移転用地を確保したくても所有者が不明だったり、未登記だったりして難航している。

 そこで岩手県は昨年11月、第三者機関に自治体が買収費をあらかじめ納めれば、所有者の同意がなくても工事に着手できる制度の創設を国に提案した。しかし、「私有財産権を侵害しかねない」と国は認めなかった。

 震災から3年がたって中央省庁の硬直的な対応が目立ち始めた。制度に被災地を当てはめるのではなく、被災地の状況に応じた対応が必要だ。それが復興に取り組む原点ではなかったのか。

 住宅再建が遅れれば仮設住宅での生活がさらに長期化する。高齢の被災者は高血圧や心臓病などの持病を抱えている人が多いが、医療や介護の人材が足りない。

 阪神大震災をみても住宅再建が本格化する時期にむしろ、仮設住宅に取り残された高齢者の「孤独死」が起きやすい。心のケアに努める人材ももっと要る。

 産業再生も道半ばだ。宮城県石巻市の水産加工団地では震災前の6割の企業の施設が再稼働し、石巻漁港の水揚げも7割近くまで回復した。しかし、その実態は数字ほどには戻っていない。

 最大の悩みは人手不足だ。震災前は加工団地の近くに住む人がパート従業員などとして作業にあたった。だが、沿岸部は津波被害が大きく、現在は内陸部などに点在する仮設住宅で暮らす人が多い。石巻魚市場の須能邦雄社長は「加工団地までは遠く、仕事に戻る意欲が起きない人もいる」と話す。こうした被災者の就業が進まないと施設を本格稼働できない。

 宮城や岩手と比べて、福島の復興は遅れている。福島第1原子力発電所では汚染水漏れが続き、事故で溶けた核燃料の状況もまだ分からない。まずは汚染水対策に全力を挙げ、廃炉作業を少しでも前進させる必要がある。

 除染もはかどっていない。政府は「長期的に被曝(ひばく)線量を年1ミリシーベルトまで下げる」という除染目標を見直し、住民ごとに配った線量計のデータをもとに達成状況を柔軟に判断すると変えた。

 1ミリシーベルトを巡っては「目標が高すぎる」と批判が多く、見直しは妥当だ。国や自治体は新たな指針に沿って除染を加速させるべきだ。

住宅などの集約が必要

 政府は4月1日に田村市の一部で避難指示を解除する方針だ。だが、避難解除から1年後に損害賠償が打ち切られたり、戻る人とそうではない人の賠償額に格差があったりすることに対して、住民の不安や不満は根強い。

 大熊町や双葉町では避難生活が長期化し、「除染が終わっても戻らない」と考える住民が増えている。帰還を諦めた人にも配慮し、国は定住場所の確保や就労・就学の支援をもっと強めてほしい。

 被災地の多くは過疎化が進んだ地域だ。復興にあたっては公共施設などを核にできるだけ住宅を集約したい。巨大な防潮堤に頼るのではなく、避難ビルなども組み合わせた減災の視点が欠かせない。

 農地や漁業施設の規模拡大も要る。昔の姿に戻すだけでは今後の産地間競争に打ち勝てない。

 被災地の真の復興なくして、新しい日本はない。そのためには国や自治体が制度を柔軟に運用し、地域の実情に合わせた再生策を機敏に打ち出す必要がある。この点を改めて肝に銘じたい。


原発事故から3年

2014年03月11日 10時56分20秒 | 臼蔵の呟き

沖縄を代表する社説、見解表明です。沖縄は敗戦で日本軍による甚大な被害を受けました。敗戦後は米軍占領、アメリカによる統治、米軍基地被害に現在も苦しんでいます。その意味では半世紀の間、戦争、米軍、米軍基地による被害を耐えしのいできました。

東日本大震災から3年、津波被害の地域も、ほとんど復興は進んでいません。しかし、福島浜通り、放射能汚染地域は放射性物質による被害で、立ち入ること、故郷に帰還すること自身が阻まれています。震災からの復旧すら間々ならない現実があります。この点で他の震災被害、被災地とは異なる問題を抱えています。その意味では、3年たとうが、4年たとうが関係なく、汚染地域を除染し、線量を下げ、普通に生活できる環境、自治体に戻すことは東京電力、自民党政権、原子力ムラ関連企業群にその責任があります。そのことを語らず、原子力発電再稼動は政府の方針???。安全と確認された原発は再稼動します。ふざけるなよといいたいですね。地元自治体をだまし、福島県民をこれ以上愚弄することはやめるべきです。

<琉球新報社説>原発事故3年 脱原発後退は許されない

        福島復興に思いを馳せよう2014年

 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の発生から3年がたつ。大津波への備えを欠き、全電源を喪失して炉心溶融に陥り、おびただしい放射能が放出された未曽有の原発事故の爪痕が福島県民を苦しめ続けている。
 福島県の避難者数は13万5906人を数え、7町村で全住民が避難したままである。

