“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

クリミア自治共和国の住民投票とウクライナ問題

2014年03月18日 12時59分05秒 | 臼蔵の呟き

事実は1つですが、その懸念する問題点、政治的な関心は各誌で異なっています。

<琉球新報社説>クリミア住民投票 監視団の派遣で軍事衝突回避を

 ウクライナ南部クリミア半島にあるクリミア自治共和国と特別市で実施されたロシア編入の是非を問う住民投票で、96%以上の圧倒的多数がロシア編入を支持した。この投票結果を直視したい。
 少数民族クリミア・タタール人の多くは投票を棄権したとされる。住民投票は共存共栄してきた住民を勝者と敗者に引き裂いた側面もあり、手放しには喜べない。

 投票はクリミアに展開したロシア軍がにらみを利かせる中、(1)ロシアに編入されるか(2)ウクライナにとどまるが、より強力な自治権を定めた1992年の独自憲法に戻るか-の二者択一で行われた
 クリミアを含めウクライナ国民が国の在り方を自ら決める自己決定権は基本的に尊重しなければならない。ただ、今回の投票は自治共和国政府が1日に「3月30日実施」と発表しながら、約2週間も前倒ししており拙速だ。ロシアの事実上の軍事介入も相まって、今後、民主的正当性が問われよう。

 これ以上の混乱は何としても回避すべきだ。自治共和国の6割を占めるロシア系住民と、クリミア・タタール人など他の民族は冷静さを保ち、間違っても相手に危害を加える愚を犯さないでほしい。
 国連安全保障理事会は、事前に住民投票の無効を主張する米国提出の決議案を採決。常任理事国のロシアが拒否権を行使し、否決された。中国は棄権したが、その他の13カ国は賛成した。クリミアのロシアへの編入が国際社会の幅広い支持を得るのは困難だろう。
 プーチン政権が編入を強行すれば、主要国(G8)による冷戦後初の領土拡張となる。そうなれば、ロシアは国際社会の批判にさらされ、国際的孤立を免れまい。
 ケリー米国務長官は住民投票について「ウクライナの国内法に反している」と強調し、ラブロフ・ロシア外相は「完全に国際法と国連憲章に適合している」と主張する。両者は意見の隔たりが大きい一方で、国際監視団の派遣による混乱収拾なども模索する。軍事的衝突の回避に向けた、建設的かつ具体的な取り組みを支持したい。

 優先すべきは、ウクライナ国民が自国の将来について丁寧に合意を形成することだ。米ロは自国の利害を優先するあまり、クリミア、ウクライナをこれ以上混乱に陥れてはならない。国連を中心にあくまで平和的解決を追求すべきだ。

<信濃毎日社説>クリミア問題 新たな冷戦を危ぶむ

 ウクライナ南部のクリミアで行われた住民投票で、ロシア編入を支持する声が圧倒的な数を占めた。

 ロシアの軍事的な威圧下で行われた住民投票は認められないとするウクライナや欧米諸国と、クリミアの実効支配を強めるロシアとの緊張が極度に高まっている。1989年の東西冷戦終結以来、最悪といわれる状況を招いた。プーチン政権がクリミアを併合すれば対立は決定的となり、新たな「冷戦」へ突入する恐れさえある。国際秩序は変調を来し、世界の政治や経済にどんな悪影響が出るか分からない。

 ウクライナ憲法は国境変更に関する住民投票は全土で実施するよう定めている。正当性に疑義がある以上、ロシアは併合や実効支配の強化をやめるべきだ。世界の安定に重い責任を持つ国連安全保障理事会の常任理事国として、責任ある対応を求める。

 クリミアは旧ソ連時代の1954年、ロシアからウクライナに帰属を変更され、ソ連崩壊後に自治共和国となった。住民の6割がロシア系だ。先月、ウクライナに親欧米政権が誕生すると、独立志向が一気に高まった。共和国議会はロシア編入を求め、住民投票で賛否を問うことを決めた。

 ロシアはロシア系住民の保護を訴え、軍事的圧力をかけるなど、動きを後押しした。

 国連安保理では住民投票に反対する米国提出の決議案を採決した。しかし、常任理事国の持つ拒否権をロシアが行使したため否決に追い込まれている。今後の焦点は、ロシアが編入に踏み切るかどうかだ。日本を含む先進7カ国が投票結果を拒否している。強行すれば、冷戦後初の主要国による領土拡張になり、制裁強化や国際社会での孤立化は避けられないだろう

 米ロの緊張が激しくなれば、北朝鮮やイランの核問題、シリア情勢をめぐる対応など、大国の協調が求められる問題の解決をより難しくする恐れもある。

 世界に与える影響が大きすぎるだけに、ロシアも欧米もこじれることを望んではいないはずだ。プーチン政権の荒っぽさを認めることはできないが、落としどころも冷静に探る必要がある。

 クリミアだけでなく、親欧米派と親ロシア派が混在するウクライナの今後も予断を許さない。新たな火薬庫にならないよう、ウクライナ安定化の道筋を付ける会議の開催など、国際社会は本腰を入れなくてはならない。


