名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20181130

2018-11-30 | 大山将棋研究
先手番大山先生の手を考えます。

第1問


65歩をねらわれています。柔軟に考えましょう。
A 68飛 B 75歩 C 37角

第2問


この手が成立しました。
A 46銀 B 89香 C 74飛

第3問


駒得なのでここを乗り切れれば有利です。
A 74飛 B 97角 C 89歩

第4問


味わい深いです。
A 45歩 B 44歩 C 74飛


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大山将棋研究(1085);向い飛車に四枚美濃(高橋道雄)

2018-11-30 | 大山将棋研究
今日の棋譜20181130
平成4年1月、高橋道雄先生と第50期A級順位戦です。

大山先生は珍しく向かい飛車で

昔の常識は64歩を突いてから(86歩の急戦を避けて)42玉としていました。

高橋先生は4段目に歩をずらっと突いてから天守閣美濃です。

それから四枚美濃にするのですが、31角の利きが止まるのが不安です。

大山先生は端桂から1歩取りました。

6筋の歩交換には45歩のねらい。先手の作戦勝ちでしょう。

高橋先生は55歩で避けようとしたら大山先生は45歩。戦いの始まりです。

飛車をさばけば先手有利ですが

そう簡単ではないです。角をさばき合い

66歩は嫌なところです。

6筋は謝らせられましたが、91角成が楽しみで

高橋先生は動かねばならないのですが、86角に大山先生は74飛ではないのですね。

91角成は大きな手で

田楽刺しが生じました。こういう時に74飛よりも76飛の位置のほうが良いということなんですね。86角を取りやすいですし、73歩を打たれません。

高橋先生は角を捨てて香を取ります。

銀を取れたらまあまあ。

大山先生は馬を引き付け

角を打ち

57歩を取り払えば、はっきり有利になりそうです。

あっさり89桂を取らせて、じっと45歩を打っておく、先手陣の形がきれいです。

58歩には飛車をぶつけ

73香を打たせて飛車をぶつけます。これで飛竜の交換になり

先に攻められるのですが

44桂から銀をはがして

82飛から桂を取って、大山先生は角歩3得です。

と金で攻められても44桂を打ち込んで(駒柱になりました)

金をはがして金角をかわしておきます。

金1枚とられましたが、成香を取り返す手があってここまで。

76歩84歩56歩は位取り中飛車か向い飛車になるので(当時の常識では)作戦勝ちが見込めます。ただし有利になるからと言って多用しないのも大山先生の深謀遠慮です。いざというときのためにとっておくもので、順位戦での難敵相手に使いました。大山先生の快勝譜です。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1992/01/28 9:00:00
棋戦:順位戦
戦型:向飛車
持ち時間:6時間
場所:東京「将棋会館」
手合割:平手  
先手:大山康晴
後手:高橋道雄
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 8八飛(28)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 3四歩(33)
11 4八玉(59)
12 6四歩(63)
13 6六歩(67)
14 4二玉(51)
15 3八玉(48)
16 3二玉(42)
17 2八玉(38)
18 5二金(61)
19 3八銀(39)
20 7四歩(73)
21 5八金(69)
22 5三銀(62)
23 5七銀(68)
24 1四歩(13)
25 1六歩(17)
26 4四歩(43)
27 4六歩(47)
28 2四歩(23)
29 3六歩(37)
30 2三玉(32)
31 9六歩(97)
32 3二銀(31)
33 2六歩(27)
34 4三金(52)
35 4七金(58)
36 3一角(22)
37 5九角(77)
38 4二銀(53)
39 7八飛(88)
40 7二飛(82)
41 9七桂(89)
42 3三銀(42)
43 8五桂(97)
44 8二飛(72)
45 8六歩(87)
46 6二飛(82)
47 3七角(59)
48 5五歩(54)
49 4五歩(46)
50 同 歩(44)
51 7五歩(76)
52 6五歩(64)
53 同 歩(66)
54 7五角(31)
55 5五角(37)
56 4六歩(45)
57 同 角(55)
58 6六歩打
59 7七飛(78)
60 6五飛(62)
61 6八歩打
62 8六角(75)
63 7六飛(77)
64 8五飛(65)
65 9一角成(46)
66 6七歩成(66)
67 同 歩(68)
68 4五桂打
69 8九香打
70 8八歩打
71 同 香(89)
72 7七角成(86)
73 同 飛(76)
74 8八飛成(85)
75 6六銀(57)
76 6五歩打
77 8九歩打
78 6八龍(88)
79 4六馬(91)
80 5七歩打
81 7九角打
82 6九龍(68)
83 5七銀(66)
84 同 桂成(45)
85 同 角(79)
86 8九龍(69)
87 4五歩打
88 5八歩打
89 7九飛(77)
90 8八龍(89)
91 7四飛(79)
92 7三香打
93 8四飛(74)
94 同 龍(88)
95 同 角(57)
96 6九飛打
97 4八角(84)
98 7七香成(73)
99 4四桂打
100 6八成香(77)
101 3二桂成(44)
102 同 玉(23)
103 8二飛打
104 4二銀打
105 8一飛成(82)
106 5九歩成(58)
107 4四桂打
108 同 金(43)
109 同 歩(45)
110 5一桂打
111 3九金(49)
112 5八成香(68)
113 7五角(48)
114 4九と(59)
115 同 金(39)
116 同 成香(58)
117 5八銀打
118 投了
まで117手で先手の勝ち