 一刻も早い原発ゼロを切望する福島県民の心情に冷や水を浴びせるように、安倍晋三首相は原発再稼働と輸出に走っている。

 原子力発電の安全神話に浸り切った中で起きた事故はまさに人災だったが、その教訓は生かされていない。
 
 公約違反
 
 安倍政権が決めた新エネルギー基本計画の原案は、原発を活用し続ける方針を打ち出している。
 2012年末の衆院選で自民党が掲げた「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」という公約に反するのは明白だ。
 将来の原発の規模に関して、「確保していく規模を見極める」としており、将来的な原発ゼロは想定していないとしか読めない。
 さらに、安倍首相は、原発輸出に前のめりになっている。
 最新の世論調査では、原子力規制委員会が安全性を確認した原発を再稼働する方針に対し、反対が54%賛成の40%上回った。
 原発の今後については、「即時ゼロ」「段階的に減らし、将来はゼロ」の脱原発派が69%と、容認・推進の29%を圧倒している。
 安倍政権の原発政策は明らかに民意と乖離(かいり)している。原発再稼働はあってはならず、脱原発の大きな後退は到底許されない。

 福島第1原発で2月に起きた高濃度汚染水漏れは、タンク内の水位異常の警報が約10時間放置されていた。誤って弁を開けた者がミスを隠すため、戻した可能性がある。事故を過小評価した後、重大な事実を明かす東電の隠蔽(いんぺい)体質は全く改められていない。
 危機管理体制に構造的な欠陥があり、国はその共同責任を負うことをどれだけ自覚しているのか。
 安倍首相は昨年9月、2020年の東京五輪の招致演説で、福島第1原発を「状況はコントロールされている」と強調していたが、相次ぐ汚染水漏れは、首相の的外れな認識と欺瞞(ぎまん)性を証明していよう。世界に恥をさらしているようなものだ。
 東電の経営破綻処理の先送りと同社の無責任体質は明らかに連動している。まず、破綻処理を急ぐことが不可欠だ。
 
悲痛な訴え

 福島の現状は深刻さの度合いを増している。高い放射線量が残る地域があり、帰還を諦める住民が増えている。除染作業も計画通りに進まず、避難者向けの災害公営住宅の建設も大幅に遅れている。
 福島県が当時18歳以下だった子どもを対象に実施している甲状腺検査で、33人が甲状腺がんと確定している。同県は放射線の影響は「考えにくい」としているが、発症率の高さを指摘する声があり、保護者の不安を高めている。国が主導して福島県民の健康調査を実施し、原発事故との因果関係を徹底的に究明すべきだ。

 福島を犠牲にして電力消費の恩恵を受けてきた東京など首都圏のみならず、国民全体が原発事故被災者に思いを馳(は)せねばならない。
 福島第1原発に約40年間携わる企業代表の名嘉幸照さん=伊是名村出身=はフォーラム「被災地と共に」で、被災者と加害者の立場が交錯する苦衷を吐露した。米軍基地にあらがう沖縄と脱原発を願う福島の強固な民意を挙げ、「民主主義のルールに当てはめよ」と、民意尊重を国に求めた。
 エネルギー政策と安全保障を支える負担を限られた地域が負わされ、苦しむ点で福島と沖縄は重なり合う。名嘉さんは「沖縄のちむぐくるを被災地にください」と涙ながらに語った。その悲痛な訴えを胸に刻み、沖縄から福島の復興を後押しする術を模索したい


震災被害と防止の教訓

2014年03月11日 06時51分27秒 | 臼蔵の呟き

東日本大震災でなくなられた方々に心より、哀悼の意をささげます。

私たちの職場でも多くの職員が津波被害で亡くなりました。なくなった多くの方は休日で、自宅にいて津波に飲み込まれてなくなりました。職場で防災訓練は毎年行っていましたが、自分たちが想定する災害、津波の規模をはるかに超えて発生した東日本大震災の津波は、想像を絶するものでした。

自然災害を防ぐことは出来ません。自然災害のない地域に暮らすことが出来ない以上、災害に直面しても、その被害を少しでも減らすことに政治に求められているのだと思います。防波堤を作れば、津波は防ぐことが出来るのでしょうか。今回の津波の被害見れば、そのような予測、思いは幻想でしかないことを示しているように思います。

人命を尊重し、とにかく逃げる。近くに津波被害があっても逃げられる場所が確保されることが必要と思います。それがビルなのか、小高い丘なのかは問う必要はありません。もう一つは、大川小学校の事例です。あの小学校は、海から近いところにあり、川を通じて津波が遡上する地域に立地していました。その意味では行政機関が、このような立地に学校を建設し、津波被害を過小評価していたことが最大の問題でした。要は、想像力を働かせ、自然災害が発生しても、被害を最小化する事前の対策を怠っていたということです。このことは大川小学校ではなく、多くの地域に言えることと思います。津波が発生したら、逃げる場所がない地域。逃げる道がない。必ず、巨大地震、津波発生したら住宅が飲み込まれるような住宅、地域が沢山存在します。

おきてから被害を嘆くのではなく、事前に点検し、被害を未然に防ぐことこそが教訓ではないかと思います。何兆円もかかる防波堤を作ることでは災害による死者、被害を減らすことは出来ないと思います。福島原発も同様でした。地震被害、津波被害を事前に警告されていました。その意味では東電勝俣会長、東電経営陣は刑事罰を受けるに相当する犯罪人です。

