第1問

穴熊の場合はこういう手を指しておいた方が良いのです。
A 24飛 B 56銀 C 65歩
第2問

困ったようなのですが。
A 67同金 B 54銀 C 96角
第3問

これが厳しい手でした。
A 53銀 B 72銀 C 63銀
平成3年7月、植山悦行先生と第59期棋聖戦です。

大山先生の中飛車に、植山先生は居飛車穴熊で

大山先生はツノ銀から5筋の歩を交換し

56歩を打ってもらえるならばまずまずの序盤です。

大山先生は再度の55歩で動き出します。

26角には角をぶつけ(角交換は後手が指しやすい)

5筋での勢力争いです。

植山先生は55歩を打たねばならないので歩損になります。

でも23銀と打つようでは大山先生も威張れません。

植山先生も56銀を打って飛車を引き合う形になりました。23銀と56銀では働きが違うから、このままでは先手有利になるはず。

大山先生は39角から馬を作りました。

65桂を取られるのですが

5歩もらっています。植山先生としてはすぐに45桂同桂35飛というのも見えるのですが、桂を打って力をためました。

大山先生は端を突き捨てて銀を引きました。こう指すものなんですね。

ここで銀の取り合いになり

玉を後手の左翼に逃げ出せば、先の23銀が生きそうです。

57歩成から64銀で十分に見えるのですが、あとの展開を見れば57歩成を決めないほうが良かったのです。

角を打たれて72玉しかなく

植山先生は飛車を損しても金をさばきました。

この銀打ちがうるさいのです。

大山先生は不利だと悟ったのでしょう、端を攻めて

玉を逃げ出しますが

馬を消されて

玉を逃げ出せませんでした。

ここまで。
難しい戦いですが、大山先生も自信をもって指していたはず。それが96角~63銀で負けだとは。穴熊に食いつかせてはいけないのですね。
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# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1991/07/24 9:00:00
棋戦:棋聖戦
戦型:中飛車
持ち時間:3時間
場所:東京「将棋会館」
手合割:平手
先手:植山悦行
後手:大山康晴
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 5四歩(53)
15 5七銀(48)
16 4三銀(42)
17 7七角(88)
18 6二銀(71)
19 8八玉(78)
20 6四歩(63)
21 9八香(99)
22 7四歩(73)
23 9九玉(88)
24 6三銀(62)
25 8八銀(79)
26 9四歩(93)
27 9六歩(97)
28 6二金(61)
29 7九金(69)
30 7三桂(81)
31 6六歩(67)
32 5五歩(54)
33 同 歩(56)
34 同 飛(52)
35 6七金(58)
36 5一飛(55)
37 2五歩(26)
38 3三角(22)
39 5六歩打
40 3二金(41)
41 3六歩(37)
42 4五歩(44)
43 5九角(77)
44 1四歩(13)
45 1六歩(17)
46 5五歩打
47 2六角(59)
48 4四角(33)
49 3七角(26)
50 5六歩(55)
51 同 銀(57)
52 5四銀(43)
53 2四歩(25)
54 同 歩(23)
55 5五歩打
56 同 銀(54)
57 同 銀(56)
58 同 角(44)
59 同 角(37)
60 同 飛(51)
61 6五歩(66)
62 同 桂(73)
63 2四飛(28)
64 2三銀打
65 5六銀打
66 5一飛(55)
67 2八飛(24)
68 3九角打
69 3八飛(28)
70 8四角成(39)
71 6六歩打
72 5四銀(63)
73 3七桂(29)
74 3三桂(21)
75 3五歩(36)
76 同 歩(34)
77 6五歩(66)
78 同 歩(64)
79 7五歩(76)
80 同 歩(74)
81 5七桂打
82 9五歩(94)
83 同 歩(96)
84 6三銀(54)
85 7八飛(38)
86 5五歩打
87 6四歩打
88 5六歩(55)
89 6三歩成(64)
90 同 玉(72)
91 6五桂(57)
92 5七歩成(56)
93 6六金(67)
94 6四銀打
95 5五歩打
96 6七と(57)
97 9六角打
98 7二玉(63)
99 7五金(66)
100 同 銀(64)
101 同 飛(78)
102 同 馬(84)
103 7三歩打
104 8二玉(72)
105 6三銀打
106 9七歩打
107 7二歩成(73)
108 9三玉(82)
109 6二銀(63)
110 9八歩成(97)
111 同 玉(99)
112 8四玉(93)
113 7三銀(62)
114 9五玉(84)
115 8六銀打
116 同 馬(75)
117 同 歩(87)
118 7六銀打
119 9七金打
120 5八飛打
121 6三角成(96)
122 8四香打
123 9六金(97)
124 投了