クリミア自治共和国の住民投票

2014年03月18日 10時59分07秒 | 臼蔵の呟き

主権国家の承認、了解がない他国の軍事侵攻、駐留に正当性がないことはあきらかです。このようなことを黙認、容認することは平和維持、今後の国際関係、国際秩序維持のルールに著しい障害をもたらすことはあきらかです。ロシア軍が駐留し、軍事侵攻するなかで急遽、用意された住民投票は事実経過も踏まえれば、自主的な自治共和国における投票であったとしても、簡単に承認することならないことはあきらかです。

歴史的な経過は、ソビエト連邦時代にロシア領土であり、多くのロシア人が居住していたことを考えると住民投票がこのような結果になることは事前に想定できたことです。しかし、現時点でクリミア半島がウクライナ領土であること、クリミア半島に駐留するロシア艦隊がウクライナと駐留に関する協定を結んで来た事が矛盾し、合理的な説明はつきません。

ロシアが国連常任理事国、核大国であることが、今回の問題で国連が有効に仲介、調整、対応できない制約条件なっています。このことは今後の国連を中心とする国際関係、紛争解決、平和維持に大きな問題を提起することになります。国連が、第二次大戦後の連合国を中心として形成され、安全保障会議の常任理事国がもつ拒否権問題の有効性、正当性などに深刻な賛否が問われる事態になることもあきらかです。

アメリカ、EUによる経済制裁、対抗措置などが発動されていますが、紛争を軍事衝突に発展させない。紛争を話し合いによる解決とするルールを、関係国が厳守することが必要です。ロシア政府、ロシア議会が軍事侵攻をやめ、両国の協議が、平和的に可能となる時点へ回復させる措置を取るべきです。

<毎日新聞報道>

 【シンフェロポリ(ウクライナ南部)田中洋之、ワシントン及川正也、ブリュッセル斎藤義彦】ウクライナ南部クリミア半島で16日行われたロシア連邦への編入の賛否を問う住民投票で、9割超の賛成票が投じられたことを受け、クリミア自治共和国議会は17日、独立を宣言し、「クリミア共和国」としてロシア編入を求める決議を採択した。ロシアのプーチン大統領は18日に編入問題で演説する予定で、編入受諾まで表明するのか注目される。一方、米国と欧州連合(EU)は17日、ロシアに追加制裁を発動、「冷戦終結後で最も包括的な内容」(米政府高官)となり、双方の対立は先鋭化している。

 地元選管によると、編入賛成は自治共和国では96・77%で確定し、投票率は83・1%。セバストポリ特別市では賛成票が95・6%、投票率は89・5%だった。

 この結果を受け、セバストポリも編入を求めると決定。自治共和国のアクショーノフ首相率いる代表団は17日、モスクワでロシア側と編入問題を協議する。

 プーチン大統領は18日午後3時(日本時間午後8時)、上下両院議員を招集し演説する。またタス通信によると、ロシア下院では、21日から審議を予定していたクリミア編入へ向けた法案を提案者の議員が17日に取り下げた。クリミアが独立を宣言したことから、現行法で編入できるようになったと説明。下院は18日に代替措置として、クリミアの住民投票結果を支持する決議案を審議する。

 自治共和国議会は17日、クリミアにあるウクライナ政府資産を自治共和国に移管し、ロシア・ルーブルを通貨に採用、ウクライナ通貨フリブナの流通を2015年末で打ち切ることを決定した。今月30日から時間を2時間進めてモスクワ時間に合わせることも決めた。

 オバマ政権が17日発表した追加制裁では、ロシア政府高官ら11人に対し、米国内の資産凍結措置などを発動した。対象はスルコフ露大統領補佐官、ロゴジン露副首相やウクライナのヤヌコビッチ前大統領らが含まれる。オバマ大統領は追加制裁について「ロシアに代償を払わせる措置だ。ロシアがウクライナへの介入を続けるなら、さらなる制裁を科す準備がある」と述べ、一段の制裁強化を辞さない姿勢を示した。

 EUの外相会議も17日、ウクライナ南部クリミア半島へのロシアの介入が続いているとしてロシア政権幹部、露軍幹部、クリミア自治共和国の指導者ら計21人に対し資産凍結や渡航禁止の追加制裁を決めた。ロシアが実際に編入を決めれば、20日からのEU首脳会議で更なる制裁措置も決定する見通し。

 ウクライナ新政権のヤツェニュク首相は17日、クリミアでの住民投票の結果を認めないと表明。ウクライナ最高会議(国会)も、予備役の兵士4万人を招集する大統領令を承認した。

 一方、ロシア外務省は17日、ウクライナに対し新憲法制定や議会選の実施などを求めた包括的な解決策を提案。欧米が提案している仲介組織「連絡グループ」に対抗し、「国際的支援グループ」の設立も提案した。