<福島原発事故と今後>

以下は、アメリカの報道機関が福島第一原発事故、汚染冷却水、廃炉作業の見通しなどについて評価しています。日本の報道機関と異なり、かなり率直に、事実をそのまま見ようとしています。

彼らは、原子力発電所を最初に作った国であり、原子力発電所、核兵器の製造への転用などをすべて分かった上で、福島第一原発事故対策を、追跡調査しているのだと思います。

<ウオールストリートジャーナル>

【東京】福島第1原子力発電所の事故から3年たった今、運営会社の東京電力は溶融した核燃料の除去という最大の問題に取り組めるまでにはまだ6年かかると見ている。

 大地震と津波が同原発を襲い、6基の原子炉のうち3基でメルトダウンと爆発が起き、コンクリートと金属の がれきの山となり、チェルノブイリ原発事故以来最悪の原発事故になってから今月11日で3年が経過する。しかし、東電の最新の評価によると、三つの原子炉からの溶融燃料とがれきの除去を開始できるのは20年ごろと見られている。現時点で同社は、この取り組みをどのように始めるかもはっきりしていない。

 これらの原子炉の格納容器は漏れを起こしており、このことは格納容器を水で満たせないことを意味している。放射性物質の拡散を防ぐための水がなければ、現在の方法では燃料の除去は不可能だ。福島原発廃炉、最難関は2020年以降である。

 東電は遠隔操作のロボットを使ってこの漏れをふさぎたいと考えている。第1原発プロジェクトチーム燃料除去戦略担当の村野兼司ゼネラルマネジャーは、これがうまくいかなければ、同社は水なしの状況で燃料を取り出すための新しい方法を考えなければならないと述べた。

福島第1原発で活躍するロボットたち

 しかし、メルトダウンした原子炉のコア部分に達する前に、東電は汚染水の増加に対処しなければならない。

 東電と政府は、まだ効果のほどは明らかでない凍土隔壁を使って地下水が原発敷地地下に入り込むのを防ごうとしている。同社はまた、原子炉近くに置かれている放射能汚染水の量が増大するリスクを低減させようと、廃炉システムの完了を急いでいる。

 事故からの3年間は、数十年の期間と少なくとも500億ドル(5兆2000億円)の費用がかかると見られる廃炉計画の第1段階であるがれきの除去に焦点が当てられた。最近は計画の第2段階―溶融した核燃料を含む最も危険な物質の除去―に移ってきた。最終段階では、原子炉が取り壊され、土壌の除染が行われる。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は3月5日の記者会見で、「非常に深刻な事故が起こらないとは言えないが、そういう状況は脱したと思う」と述べたが、他にももっと問題があることを理解して欲しいと指摘した。同原発では通常、毎日3000人以上が作業に当たっている。燃料棒が溶融し、1時間で放射能の許容限度量の5年分を浴びる恐れのある原子炉には誰も近づけない。

 発電所の敷地内を埋め尽くしていたコンクリートや金属のがれきは、極めて危険な個所を除いて除去された。東電は無傷の燃料の取り出しを始めたが、これが完了するまでには4、5年かかる。

 事故発生当時運転停止状態にあり、メルトダウンも起こしていない4号機のプールからの使用済み燃料の除去が行われている。3月3日限現在で4号機プールから1533本の燃料棒を取り出し、敷地内の安定した大規模プールに移動させた。

 一部の専門家は、東電は現在のロードマップを放棄して、1986年のチェルノブイリ原発事故の時のように、最大の打撃を受けた三つの原子炉をコンクリートの壁と屋根で覆うべきだとしている。東京大学の井野博満名誉教授は、東電の計画について非現実的だとし、漏れをふさぐことを考えておらず、漏れをふさぐのにどのくらい時間がかかるかはっきりしない、と指摘。井野氏は、溶融した燃料は空気で冷却でき、コンクリートで覆うことが可能だと提案している。

 ただ、東電の村野氏はこの考えに懐疑的だ。溶融燃料とがれきの状況は誰も分からず、これを放置して安全なのかどうか分からないので、除去しなければならない、と述べている。

 日本は既に、汚染水対策で実験的な技術を試している。汚染水はこの3年間で最も好ましくないサプライズだ。

 メルトダウンを起こした原子炉の下を地下水が通ることで、高い濃度の汚染水が毎日約400トン生じている。オリンピック競泳用のプールが6日ごとに一つずつできている勘定だ。今のところ東電はこの水から放射性セシウムを取り除き、その他の放射性物質はそのままに、原子炉近くのタンクにためている。今では約1000本のタンクに約34万トンの水がためられている。

 これをいつまでも続けることはできず、東電は多核種除去設備(ALPS)を使っている。これはトリチウム以外のほとんど全ての放射性物質を除去できる。しかし、福島でこれが完全稼働しているわけではない。同社は最終的には全ての汚染水をALPSで浄化し、トリチウムの値が十分に低ければ、国際基準に従って、浄化水を太平洋に放出したい考えだ。同社はまた、凍土隔壁も地下水の流入を止められると期待している。