“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

安倍の政権運営と目的

2014年03月13日 12時59分27秒 | 臼蔵の呟き

麻生副総理兼財務大臣が彼らの改憲集会で語った、「ナチスに学べ」との言葉の意味について考察しています。なかなか面白いので、ご紹介します。この田中氏は、ジャーナリストだそうです。

ナチスドイツが台頭する背景は、第一次大戦で敗戦国ドイツの戦勝国への賠償によりドイツ政府、ドイツ経済の疲弊感が蔓延し、中産階級の没落、支配層の思想的退廃、政治的な混乱と収集能力のなさ、ヒトラーの本質を見抜く力のなさ、貧困層は失業による不満の鬱積、---これらの社会的な背景を受けて、ヒトラー、ナチスの右翼的主張、相手を威圧し、暴力で抹殺するような行動に対して支配層は屈服しました。その到達点が、憲法のなしくづし的な無力化、ファシストによる議会解散、司法、行政、軍部の完全支配でした。その結果、フランス、東欧、ロシアへの侵略戦争開始、ユダヤ人などの大虐殺です。解釈改憲、議会多数を利用した、暴走と、議会軽視は安倍、自民党が取っている政権運営と全く同じです。また、日本経済の状況も第一次大戦後のドイツとは同じではありませんが、長期化する不況、失業、格差の拡大は、共通性があります。そのご機嫌とり政策は、アベニミクスです。

長期的に見て、彼らの政治目標が成功するはずがありません。しかし、短期的には日本社会の右傾化、政治的反動は一定の進捗を見せるかもしれません。歴史の教訓はフシストの政治支配、侵略戦争、排外主義、自国民の弾圧などを容認することはありえないことと思います。そのための反撃を行う必要があります。

<田中良紹氏の見解>
安倍政権の誕生以来、東アジアでは第二次大戦の「歴史認識」を巡って緊張が高まっている。それはアメリカの国益にならないとして、アメリカは「歴史認識」を越える現実的な対応を日韓に求めた。しかしプーチン大統領の行動をヒトラーと比較し、歴史に学ぶよう求めたヒラリー氏の発言で、世界には第二次世界大戦の「歴史認識」を再確認する動きが出て来るかもしれない。

そうした事を考えると、昨年7月に突如飛び出した麻生副総理の「ナチスに学べ」発言を今一度考えてみるべきという気がする。発言は撤回されたが、あの時期になぜ出てきたのか。96条改正問題や集団的自衛権の解釈変更、さらにNHK会長人事などを見てくると、準備されていた政治の動きを麻生副総理が不用意に漏らしたように思える。

発言は昨年の7月29日に都内の改憲派のシンポジウムで飛び出した。参議院選挙で与党が大勝し「ねじれ」が解消して8日目の事である。発言は麻生副総理らしく意味不明の部分が多いのだが、主題は憲法改正の話だった。「ねじれ」が解消したのだからいよいよ憲法改正に手を付けるべき時が来たと考えたのだろう。

麻生氏はまずヒトラーは民主主義によって議会で多数を握って出てきたことを強調した「ヒトラーは選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わんでください。そして、彼はワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた」と発言した。その通りである。民主主義は気を付けないと民主主義によって殺されるのである。

次いで麻生氏は「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と発言したのである。内容には間違いもあるが、言いたいことは「憲法は国民が気づかないうちに変えられる」という事らしい。

ヒトラーがドイツ国民に選挙で選ばれ首相になった時に求めたのは、憲法改正ではなく全権委任法の制定である。ヒトラーは国会を解散し、全権委任を訴える選挙キャンペーンを行った。その選挙中に国会議事堂放火事件が起こり、共産主義者の犯行と断定された。ヒトラーは大統領に緊急大統領令を要請し、その権限で共産党員を逮捕・拘禁した。選挙はナチスと国家人民党の連立によって過半数を確保した。

そこでヒトラーは全権委任法を閣議決定し、連立を組む国家人民党と共同で法案を国会に提出した。憲法改正ではないが憲法にかかわる法案のため、本来は国会議員の三分の二以上が出席し、その三分の二以上の賛成が必要だったが、与党の議席は三分の二に足りなかった。そこでヒトラーは国家人民党に働きかけ議院運営規則を修正し、欠席議員を採決の分母から排除する事にした。これで全権委任法は成立する。それによって立法権が政府に移り、国会は開かれなくなり、ワイマール憲法は骨抜きになった。

ヒンデンブルグ大統領が死亡すると、ヒトラーは大統領の権限を首相の権限と合体させ、国民投票によって90%近い支持を得て国家元首に就任する。その背景には宣伝工作に天才的能力を発揮したゲッベルスによる国民洗脳のためのメディア操縦があった。

こう見てくるとヒトラーの与党は、連立相手の国家人民党と合せて三分の二の議席に達しなかったため、過半数の議席数で憲法を骨抜きにする工作をやったのである。憲法改正と大上段に振りかぶらず、国民は誰も憲法改正と思わなかったが、事実上の憲法改正が行われヒトラーの独裁体制はできた。