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20181130今日の一手(その792);寄せられるまでの手を稼ぐ

2018-11-30 | 今日の一手

20181130今日の一手

7月28日の名南将棋大会から、IさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金桂香歩歩と角銀の交換で馬竜を作り合っています。終盤なので重視しませんが、先手の駒損です。
(相手の攻め駒を考えなければ)玉の堅さは同程度です。
先手の攻め駒は41飛52馬と持ち駒銀で3枚。26角を数えるかどうか。
後手の攻め駒は19竜97香と持ち駒金桂で4枚。

総合すれば後手有利です。

何手で詰めろかを数えると、後手玉は63馬が詰めろで2手すき。先手玉は詰めろで1手すき。先手番でも1手違いますから後手有利です。

☆ 大局観として
寄せ合いとみると後手のほうが速いです。でも互いに受けはありそうですから、大差ではないでしょう。
銀冠で97に駒を捨てられるというのは鋭い寄せ筋です。こういう囲い崩しの手筋は谷川先生の光速の寄せシリーズを読むと良いです。
さて攻防の手はなさそうなので受けの手を考えねばなりません。(自陣と敵陣に利きのできる手がなく、持ち駒が増えても後手玉は詰まないから。)
なるべく自然な受けから検討します。駒損しない(受けているので駒得のほうが多い)手や、相手の攻め駒の働きを悪くさせる手ですね。


× 放置したり、97同香89金というのは詰まされます。となれば97同玉が一番自然です。

が99竜と取られるのでこのやりとりは駒得にはなりません。98香95歩同歩91香打

これが詰めろで、96銀打95香同銀86歩同銀95香

王手や詰めろの連続で受けがなくなっていきます。


× 実戦は49銀でした。

19竜の利きを止めたのですが、銀は質駒ですね。歩があれば49歩で済む(歩の方が良い)ところなので、不自然な手です。99香成同玉44歩同竜

飛車を1段目からずらされて、後手玉への攻めが遠のきました。これも49銀のせいです。
95歩から攻められるのも厳しいですし、実戦の28竜59角97金68歩57香48角65桂打

77桂成同金48竜同竜88角という攻め筋がうまく受けられません。

では途中99香成を取らずに53角成でどうか。

53同金同馬61香

ここまで決めて(26角をさばいて)99玉97金88金・・・と指すほうが逆転のチャンスがあったのかも。ただし後手有利ではあります。


× 59銀と受けると

飛車の位置をずらされることはないのですが、やはり銀は質駒です。99香成同玉29竜48角57香

香で59銀を取られるのは駒損がさらに広がります。59成香は58成香や68成香と使われますから、形勢が悪化しています。(実戦の49銀に対して57桂~49桂成ならば、あまり厳しくはなかったという違いがあります。)


