紛争を武力で解決しない。紛争は話し合いで解決する。その基本が世界共通の認識になろうとするときに、戦争する国になることで、国際的な信認を得ようとする。本当に発想が逆転した安倍、自公極右政権です。多くの国が軍隊を持ち、軍事費に膨大な国家予算を使っていることと貧困は密接に関係しています。軍事費を使うことで財政上の負担が大きくなり、そのことで軍事費以外の教育、社会保障費などが切り捨て、削減されるのは限られた財源との関係で当然(理屈として)のことです。同時に、そのことが貧困対策を困難にし、一層貧困層を拡大することになります。
馬鹿げた理屈を持ち出し、自らが偉くなったような錯覚と妄想を持ち出して戦争できる国になりたいーーそのような愚かな政策を止めるべきです。戦争は暴力と殺りくそのものであり、結果とし国土の破壊、貧困しかもたらしません。
<毎日新聞社説>安保転換を問う 日本と中東 軍事への傾斜は危険だ
安全保障関連法案の審議は中東への取り組みが一つの焦点になっている。安倍政権がホルムズ海峡周辺で想定する機雷掃海はその典型だ。日本はペルシャ湾岸諸国の石油資源への依存度が高いので、湾内への出入り口(ホルムズ海峡)が機雷で封鎖されれば石油は途絶え、最終的には存立の危機に直面しかねない。政府はそんなふうに説明する。
日本は1991年の湾岸戦争後、海上自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣した。掃海の実績はある。だが、その時は停戦発効の2カ月後に掃海を始めた。安倍政権が停戦前の掃海も想定するなら、危険度は91年時とは比較にならぬほど大きくなる。
◇朝鮮戦争の貴重な教訓
朝鮮戦争での掃海作業が参考になろう。「朝鮮戦争全史」(和田春樹著)などによると、50年10月、米軍の強い要請で海上保安庁の掃海艇8隻が北朝鮮・元山沖の掃海に参加した。米軍は約40機の航空機で海域に爆弾を投下し、入念に機雷を破壊した上で自国の掃海艇を投入した。
それでも、すぐに2隻が機雷に触れて沈没し、別の船は陸から北朝鮮軍の砲撃を受けた。その数日後には日本の掃海艇1隻が機雷で大破し、乗員1人が行方不明(後に死亡と断定)になって18人が負傷した。翌日には韓国船が触雷して沈没した。
あまりに危険だった。日本の要員は話が違うと怒り、8隻中3隻が米軍の意向に逆らって帰国した。ある幹部要員は作業の危うさを「暴虎馮河(ひょうか)というか足下薄氷を渡るの感」と表現し「我々の能力以上のことを無理してやることは極めて危険である」と語っている(海上幕僚監部防衛部「朝鮮動乱特別掃海史」)。
65年も前の話をするのは、危ないことはやめようと言いたいからではない。ペルシャ湾での掃海が「能力以上」かどうかは意見が分かれよう。ただ、機雷封鎖が引き起こした武力抗争が続く間の掃海には重大な覚悟が必要だ。政府はその点をきちんと説明したかと言いたいのだ。
中東世界を見渡せば、過激派組織「イスラム国」(IS)が国境を越えて侵攻し、内戦や宗派対立も拡大して超カオスといわれる状態だ。ISが2人の日本人人質の殺害映像を公開し、「日本の悪夢の始まり」と宣言したことも含めて未曽有ともいえる地殻変動が進んでいる。
他方、米オバマ政権は「米国は世界の警察官ではない」として中東への深入りを避ける傾向がある。次の政権の意向にもよるが、湾岸戦争以降の中東に定着した「パクス・アメリカーナ(米国による平和)」は実質的に終わったように見える。
そんな時代に日本の役割を考えるのは当然とはいえ、だからこそ慎重な検討が必要だろう。イラク戦争や「アラブの春」によって独裁政権が次々に倒れた中東では、安定した国家再建が難航し、イスラムを掲げる過激派組織の台頭が続いている。ISは国境を無視した一大帝国の建設をめざす。彼らにすれば歴史と国際秩序に対する挑戦である。
◇日本の強みを生かそう
その挑戦に直接的に、力で対処するのは日本の任ではない。地殻変動の背景には、イラク戦争を含む大国の軍事行動や過去の植民地支配への反発、怨念(おんねん)もあろう。こうした状況に対しては、地理的にも歴史的にも中東と縁の深い米国や欧州、ロシア、そして何よりアラブ諸国自身が主体的に対処するのが筋だろう。
日本がすべきことは別にある。中東の植民地化や紛争などにほぼ無縁だった日本は、それゆえに中東諸国の信頼を集めてきた。日本はこの無形の財産、強みを生かし、積極的な外交と人道支援で中東の安定に貢献することが大切なのではないか。
戦闘に巻き込まれかねない形の後方支援も含めて、軍事行動に傾くのは「財産」を損なう危険な道だ。全面的な非軍事というのではなく、イラク戦争時、陸上自衛隊が人道復興支援を行った例も検証しつつ、日本にふさわしい支援を考えたい。
安倍政権がホルムズでの掃海に前向きなのは、米国が日本の技術を評価し、アーミテージ元国務副長官らのリポートが中東での日本の掃海を要望してきたことと無関係ではあるまい。朝鮮戦争時と同様、米国に言われると弱いということなのか。
ただ、イランが機雷封鎖するという想定は時代遅れだろう。イスラム教シーア派の国イランは宗派的にイラクやシリアと親密で、中東全体への影響力も大きい。オバマ政権が核交渉を通じてイランに接近しているのは、同国の関与なくして中東の安定は無理だと見ているからだ。
しかも伝統的にイランと友好関係を築いてきた日本が、ここへ来て「ホルムズありき」の姿勢では2国間関係を損ない、国際政治の流れにも逆行しかねない。そもそも中東での掃海が日本の安全保障とどう結びつくのか、ピンとこない国民も多いはずだ。政府は先を急がず、分かりやすい議論をじっくり積み重ねて、国民の声に耳を傾けるべきである。