その手口を安倍政権はしっかり学んでいるのである。三分の二の賛成を必要とする憲法改正手続きを「世界で一番ハードルが厳しい」と嘘を言い、国会での議論より国民投票の方が民主的だと国民に思わせて96条改正を要求し、さらに集団的自衛権では憲法を改正するのではなく、総理の解釈によって憲法を骨抜きにしようとしている。

さらにゲッベルスがメディアを操縦し、ベルリン・オリンピックを最大限に活用し、圧倒的な国民の支持によって独裁体制をつくりあげたように、安倍政権もNHK人事に介入し、東京オリンピックに期待を抱かせるなど、メディアとオリンピックの活用に余念がない。

国会の過半数を握れば法律を成立させることが出来る。法律とは国民を縛るものである。違反をすれば罰則を受ける。国会の過半数さえ握ればおかしな法律を作ることも可能だが、おかしな法律から国民を守るのが憲法である。憲法が権力を縛ると言われるのはそのためである。憲法は権力に勝手なことをさせないためにあるのである。

その憲法が総理の解釈で変えられたり、国会の過半数で変えられたり、メディアに洗脳された国民の直接投票で変えられたりすれば、まさに1930年代のワイマール憲法下でヒトラーが誕生した時と同じになる。麻生発言はそのことを示唆していた。

しかし言ってはならない事を言ってしまったので撤回したが、それはNHK籾井会長や衛藤晟一議員と同レベルの発言撤回である。むしろ本音はそこにあるのだ。その事に世界の目が向くような事になればまた日本は世界から孤立する。


安倍の右翼的言動と行動へのいらだち

2014年03月13日 10時51分29秒 | 臼蔵の呟き

昨日の参議院予算委員会審議で、NHK会長人事、百田、長谷川などの経営委員指名、就任に関する安倍発言、総務大臣新藤の発言は、あまりに低レベルの発言に、聞いていても恥ずかしくなるくらいの答弁でした。野党の国会議員がまじめに調査し、その調査に基づいて質疑を行っているにも関わらずです。

安倍、自民党極右政権のおごりと、国民軽視の姿勢は歯止めを失っているような感じすらあります。まともに質疑するのではなく、はぐらかし、ごまかすことにしたならない答弁を長々と繰り返しています。本当に、このような政権、政党が日本の与党といえるのか「恥ずかしい」のと議会制民主主義を形骸化させている点で、安倍、自民党極右政権のレベルの低さにはあきれるばかりです。このような連中を右翼が支え、似非学者が権威づける関係は相互にもちつもたれつの関係ですが、お互いに甘い汁を吸うという点での共通性があります。

彼らのような主張、行動に対して、彼らと比較的近い関係にあるジャーナリストからも、あまりのひどさとレベルの低さに、嘆きが出てきているのが実体ではないかと思います。

<ジャーナリストの指摘>

米国で言われ出した新語「JIBs」を紹介し、米国にとって最も重要な同盟国であるはずの日本とイスラエルとイギリスがそれぞれ地域トラブルばかり起こして米国の「頭痛の種」になっている。と書いた。連載第8回(同3月1日号)のようやく実現した安倍訪米についてのコメントでは、日本のマスコミは訪米が成功したかに提灯持ちをしているが、米人記者に聞くとオバマの態度は「アン・アームズ・ディスタンス」、つまり肩を抱き合うような関係でなく、片腕を伸ばしたほどの距離を置こうとするものだったと指摘した。

つまり、昨年12月末の安倍の靖国参拝に対して米政府が公然と「失望」を口にしたのは、何も突然の出来事ではなくて、安倍政権のスタートの時からすでに現れていた兆候の数々を、日本側が無視してきたことの結果なのだ。

英国を代表するエコノミストであるビル・エモット(元エコノミスト誌編集長)も日経ビジネスへの最近の寄稿で「安倍が首相になった時、多くの外国政府や海外投資家は彼の国粋主義的な態度を黙認した。自民党内の支持を固め、アベノミクスに必要な改革に役立つと考えたからだ。しかしその黙認にも限界がある」と書いた。靖国参拝が「決定的な要因」となって安倍への「楽観と称賛は懸念と苛立ちに変わった」。日本株を買っていたジョージ・ソロスはじめ投資家が一斉に売りに転じたのも同じ理由である。

米政府だけでなく他の国も投資家も、初めから安倍は危なっかしいなとは思いながらも、まあどこまでやるか見守ろうという姿勢だったのに、そうとは知らない安倍が舞い上がって靖国参拝という虎の尾を踏んでしまった。気が付けば、中国包囲網どころか日本包囲網である。

ジャーナリズムの大事な役目は「早期警戒情報」の提供である。“保守”の皮をかぶった“右翼”である安倍政治の本質は最初から垣間見えていて、いつか世界から見放されることは分かりきっていたのに、正面切って警鐘を打ち鳴らしてこなかった日本のマスコミの罪も重い。