問題の解決は、原子力発電所の建設、既存原子力発電所再稼動を中止することです。
その原則を確認した上で、住民避難計画の立案、訓練は非常に大切な意味を持ってきます。国道338号、279号などをつかった避難が出来るかどうかも真剣に議論と検討が必要です。この国道は、道路幅が狭く、緊急時に一気に、何千人もの避難者が自動車で逃げるような事態になれば、大混乱することは確実です。また、高齢者、自動車を所有していない住民は逃げることすら困難です。逃げ遅れれば、放射能汚染にさらされ、被爆することは確実です。
また、北に位置する函館市、北海道の太平洋地帯、海域は放射能で汚染されることは福島第一原発事故を見れば、あきらかです。函館市が、大間原発などの建設差し止め訴訟を起こすのは政治的な正当性を持っています。
<報道記事>
東北電力東通原発(青森県東通村)から30キロ圏内にある青森県下北半島の5市町村が今月末から4月にかけ、原発事故を想定した住民避難計画を相次いで策定する。基本方針は、いずれも県西部への陸路移動。限られた幹線道路に避難車両が集中すると予想され、渋滞を危惧する声が強い。原子力施設が集中する下北半島特有の問題もあり、課題は山積みだ。
<集落が孤立も>
避難計画の現時点での内容は表の通り。下北半島を縦断する国道279号、338号を南下し、30キロ圏外の青森、弘前両市に向かう。
原発が立地する東通村は5市町村で唯一、原発5キロ圏内の区域(PAZ)を抱える。事故が起きれば即時避難する区域で、小田野沢、白糠、老部の3地区計約3000人が該当する。30キロ圏区域(UPZ)を含めると全住民が避難対象になる。
村が心配するのは貧弱な道路網だ。太平洋沿いを通る国道338号が地震や津波で寸断されれば、集落が孤立しかねない。吹雪の常襲地帯でもある。村原子力対策課は「道路状況は天候や災害の程度によって大きく変わる。避難道の整備が必要だ」と強調する。
横浜町は国道279号で半島を抜ける計画で、代替の幹線道路はない。「渋滞で動けなくなったら住民を逃がす場所がなくなる」(企画財政課)と危機感を募らせる。
むつ市は、5万人を超える住民避難の対応に頭を痛める。町内会ごとに集まった後、青森市にバスで移動する予定だが、台数確保の見通しは立っていない。市防災政策課は「海上輸送の検討も急ぐ必要がある」と言う。
<範囲拡大急務>
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場が立地する六ケ所村は別の問題を抱える。先行して災害対策重点区域が拡大された原発と異なり、核燃料施設の重点区域は今も5キロ圏内のままだ。範囲拡大は必至だが、国の見直しは進んでいない。
村は原燃が2015年3月までの操業を目指しているのを踏まえ、「再処理工場の事故に備えた避難計画も必要だ。操業までに区域を決めてほしい」と注文を付ける。
受け入れ側にも課題がある。青森市の場合、受け入れ可能な避難所は約180カ所あるものの、備蓄食料や毛布が足りないという。市危機管理課の白川清悦主幹は「避難が長期化する原子力災害に対応するには、受け入れ自治体以外の応援体制も必要。実効性のある避難計画になるよう、市町村連携を強化することが重要だ」と話した。