○ 79銀も質駒ではあるのですが

今度は桂香で取られることはないですし、守りの金銀の連結が強いです。79銀は守りの駒(囲いの一部)として機能しているといえるでしょう。
99香成同玉97金49香

質駒が香ならば少し安心です。

後手としては62金打

一度自玉に手を入れて、34馬65桂打同桂同桂55桂77香

と攻めるものかもしれませんが、88玉78香成同銀上くらいで形勢不明です。

あるいは先手としては2つ前の図から馬を切って(62同馬)同金上21飛成

かもしれません。香歩歩と銀の交換ですから駒損はかなり解消しています。これはちょっとゆっくり指すつもりです。


△ 89銀ならば

さらに先手玉が堅くなったという気がしますが、99香成同玉97桂

桂で銀を取られるので駒損が広がります。49香89桂成同玉97金

63馬同銀53角成61香88金打

まだ少し駒損で、21飛成など駒を取る手の余裕ができるかどうか。


× 85桂は玉を逃げ出そうということですが

99竜77玉85桂同歩65桂66玉61香21竜

先手玉への詰めろは遠のいたものの銀を渡すと危ないです。後手玉への寄せも見えません。入玉できれば勝ちですが、かなり難しい状況です。


○ 98香というのは考えにくいですが

本にも出てくる受けの手筋なのです。98同香成同玉95歩同歩97歩同玉99竜98香92香打

こう進むと前にやった(97同香の変化)図とほぼ同じ図で先手の負けです。

98香成には同銀しかなくて

84桂63馬同銀53角成96桂87玉61香21飛成

案外に先手玉を寄せにくいので良い勝負です。

後手は84桂ではなくて95歩と攻めて

95同歩96香97香同香成同銀96歩同銀84桂87銀96歩49歩

しつこい攻めですが、少し緩めば49歩を打てるので結構大丈夫かも。


× 98銀打は手堅いようですが

さらに駒損になります。98同香成同香99銀97玉89竜

88金と95歩をみて寄せられそうです。これが後手から見た寄せの手筋です。

ということで98同香成には同銀

しかないでしょう。(98同玉は端攻めが厳しいです。)後手は少し悩ましいのですが、先手の戦力が減ったので、62金上34馬84桂89銀75歩

持ち駒金を温存して、先手玉が少し薄くなったのでゆっくり確実に攻めることができます。

先手は馬を逃げずに切ると

63同金71金62金打21飛成69銀79金65桂打

先手玉の囲いの弱体化、後手の戦力の充実が背景にあり、形勢は良くなりません。


△か○ 79金は

持ち駒を温存していて、99香成の時に手抜いて63馬同銀53角成61香49歩

少し攻めて歩を入手し、49歩を打てれば盛り返した感じです。ただし形勢としてはまだ後手よしかも。

後手としては63馬の時に89金を打ちたくなります。

97玉63銀53角成には61桂

馬取りで49歩を打たせず、63馬79飛成は後手の勝ちでしょう。
しかし71馬同玉62歩同玉42飛成52角82金

これは必至ですね。先手の79金は99香成~89金97玉79竜の3手すき、寄せ合いの1手を稼いでいたということなのでした。

後手は途中62歩の詰めろに82玉と早逃げしてみると

61飛成は81香で粘れそうです。でも61歩成が詰めろ。すなわち79竜に81金

と打てば後手玉が詰んでいます。


☆ まとめ

自然な受けというか常識的には79銀と打つのが手堅いです。後手から一番ねらわれにくい場所に駒を埋めます。
もし小駒があれば、玉から遠い49から打つ方が良いかも。壁を作るならば遠くから(一の丸を)作りましょう。小さな駒のほうが取られた時の被害が少ないです。逆に玉の近くに打つと、ほかの駒を埋めるスペースが無くなってしまうかもしれません。
しばらく受けるしかないのであれば、駒損を避けたいです。相手の戦力が増えると受けにくいですし、守備力も低下してしまいますから。受けに回る時には少し駒得しているほうが良いでしょう。欲張るとつぶれてしまうので、玉の堅さを優先するのではありますが。

駒を打つ方が手堅いというのが受けの原則の一つですが、寄せ合いと見れば戦力が低下してしまいます。
銀冠の受け手筋は98香で互角くらい。
79金と節約したら、後手は99香成~89金97玉79竜で詰めろ。1手すきに1手かけて受けたら3手すきになっています。踏み込まれるとさらに受ける余地がないので寄せまでの手が伸びないのですが、寄せ合いの速度が逆転していました。



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