ウクライナの政治紛争が、ロシア軍によるクリミア半島制圧に及び、混乱が一層広がっています。東欧、クリミアは過去の歴史においても、領有をめぐり戦争が起きる軍事的要衝地です。クリミア、黒海はロシア軍の海軍基地があり、地中海、中東への出口になっています。経済的な問題が、政治的な対立、EU(アメリカも含めて)とロシアの衝突に至っています。
ロシアがどのような理由があろうと主権国家の承認なしにロシア軍を進駐させ、ウクライナ主権を蹂躙することはありえないことです。このようなことを許すことが、その他の軍事大国、覇権を狙う国家からの軍事侵略、政治利用の口実にされることは許されないことです。国連を中心として、関係国が話し合いのテーブルにつき、経済問題、政治問題、国家関係の諸問題を話合いにより解決すること。その前提としての軍事力行使をやめ、進駐したるロシア軍が、撤退することが必要です。
隣国であるロシア、EU関係国の思惑があったとしてもウクライナ国民、政府が自らの意識で、政治経済の混乱を収拾できるような支援を行うことこそが正義であり、正当性を持ちます。その結果、関係国から見て、不都合なことがあったとしても長い目で見たら、隣国、ウクライナ、ロシアなどの関係は正常化、友好な関係が作られることは確実ではないかと思われます。
<ウォールストリートジャーナル>【ワシントン】オバマ大統領は6日、ウクライナのクリミア自治共和国議会がロシアへの帰属を問う住民投票を実施することを決めたことは違法だと非難する一方、米国は欧州連合(EU)と結束してロシアのウクライナ介入に反対していくと述べた。
オバマ大統領は声明で「ウクライナの将来に関するいかなる話し合いも、合法的な政府が参加しなければならない。国境が民主的指導者の頭越しに決められるという事態は2014年(現代)では考えられない」とした。
ロシア政府が支援するクリミアの議会は6日、同地方がウクライナから離脱してロシアへ帰属する住民投票を16日に設定した。オバマ政権は同日、ロシアへの経済制裁の準備を整えるとともに、ウクライナの混乱に加担していると認められる者に対するビザの発給を制限した。
大統領はさらに、米政府は必要に応じてロシアに対する他の制裁措置も機動的にとる用意があると述べた。しかしその一方で、今回の危機がロシアとウクライナ両国にとって利益となるような解決方法があるとも付け加え、ロシアがウクライナへの国際的な査察を受け入れるよう求めた。
オバマ氏は声明に先立ち、ウクライナの民主主義を破壊する活動を行った人物に対する制裁を認可する大統領令に署名した。これについて米政権は、ロシアがクリミア地方から手を引く圧力を増大させることを狙ったものだと説明している。
この制裁の動きと平行して、ケリー国務長官はローマでロシアのラブロフ外相と会談し外交的解決の道を探った。会談でケリー氏は、ロシアがウクライナの現政府の指導層と直接対話することを促した。
オバマ政権高官によると、発動した制裁枠のなかでビザの発給制限以上の制裁を受けたロシア関係者やウクライナの前政権の関係者は現段階ではいないという。ただ、速やかに制裁措置を実行する準備は出来ていると警告した。
ある政権高官は、この制裁準備が「ロシア政府にこの介入にはコストを課すというわれわれの強いメッセージを送るものだ」と話した。ホワイトハウスは、この制裁について具体的に誰を念頭に置いているかと、その中にヤヌコビッチ前ウクライナ大統領が含まれるかどうかについては言及を避けた。一方、この制裁案作成に関わる米議会指導者らは、オバマ政権の対処が正しい方向に進んでいると述べ支持を表明した。
ベイナー下院議長(共和党、オハイオ州)のブレンダン・バック広報官は「(政権の)この第1段階の制裁を歓迎するとともに、プーチン大統領の行動をけん制し、ロシアがウクライナ以外の隣国に対し、その主権を侵害するのを阻止するため必要な権限をオバマ大統領に与える」と述べた。
下院はまた、オバマ政権が求めた10億ドル(約1030億円)のウクライナ支援パッケージを同日遅く承認する見通しとなっている。
【ベルリン】ドイツのシュタインマイヤー外相は7日、当地でチェコのザオラレク外相との会談後、クリミア危機の解決をめぐり欧米とロシアの溝は2日前よりも一段と深まったとの認識を示した。
ロシアの後ろ盾を受けたクリミア自治共和国政府が、ロシア編入を問う住民投票実施へと動きを加速させたことで、事態が「残念ながら逆行した」と語った。シュタインマイヤー外相は記者団に対し、欧州連合(EU)やその近隣諸国、国際社会がロシアのクリミア併合を「強く非難する」だろうと述べた。
さらに「この24時間で、(全欧安保協力機構を中心にウクライナ問題の解決を目指す)『連絡グループ』に参加するとのロシアの明確なシグナルを得られなかった」と明らかにした。
ドイツ政府は、ロシアとウクライナがともに加わる連絡グループを設置し、外交手段を通じて問題解決を図るよう訴えている。この実現に向けプーチン大統領を動かそうと、ここ数日間は懸命に働きかけていた。
シュタインマイヤー外相は、ウクライナ危機を鎮静化させるために必要な、ロシアからの「欠くことのできないシグナル」が依然ないと指摘。ロシアがウクライナの緊張を緩和する意思を示さない場合には、EUはロシアに制裁を科す方向へ動くことになると語った。
EU加盟国首脳はブリュッセルで6日開催した緊急首脳会議(サミット)を終えた後、ロシアが数日以内にウクライナとの交渉を開始せず、速やかに和解への行動をとらない場合には、ロシア高官に対し渡航禁止や資産凍結などの制裁を科す用意があるとの声明を発表した。