国民投票法

2014年03月18日 06時44分45秒 | 臼蔵の呟き

とにかく憲法改正をしたい安倍、自民党と与党としてとどまり、自らの主張を与党として行いたい公明党(自民党追認のみで何の歯止めにもならない)。党内議論が一本化できずに、改憲議員に引っ張られる民主党。どちらにしても良いことはなにもありません。自民党の主張に若干の意見、難癖をつける程度の役割しか果たしていません。安倍、自民党から見ると、公明党、民主党と修正協議した、彼らも協同で提案したと。宣伝できる利点があります。

そもそも何のために憲法を改正しなければならないのか。憲法とはどのような基本法なのかの議論を全く抜きに、いきなり、投票法だという主張を行う安倍、自民党のような政党がいかさま政党であることを自白して言います。最高法規であると同時に、国民が政治権力を縛る法律――それが憲法であり、立憲主義です。時の政治権力が自らに都合よいかどうかで、憲法を改正していたら、憲法としての意義、価値はないに等しくなります。このくらいのことは政治家であれば、知っているはずです。そのことを知りながら、無視し、自民党にとって都合がよいか、憲法改正の敷居を低く出来れば最高としてーー投票法、憲法改正条項の改定を先行させて、行ってしまおう。これが安倍、自民党議員の思惑です。

NHK経営委員の長谷川委員が著書の中で、大日本帝国憲法は、アメリカ合衆国憲法よりも優れている。現行憲法はおかしな憲法と主張しているとのことです。彼女は、安倍、靖国派の理論的な支柱の1人です。彼、彼女たちの狂ったのかと思うような国粋主義、天皇賛美、軍国主義者ぶりには驚きを通り越し、狂気の沙汰、恐怖を感じます。

第二次大戦、アジア中国戦争のドイツ、イタリア、日本は敗戦を受けて、ポツダム宣言を受け入れて、戦後の世界政治、経済、外交関係が成立しています。国連はその戦勝国が、中心となり作り上げた仕組みです。アメリカ、イギリス、ロシア、中国、フランスは常任理事国として拒否権(良いかどうかの問題ではなく)を持ち、行使することもそのことを反映した制度となっていることを示しています。その程度のことは、自民党政権は知っています。自民党がA級戦犯、多くの戦争遂行指導部人材、その子孫によって造られて来た事が、靖国参拝、戦争責任を否定し、慰安婦問題での国家関与否定につながっています。その行き着く先が、現行憲法の否定であり、改憲策動となっています。国民投票法は、彼らの侵略戦争否定、靖国賛美、南京大虐殺否定などに連なる一連の政治的な策動です。したがって、手続き論のような議論そのものが欺瞞です。このような策動を許してはならないと思います。

<信濃毎日社説>国民投票法 欠陥を残したままでは

 欠陥だらけの車のあちこちを修理し継ぎはぎして、無理やり動かそうとしている―。そんな印象を受ける。自民、公明、民主3党の実務者が国民投票法の改正案で合意した。「三つの宿題」といわれる懸案について、3党の主張を足して3で割るような中身である。

 憲法を改めるのに必要な国民投票の手続きを定めた法律だ。本質的な議論を棚上げにした改正では禍根を残す。国民投票はどうあるべきか、原点に立ち返って議論をやり直すべきだ。

 投票法は18歳以上の国民に投票権を与えている。過半数の賛成があれば憲法は改められる。2007年、第1次安倍晋三政権のとき、改憲に執念を燃やす首相が強引に成立させた。法律は付則で成立後の課題を三つ挙げている。

(1)選挙権年齢や成人年齢も18歳に引き下げる

(2)公務員の自由な改憲論議を可能にするため政治的行為の規制を緩和する

(3)投票の対象を改憲以外にも広げる―である。

 「三つの宿題」の期限は投票法が施行される10年5月だった。宿題は今も手付かずのままだ。投票法は施行の前提条件を欠いている。初めに「欠陥車」と書いた理由の一つである。

 3党の合意内容によると、投票年齢は当面「20歳以上」とし、改正法の施行4年後に「18歳以上」に引き下げる。選挙権年齢は「18歳以上」への引き下げを目指す。分かりにくい折衷案だ。

 公務員の政治活動については、組織的に改憲への賛否を働きかける勧誘運動を当面の間容認し、先のことは今後の検討課題とする。これも玉虫色だ。

 3党合意は(3)の対象拡大についても、今後の課題としている。

(1)は何歳以上を一人前とみなし、権利を与え義務を課すかという問題だ。(2)は国民の基本権に関わる。
(3)で投票の対象が広がれば、間接民主制を基本とする仕組みが修正される

ことになる。

いずれも社会の在り方を左右する問題である。間に合わせの議論で結論を出せる話ではない。

 投票法には他にも問題がある。▽最低投票率規定がなくていいか▽国会による発議から投票までの期間が「60~180日」では短すぎないか▽発議は「関連する項目ごとに」行うとされているが「関連」の意味があいまい―などだ。

 欠陥は多方面にわたる。7年前の拙速審議の付けである。一度解体し、部品の全てを点検して組み立て直すほかない。