復興住宅 完成3%だけ 公共事業増で入札不調(2014.3.7)
東日本大震災の被災者が安心して暮らせるよう地方自治体が建設する復興公営住宅が、岩手、宮城、福島の被災三県で、計画の3・3%しか完成していないことが本紙の調査でわかった。用地取得が難航していることに加え、昨年後半から入札の不調が続出、受注業者が決まらないことが追い打ちをかけている。安倍政権による公共事業関連予算の増額が人手不足に拍車をかけ、住民の生活再建を阻んでいる格好だ。 (木村留美)
復興住宅は三県で約二万八千六百戸の建設が予定されている。しかし、一月末時点で完成したのは約九百三十戸のみ。着工できたのも計画の22・5%だけだ。
ここにきての遅れの原因は、自治体が実施する入札が不調となっていることだ。岩手県釜石市では五十世帯が入る復興住宅の入札が昨年七月から三度にわたって不調だったほか、宮城県石巻市や福島県会津若松市の復興住宅建設も不調となった。復興住宅以外でも、石巻市の漁港が五度不調になったほか、岩手県久慈市の水族館は二〇一三年度の入札を見送った。
不調は、被災地復興で建設会社がフル稼働しているところに、政府が景気テコ入れのために公共事業を増やしたのが主因。全国で建設需要が急増、人手は不足し、資材も高騰した。結果、落札の上限価格である予定価格では「赤字になる」として、入札不調が続出するようになった。
被災地での状況は深刻だ。一三年度上半期(四~九月)の公共事業で、入札が不調となった割合は岩手、宮城、福島三県では25・9%にも達し、東京の9・4%、全国平均の16・2%を大きく上回る。
このため一四年度までに復興住宅を全て完成させる予定だった岩手県では、計画を二年遅らせることを既に決定。仮設住宅に暮らす人たちにとっては出口が見えない状況だ。
<復興公営住宅> 災害により住居を失った人のために自治体が整備し、安く貸し出す住宅。緊急的な一時避難先として建てられた仮設住宅とは異なり、恒久的に居住できる。岩手、宮城、福島の被災3県では県や市町村が建設を計画している。
<2012年3月11日>
おはようございます。仙台は、快晴です。昨年の3月12日の朝と同じです。各地で東日本大震災の追悼行事が行われ、1年前の地震、津波被害を改めて思い起こし、亡くなった方の冥福を祈る一日でした。また、今後の防災への備えを地区にあわせて考え、備える一日でもあったと思います。
震災復旧のための膨大な被災物、広域処理が出来ない。その理由は、放射性物質が含まれているから。震災に加えて福島第一原発の事故、放射能汚染が非常に復旧作業を遅らせています。被災地に据え置かれた被災物の山を見るたびに震災、津波を思い出す状況が繰り返されます。また、甚大な被害を受けた地域はこの被災物を処理しない限り、地域の復旧工事の障害ともなっています。
原子力事故は地域を分断し、家族を分断し、生産者と消費者を分断しています。風評被害というと消費地の方は「風評ではない」「汚染された商品を食べることは出来ない」その通りです。原子力発電所を国策として進めてきた電力会社、政府、経済産業省、原子力保安院はこのこと、都合が悪いことは「触れず」「語らず」です。
震災の復旧が遅れている要因は、政府が取っている基本に「自己責任論」「規制緩和で産業を再興する」(特区構想)「予算措置と許認可権」は政府、中央官庁にあるとする姿勢が障害となっています。住宅資金、移転費用、企業再生は企業が、二重ローン問題など全てがこの壁にぶつかっています。自己責任を言うのであれば「原子力事故」は国策として推進したわけでその全責任を政府、経済産業省、電力会社が自力で行うべきです。しかし、彼らは、事故を垂れ流し、自らの電力会社の債務超過は税金を投入して救済しています。このような矛盾した対応を糾弾する必要があります。そして、被災地、被災企業の再興をあらゆる手立てで推進する必要があります。
<12.3.11の社説の一部>
一方で、被災地にうずたかく積み上げられたがれきの広域処理が進まない。説明を尽くしても、放射性物質への懸念を払拭(ふっしょく)できずにいる。絆は風評の前で、あまりにもろい。
つながりを切望しているのに、分断が始まっているのだ。
福島県では原発事故で汚染された地域が線引きされ、年50ミリシーベルト超は「帰還困難区域」とされる。町の解体だ。古里を追われた人たちには、移住者としての運命が待ち構える。
「我慢強い」と称賛を浴びた東北人だが、「無告の民」であってはならない。私たちは当事者だ。理不尽を正し、生き延びるための知恵を出し合おう。