安全安心な原子力発電所などはありませんし、ひとたび、事故が発生すれば、その被害がどこまで拡大し、兆円単位の事故対策費用がかかることはあきらかです。しかし、そのような福島第一原発事故の調査、教訓は全く生かされていません。安倍、自民党政権は経団連、各電力会社、原子力産業からの要求を受け入れて、原発の輸出、日本の原発再稼動を優先的に行うとしています。輸出するためには、日本国内の原発稼動が輸出との関係で必要だとして、強引に規制委員会に対して政治介入しながら、稼動原発を決めさせ、既成事実として稼動原発作りをしようとするのが今回の意志決定の政治目的ではないかと考えられます。
立地自治体、周辺自治体の承認がない限り、政治的に難しいことからも九州電力、鹿児島県、薩摩川内原発が狙われたと思います。要は、立地自治体住民の運動、反対が最大の稼動させない保障であることを示しています。
稼動することは、事故確率が限りなく拡大するわけであり、地域の経済的恩恵などと比較するような問題でないことはあきらかです。福島県、浜どおり地区が何十年も放射能に汚染されたことをどう考えるのでしょうか。本当に理解に苦しむ安倍、自民党政権、規制委員会、鹿児島県知事、薩摩川内市長などの判断です。彼らを徹底して批判し、孤立させる必要があります。
<報道内容>
原子力規制委員会は13日、再稼働に向け審査中の10原発のうち、九州電力川内(せんだい)原子力発電所(鹿児島県)の安全審査を優先的に進めることを決めた。規制委は今後、同原発について審査の最終とりまとめに入る。早ければ5月にも審査に合格する可能性がある。昨年7月に刷新された新規制基準の下、川内原発が夏にも再稼働1号となる公算が大きくなった。「優先枠」に選ばれたのは川内原発の1、2号機。合計出力178万キロワットで九電の主力発電所のひとつだ。田中俊一規制委員長は同日の規制委の会合で「川内原発1、2号機は基本的には大きな審査項目をクリアしている」と語った。規制委は今後、川内を「特急」扱いとして審査を進める。九電は「審査に対して真摯かつ精力的に対応したい」とのコメントを出した。
積み残している主な作業は、原発の基準適合状況を詳細に示す「審査書」づくりと、一般からの意見募集や公聴会の実施など。すべての作業を終えるまでには少なくとも2カ月程度かかる見込み。
規制委による審査合格後は、周辺自治体などの同意を取り付けられるかどうかがカギとなる。川内原発周辺では大きな反対はないとみられている。薩摩川内市の岩切秀雄市長は13日、「大きな山を一つクリアできたと考えている」との談話を発表した。
東京電力福島第1原発の事故を教訓に原発の規制は刷新された。審査のポイントとなっているのは原発を襲う地震や津波への対策だ。新規制基準は各電力会社に対し地震・津波のリスクを厳しく見積もるよう求めた。川内原発は事故前に想定していた地震・津波想定を見直して大幅に引き上げ、安全対策を強化したことで12日までの審査で主要項目をほぼクリアした。
新規制基準が昨年7月に導入されて以降、規制委はこれまでに10原発17基の審査申請を受け付けた。ただ10原発同時進行の審査は遅れがち。電力会社や原発地元からは審査の早期終了を求める声が上がっていた。このため規制委は先行する原発の審査を優先的に進めて終わらせ、この審査をモデルケースとして他原発の審査を効率的に済ませる意向を示していた。
残りの9原発では四国電力の伊方原発(愛媛県)、九電玄海原発(佐賀県)などの審査が進んでいる。川内原発が優先審査を受ける期間は、他原発の審査は多少滞る可能性がある。また、他原発では稼働に難色を示している周辺自治体もあり、審査合格後も再稼働にこぎ着けられない可能性は残る。
政府は規制委の安全審査を合格した原発から再稼働する方針を示している。原発を「重要なベースロード電源」と位置付ける政権が、自治体や国民の説得にどこまで関与するかも再稼働を左右する焦点となる。川内原発以外で、電力需給が逼迫する夏までに再稼働の見通しが立つか、先行きは不透明だ。
<地元紙の報道記事>
「高い基準・審査をクリアすれば、安全・安心を第一に再稼働していただきたい」。原子力規制委員会が規制基準を正式決定した6月19日、薩摩川内市の岩切秀雄市長は、あらためて川内原発再稼働に前向きな姿勢を示した。
再稼働の行方が注目される川内原子力発電所=薩摩川内市久見崎町
九州電力は、7月8日の基準施行と同時に川内原発の審査を申請する意向だが、審査の順番や期間は不透明。岩切市長は、少なくとも半年程度との見方がある審査期間を踏まえ「しっかり(審査)してほしい」と話す一方、地元の経済状況を「かなり厳しい状況に追い込まれている」と不安を隠せなかった。
川内原発では、申請に向けた安全対策工事が急ピッチで進んでいる。従事するのは協力会社の作業員約2000人。宿泊や飲食、交通など、地域経済へにわかに“安全対策活気”が生まれている。
同市内のタクシー運転手(62)は「駅から原発まで片道4000円。工事があるときは1日1万円近く売り上げが違う」と明かす。原発への送迎と並行して、夜の飲食街での利用も増えており「工事期間はボーナスのようなもの。定期点検が復活しなければ、また生活は苦しくなる」。
原発から配管のメンテナンスなどを孫請けで受注する中間則行さん(39)は、稼働停止後仕事が減り、県内一円に営業範囲を広げてしのいできた。
中間さんが理事長を務める川内青年会議所メンバーへのアンケートでは、回答した約8割が原発に関係した仕事であると答え、そのほとんどが稼働停止で影響が出たと答えた。「それぞれが少しずつ生活レベルを落とし、まちの活気が失われている」と嘆いた。
「川内原発は30年近く(地域経済に)組み込まれてきた。審査が半年もかかるのは長すぎる」。川内商工会議所の田中憲夫会頭は、地域経済の疲弊を念頭に口を開いた。
5月には全国原子力立地市町村商工団体協議会の会長に就任。基準施行後に他の商工団体と連携して、国に原発の早期再稼働を陳情する予定だ。
川内原発常駐の九電社員は約300人。これに稼働時約750人、定期検査時約2千~2500人の協力会社社員が加わる。同商議所の試算によると、川内原発の経済効果は1基の定期検査で約6億円、年間2基の定検と稼働で約25億円だ。
「そのお金がそのままマイナスになり、地域経済はかなり疲弊し限界にきている。第1陣の審査対象に入って、一日も早く再稼働をしてほしい」