小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

オスプレイの「着陸失敗」事故の死者が2人になった。オスプレイには構造上の問題があるのでは…。

2015-06-01 08:20:54 | Weblog
 5月17日、米ハワイ州オアフ島のベローズ空軍基地近くで着陸事故を起こしたオスプレイMV22型機での死者が2人に増えた。
 事故の目撃者の話によると、「見た目には機体に何の異常も感じなかった。突然ストーンと落ちた感じだった」という(ユーチューブより)。
 オスプレイはアメリカが誇る最新鋭の航空機だが、その安全性は以前から疑問視されていた。が、米国防総省は「事故率は他の軍用機に比べ最も低い」と安全性を強調してきた。実際には米国防総省は軍用機の事故について3ランクに分けて事故率を計算している。もっとも重大な事故(Aクラス)は死者が出、航空機自体がほとんど修復不可能になったケースで、こうした事故に関してはオスプレイの事故率は一番低いという。次に中程度の事故(Bクラス)は死者こそ出さなかったが、重傷者が出たり航空機の修理にかなりの金額がかかる事故で、このクラスになるとオスプレイの事故率は一躍トップに躍り出ている。さらに最後の比較的軽い事故(Cクラス)になると、オスプレイの事故率は他の軍用機を圧倒して多い。
 考えてみれば、そうした結果が出るのは当り前と言えば当たり前の話だ。
 オスプレイはユーチューブで見ればすぐ分かるが、機体の両翼の先端にプロペラを搭載した回転式のプロペラ体がついている。通常の軍用機(ジェット機)の場合には両翼の下部に固定してあるジェットエンジンに相当するものだ。ジェット機の場合、このエンジンの向きを回転させて飛行方向を変えるといったことはしない。エンジンは完全に翼に固定されていて、翼と一体になっている。これがジェット機とオスプレイとの最大の設計上の違いである。この違いが事故率に大きく関係してくる。
 ジェット機の場合、いきなり空中に浮揚させることは不可能だ。ヘリコプターのようにいきなり空中に浮揚させるためには、機体の上部に、飛行中には格納できるプロペラを数個搭載しなければ無理だ。ジェット機を浮揚させるだけのプロペラ(プロペラの大きさは機体に格納できるサイズが限界)を数個搭載するとなれば、機体重量が重くなるためスピードも出せなくなるし、またプロペラの格納スペースを確保することも困難だ。ジェット機の離着陸時には滑走路が絶対に欠かせないのはそのためだ。中学生でも知っている、このバカバカしい話をわざわざ書いたのは、オスプレイが本質的に抱えている構造上の欠陥を明らかにするためである。
 オスプレイの両翼の先端についているプロペラ体は、翼本体と固定されていない。オスプレイの場合、離陸時にはプロペラは普通のヘリコプターと同様、上を向いている。が、オスプレイはいったん空中に浮上したら、プロペラ体を90度回転させ、プロペラは水平方向を向く。この瞬間、オスプレイはヘリコプターからプロペラ飛行機に早変わりする。つまり、オスプレイは翼とプロペラ
体を1本の回転軸でつないでいるのである。私が「構造上の欠陥」としたのは、
その故である。
 オスプレイの場合、こうした構造から機体に何らかの異常が生じても、水平方向を向いていたプロペラ体を上向きに回転させれば、オスプレイ本体をホバリング状態にすることができる。つまり墜落などの致命的な事故は、機体に何らかの異常が生じたとしても避けられる可能性がかなり高いのだ。
 ヘリコプターのプロペラの向きを90度回転させて、推進力に変えるというアイディアは、それほど斬新的とは言えないだろう。藤子不二雄の不朽のヒットアニメ『ドラえもん』は頭部に付けたプロペラでヘリコプターのようにホバリングしたり、同じプロペラを推進力に変えて飛行することができる。ただ『ドラえもん』の場合はプロペラの向きを90度回転させるのではなく、『ドラえもん』本体の向きを変えることによってプロペラの機能を自在に操ることができる。通常のヘリコプターは離着陸用に使用するプロペラと、飛行中の推進力用に用いるプロペラを別々に備えることによって垂直に離着陸し、かつ飛行のための推進力を使い分けているが、一つのプロペラで両方の機能を使い分けることができればいいな、などというのは中学生でも思いつくアイディアでしかない。ただ、その実用化が極めて困難で、オスプレイはそのための一つの方法として実用化研究が進められたのだろう。
 ジェット機の場合は、飛行中に機体に重大な異常が発生した場合、どこか滑走路がある飛行場に不時着するしか事故を回避する手段がない。私は御巣鷹山の日航機事故については、操縦していたパイロットは国民栄誉賞を貰ってもいいくらいの英雄的行動で4人の乗客・乗員の命を救ったと考えている。少なくとも日航は彼を「パイロットの鏡」として、会社が存続する限り永遠にその英雄的操縦をたたえ続けるべきだとさえ考えている。
 ユーチューブでの目撃者の証言を信用する限り(日本ではほとんど報道されていないが、ハワイでは知らない人がいないほど有名な目撃談のようだ)、事故機は通常の着陸態勢(つまりホバリング状態)に入っていたようだ。だから米国防総省も、この事故について「墜落」とはせず「着陸失敗」と発表している。が、ホバリング状態に入っていたヘリコプターが、着陸に失敗して地面に激突し一瞬で炎上するような事故が、かつてあっただろうか。私自身は寡聞にして、そうした着陸失敗により死者が2名も出るような爆発炎上事故を起こしたという話は聞いたことがない。
 米国防総省は、依然として「事故原因は調査中だが、設計に根本的な欠陥はない」との立場を崩していないようだ。ただ不思議なのは、肝心の事故機のパイロットは無事だったのか、それとも最初の死者だったのかという重要な事実すら公表を拒んでいることに、私は奇妙な違和感を覚えざるを得ない。
 これは私の素人考えだが、事故機は着陸態勢に入ったとき、当然プロペラの向きを90度変えてホバリング状態にしたと思う。が、その瞬間肝心のプロペラが何らかの理由で回転しなくなってしまったのではないかと考えている。オスプレイの事故の大半はプロペラ体の回転の際に異常が生じたのではないかと、多くの専門家は指摘している。そう考えるのが、オスプレイの事故が多い最大の合理的理由だと思う。その構造上の問題を、米国防総省はまだ克服できないのではないか。おそらく、日本の例えば三菱重工などの技術者の協力が得られれば、かなり解決できる可能性が高くなるとも私は考えている。アメリカが日本を真の同盟国にしたいのなら、日本企業の技術力を信用して、あらゆる事故情報を開示し、改良のための共同研究に着手すべきだろう。

 5月末、日米豪防衛相会談に出席するためシンガポール訪問中の中谷元防衛相は30日、米のカーター国防長官と個別に会談、オスプレイの事故原因についての調査結果を速やかに明らかにすることを求めたという。すでに東京に近い米軍横田基地にはMV22より安全性が低いと言われているCV22の配備計画が決まっている。日本は、プロペラ体を翼の先端に回転軸1本でつなぐというオスプレイの構造上の問題と信頼性について、徹底的に調査すべきだろう。日本の自衛隊も購入する予定だと言うのだから…。