小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

集合住宅管理組合理事会の独裁権力はこうしてつくられる。

2015-06-08 07:12:54 | Weblog
 今週は何を書こうか迷った。サミットについても書きたかったし、集団自衛権についての憲法審査会の判断についても書きたかったし、20歳の女子大生が国民の権利としての国政選挙に投票できない制度について国を相手取っての訴訟についても書きたかったが、きわめて身近な地域社会の問題について書くことにした。
 昨7日、私が住んでいる某団地の管理組合総会があった。総会はすでに管理組合理事会が決定した議案について賛否を問う「儀式」でしかなかった。私は思わず北朝鮮の「民主主義」システムを想起した。北朝鮮は正式な国名に「朝鮮人民主主義共和国」を採用しているくらいで、一応民主主義国家を標榜している。が、北朝鮮に日本のような国会があるのかどうかは分からないが、そういう国の政策についての決定機関があったとして、「国会」の役割は政府の政策の追認機関でしかない。実は、私が住んでいる某団地の管理組合総会も同様なものでしかないことが昨日、あらためて明らかになった。
 実は私は、昨年の管理組合総会で緊急動議を提出した。が、緊急動議は管理組合理事会とは別のわけのわからない「21委員会」と称する組織によって封じ込められた。実は私が住んでいる地域は日本一といえるほどの大団地地域である。この地域には数か所の団地(分譲および賃貸)が存在し、分譲と賃貸の住居も混在している。管理はすべてJS(日本総合住生活株式会社)が全面受託している。ちなみにJSはUR都市機構(元公団)の子会社である。
 私が最初に疑問に思ったのは分譲と賃貸では管理費(賃貸の場合は共益費)の相当の差があることであった。分譲の団地については管理費に違いがあるので、私が住んでいる団地についてのみ書くが、管理費は月額5200円である。一方賃貸の共益費は月額2500円。分譲団地の世帯は賃貸の倍以上の管理費を強制的に支払わされている。
 昨年の総会で私はその問題を追及しようとしたが、「21委員会」によって阻止された。が、管理組合理事会が提出した議案に対して出席組合員から「JS丸投げ」に対する批判が噴出した。理事は毎年交代することになっているので、昨年8月5日、新理事長に要請文を提出した。その一部を転記する。

 (前回の)総会では管理組合に対する批判(JS日本総合住生活への丸投げ)が激しく出ました。
 前理事の方たちはいろいろ言い訳をしていましたが、総会を2時間で打ち切りにすることしか頭になく、結局次期理事会に引き継ぐということで逃げ切りました。しかし、現理事会は、管理費が合理的に使われているのかチェックしていますか。先日修繕状態についてのアンケートをとられましたが、管理状態についてのアンケートもとってください。
 とりあえず、JSには何も言わず、管理の現状について国家資格を有しているマンション管理士複数(3人くらい)に、別々にチェックしてもらってください。一人だけだと適正な評価をしない可能性がありますから、その防止のためにも依頼する管理士に「他の管理士にもチェックをお願いしている」とだけ伝えて、別々の日に厳しいチェックをしてもらってください。3人の管理士に支払う報酬など、そのチェックに基づいてJSに対して再見積もりを要求すれば、何十倍にもなって回収できます。

 今年に入って4月14日に再度要望書を理事長に提出した。その一部も転記する。

 6月7日の総会の件ですが、前年総会のように時間切れで終了などといった、いまでは株主総会でもやらないような組合員の意見の封じ込めはしないでください。
 少なくとも当日は午後5時ころまで小学校の体育館を借り切って、途中で1時間程度の休憩時間を挟んでも組合員が納得できるまで討論できる体制をとってください。もちろん午後5時まで総会を続ける必要はありません。すべての議事について討論が終わり、決議について組合員が納得して採決に参加できるだけの体制をとってください。議事進行がスムースに済めば、午後5時まで総会を続ける必要はありません。(中略)
 とくにURの場合、分譲と賃貸で管理費に相当の開きがあります。分譲の場合、なぜ賃貸より過大な管理費が必要なのか、JSの責任者を総会に呼んで説明させてください。

 さて昨日の総会でも、JSへの丸投げに対する組合員からのかなり厳しい批判が噴出した。理事長は「JS丸投げには問題があると思う。この問題は次期理事会に引き継ぐ」と言ったが、前年の総会でも前理事長はまったく同じ対応で逃げた。おそらく、来年の総会でも新理事長は同様の対応で逃げるだろう。「二度あることは三度ある」ということわざもある。
 こうした不祥事が連続して続いた以上、理事会がJSとの癒着を解消する手段は一つしかない。今年度のJSとの契約は成立してしまったから解消するのは難しいが、新理事会が「来年度はJSとは管理委託契約をしない」と宣言してしまうことだ。ちなみにマンション管理業者としてのJSの評価は34位だそうだ。新理事会が「来年度は評価ランク10位までの管理業者だけに絞って管理計画と見積もりを取り、複数の専門家に依頼して管理業者を選定する」と原則を決めれば済む。当然評価ランクが34位と低いJSは選定対象に入れない。

 ついでのことに、総会開催に際して管理組合は出席できない組合員に対して「議決権行使書」か「代理人選任届」の提出を求めている。それはそれでいいのだが、議案に対する賛否を問うても議論に参加できないのだから「議決権行使」についての賛否を表明する組合員はいない。
 問題は議案についての賛否を明らかにできない非出席者が出さなければならない「代理人選任届」である。肝心の代理人の選択肢は三つしかない。①理事長②議長③別の組合員、の三つだけである。③を代理人として選任届をする組合員はいない。今年もゼロだった。
 ということは、総会における決議は最初から決まっていることを意味する。①と②は結局自らの意志ではなく、現理事会が提出した議案の賛成票に加算されるからだ。最低、出席できない組合員は、出席した組合員が示した賛否への同意という選択肢を加えるべきだろう。民主主義とは、権力者に従うことではない。管理組合理事会は権力者であるはずはないのだが、そう勘違いしている理事が多いようだ。こうしたことは団地だけでなくマンションなどの集合住宅でも多発しているようなので、あえて問題提起することにした。