自民党型政治の特徴は、大手企業、富裕層の利益を判断基準とし、彼らがもっとも有利に、かつ、自由に行動できるようにする政治経済制度作り。そのことを構造化するための司法制度の改悪です。その財源として、大衆的収奪を強化し、貧しい国民から税として富を吸い上げ、富裕層の減税、大手企業の法人税を減免する、経済成長のためにと詐称して研究開発費、投資に税金を補助金として与える。このようなことを戦後一貫して行っています。
そのときに、法律の審議にあたり、民主団体、野党の反対、批判を受けて防戦する反論を行いながら、時間稼ぎを行い、国民が「仕方ない」と黙認し、さらに「黙り込む」よう世論操作を繰り返し行ってきました。安倍、自民党極右政権が進めるマスコミへの威圧、世論操作の事例としてNHK会長、経営委員人事への介入、政治支配はその代表的事例です。この事例でも、圧倒的多くの国民の辞任要求、罷免要求を無視し続けています。このような中で多くの国民が「仕方がない」として記憶から薄れるのを意識的に待っています。
特定秘密保護法はそのような自民党政権、安倍、極右政治集団に権力による弾圧で情報操作、真相隠しを保障し、政治権力に力を与える点で、大きな問題がある法律です。
<信濃毎日新聞社説>
2014年度政府予算が成立し、通常国会は後半の論戦に入る。重要テーマの一つが特定秘密保護法だ。法律は昨年の臨時国会で成立している。12月6日だった。施行は成立から1年以内とされている。普通なら内閣が閣議で期日を決めて施行、という段取りになる。
政府が恣意(しい)的に秘密を指定することはないか。国民の「知る権利」が侵害されないか。社会が息苦しくならないか…。法案審議では疑問の声が相次ぎ、国会をデモが取り巻いた。そうした声を振り切って、政府が強引に成立させた法律である。
このまま施行に向かうことを認めるわけにはいかない。法の危うさをあらためて確認するために、通常国会前半の議論を振り返る。
<官僚任せになる心配>
1月30日の衆院予算委。自民党防衛族の一人で元防衛庁長官の中谷元氏が安倍晋三首相に問う。防衛省には42万件の特別管理秘密がある。大臣が全てをチェックするのは難しい。秘密に指定するかどうかは「あるところである人が決めている」のが実情だ。中谷氏はそう指摘しつつ、「政府全体としてどう対応していくのか」と尋ねている。法の運用が官僚任せになることを懸念する趣旨とも受け取れる。自分の経験を踏まえているだけに聞かせるものがあった。
首相は答えている。内閣官房の保全監視委など「恣意的な運用を防ぐための二重、三重の仕組みが設けられている」。問題は「二重、三重の仕組み」の中身である。政府内に設ける三つのチェック機関はいずれも官僚がメンバーだ。唯一、外部の委員で構成される情報保全諮問会議は秘密の中身には触らない。確かなチェックは難しい。
チェック機関の頼りなさは、臨時国会でも繰り返し指摘された問題点である。紋切り型答弁を繰り返す首相の姿勢は不誠実だ。
<報道を萎縮させる>
この国会では、国会による運用監視の仕組みをどうつくるかも課題の一つになっている。自民党が先日提示した案では、国会の機関は秘密の中身には踏み込まない。「国会による監視」のうたい文句も看板倒れになりそうだ。
報道に携わる立場から、見過ごせないやりとりもあった。
「国民が抱く懸念を総理はどう考えているのか」。野党議員が問う。2月6日の参院予算委だ。首相は答えている。「(国民の懸念は)条文からくるものではなく、誤った報道や皆さんが作ったパンフレットが醸成している」メディアの報道について政府自民党はかねて不満を募らせている。自民党は昨年12月には「新聞報道への反論」と題する文書を党所属国会議員に配った。
文書は「○月○日○○新聞」など具体的な記事を挙げて「事実に反します」と反論している。例えば政府が勝手に秘密指定する心配があるとの記事に対しては、「特定秘密は法律の別表に限定列挙された事項に関する情報に限って指定するもので…恣意的な運用が行われることはありません」。
秘密法の別表を開く。「防衛に関する事項」を見ると「自衛隊の運用またはこれに関する見積りもしくは計画もしくは研究」と書いてある。これでは自衛隊に関する情報は全て秘密となりかねない。自民党文書の言う「限定列挙」の方こそ事実に反する。
今月20日の参院予算委では、秘密法は報道活動を萎縮させる心配がある、との野党議員の質問に谷垣禎一法相が答えている。「メディアの正当な業務行為に強制捜査が入ることは通常あり得ない。ただ、どう考えても違法な行為であれば(強制捜査が)ないとは言えない」
<施行させない運動を>
強制捜査するかどうかを判断するのは警察である。「もしかして調べられるかも」とメディアに思わせるだけで威嚇効果は十分だ。法相の答弁は秘密法の危うさをむしろ浮き彫りにする。
国会の外では秘密法に反対する運動が今も続いている。秘密法違反で逮捕、起訴された場合に備えて「対策弁護団」が早々と結成された。300人を超える弁護士が参加を表明している。静岡では地元の弁護士が施行差し止めなどを求めて裁判所に訴えた。
長野県内で今年に入り、上田市、須坂市などの議会が法の廃止や「適正な運用」を求める意見書や請願を可決、採択している。20日には中野市、上水内郡飯綱町、南佐久郡小海町の議会が廃止の意見書を可決した。1月24日に信濃毎日新聞に掲載された廃止の意見広告には4493人、386団体が賛同の声を寄せている。
秘密法は憲法がうたう国民主権と相いれない。法は成立しても施行の前に廃止することは可能である。施行断念に追い込む運動を粘り強く続けよう。