まで123手で先手の勝ち
20181110今日の一手
7月28日の名南将棋大会から、NさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
銀と角の交換で先手が少し駒得です。
玉の堅さは(相手の駒を考慮しないで)先手のほうが少し堅いですが、78銀成同銀を想定すれば同程度。
先手の攻め駒は53角と持ち駒飛角桂で4枚。
後手の攻め駒は58飛67銀で2枚。56金は数えるかどうか。
総合すれば先手有利か優勢です。
☆ 大局観として
先手がすべての要素で上回っていますが、玉の堅さだけは同じくらいかも。寄せ合い勝ちならば良いですが、そうでなければ受けておくほうが無難です。駒得なので長くなっても構いません。
△ 攻める手としては41飛で、51歩と守られるでしょう。
この交換を入れたほうが得かもしれませんが(後手が歩を使って攻めにくくなるとか)、後手玉を寄せるにはもう少し駒が必要です。
△ 21飛は31歩かもしれないので(51歩の後で打たれるかもしれないし)
41飛よりは劣ります。
△か○ 実戦は64角成で
56金が移動して角取りになるのを防いでいます。後手玉はまだ詰めろではないのですが、もう一枚もらえれば。78銀成同銀(ここで詰めろになった)63金37馬
後手の攻め駒が減りました。47桂成26馬67金69銀打78金同銀67歩59歩
6筋の歩を取ったので△67歩が生じましたが、竜を追って、56竜35角57成桂41飛51歩71金62銀
後手玉も粘りが利きますね。長い終盤は後手Mさんが制しました。
さて64角成78銀成同銀63金の時に同馬と取ることができます。
63同銀に41角が両取り。52銀32角成67金
53角は金2枚と交換できたという計算で、駒得が広がりました。ただ後手の32金は守備駒でもなかったので、この取引はそんなに得ではないです。
しかし受けを考えれば金2枚を持ち駒にしたというのが心強いのです。69金78金同金67銀68金打
千日手を許さずに受けることができます。これならば形勢有利を保ちやすいはず。金銀を自玉まわりに打って守ります。
○ 35角成はしっかりした受けの手で
後手の4枚目の攻め駒候補35桂を取り払い、馬が自玉の守りに利いています。78銀成同銀67金69銀78金同銀67銀68金
金銀の打ち替えで金を手持ちにした時に、飛車取りに受ければ千日手を回避できます。馬を使えば3枚の攻めは受けやすいでしょう。
○ 59歩は受けの手筋で
59同飛成は78銀成の攻めが甘くなります。38飛成だと後の67金が角取りではありませんし、58桂など先手は5筋に駒を打って受けることができます。
後手は勢いで78銀成同銀同飛成同玉67銀88玉78金
98玉77金同桂76銀成41飛
受けにくい形なのですが、駒をもらったので51歩には71銀があります。71銀と使わせて、88銀66金78歩95歩64角成
74桂を見て端攻めは無効にできるので先手優勢です。
△ 68金は
受けとしてはちょっと手薄いのです。駒を打ったほうが手堅い原則に外れます。68同銀成同銀引67金
やはり角取りになるのですが、64角成が詰めろ。63金46馬
後手に金を使わせたのでどうにか受かります。47桂成と捨てられて、同馬68金
58馬同金でも良いですが、69銀同金58馬
後手の大駒を残さないほうが受けやすいです。
× 68銀上だと
78銀成同玉67金打
でつぶれます。
× 68銀引78銀成同玉67金打
でも同じです。
△ 68桂は
飛車の利きを小さな駒で遮断しているのですが、78銀成同銀67金
これが角取りになるのが嫌です。35角成78金同玉59飛成79金(69金よりも少し優る)
67銀同玉79竜78銀19竜
先手有利ではありますが、先手玉が堅くなったという感じがしません。68桂だと駒の連携が悪いのでしょう。
△か× 68角だと
銀で取られると駒得は消えますが、玉の堅さがはっきり上回ります。47桂成64角成78銀成同銀63金
というくらいでしょうか。馬を逃げて成桂を使われたら駒損になりそう、まだ先手よしだとは思いますが。
○ 68飛ならば
後手の飛車当たりですから強い受け方です。68同銀成同銀引47桂成35角打
2枚角で攻めてみると、後手は持ち駒飛は受けに使いにくくて、先手優勢です。
☆ まとめ
問題図の3手前に指した53角がうまく使えれば先手が勝ちやすいです。一般的に前に指した手が生きれば形勢が良くなるのです。攻めを考えて64角成か、受けも考えて駒得の35角成は悩むところ。
64角成は後手玉がすぐに詰めろになるから魅力的なのですが、78銀成同銀63金という局面でまた悩みます。金を使わせて馬を引いておくか、馬を切って駒得にするか。馬を引く方は難しくて、筋悪のような駒得が正解でした。振り飛車の粘りに悩まされます。
35角成のほうは長期戦歓迎です。いざというときの詰み筋(71角や71銀)も確保しているので、実戦的に選びやすい気がするのです。
53角を使わない受けとしては、一本は59歩を考えてみたいです。78銀成以下の攻めを読んでからですが。
68に駒を埋めるのが普通の受けで、通常は小さい駒の桂を打つのですが、これが不正解。68角でもなくて68飛が正解というのは珍しいケースでした。