名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

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20190403今日の一手(その854);攻防の手

2019-04-03 | 今日の一手

20190403今日の一手

 

2月16日の名南将棋大会から、AさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

 

一昨日の一手の回答

☆形勢判断をします。

銀銀(歩3)と角桂桂の交換で竜を作られています。先手の駒得ですが、終盤なので評価は控えめです。

玉の堅さは(相手の駒を考えないで)先手のほうが少し堅そうです。

先手の攻め駒は86角を数えるかどうかは悩みますが、85桂と持ち駒角金桂桂だけでも5枚あります。

後手の攻め駒は59竜57銀と持ち駒金銀で4枚。

総合すれば先手もちです。

何手で詰めろかを数えてみると、後手玉は詰まず、詰めろは何通りもありそうです。現状は2手すき。

先手玉は詰めろ(1手すき)なのです。先手番ですが、このままの進行では後手の勝ちですから、後手有利です。

 

☆ 大局観として

この問題では詰みまでの手数が長いのでわかりにくいのですが、互いに詰んでもおかしくない形です。しかし後手玉は詰まず、先手玉は詰めろなのです。

寄せ合いを逆転するためには、1手受けて3手すき以上にするか、攻防の手を指すか(この場合は詰めろ逃れの詰めろ)が必要です。状況によっては王手の利かしを入れるとか、とりあえず1手受けて2手すきにする、その後で逆転をねらうということもあります。

銀をもらい、金銀だけ持っていれば後手玉が詰みますから、なんとかなりそうに見えます。(後手から見ると金銀を渡さずに詰めろを継続するか、渡したら詰ます必要がある。)この場合は銀を手に入れるのが攻防の手になります。

 何度も取り上げているのでこのあたりのことはお判りでしょう。こういう寄せ合いの理論(セオリー)を理解すれば棋力が向上します。

 

 

×  まずは詰みの確認をしておきます。後手玉は詰まないので73桂打など詰めろをかけたとして、68銀成

取るしかないですが、68同金は79飛で簡単です。68同角に67銀同玉(77玉は76金88玉98飛)56竜78玉67金88玉98飛

端に逃げられないので狭いのです。

 

 

× 実戦は67飛でした。

竜当たりになるので飛車を逃げたくなりますよね。58竜68桂67竜同玉58銀打76玉66銀成

詰みがありました。

68金打の合駒だと

68同銀成同金69銀77玉78金76玉67竜

67同玉は56金76玉66金同玉56飛、67同金は75飛から詰みます。

 

 

× 69飛だと

58竜に合駒は詰み、77玉

は詰みませんが、56銀(詰めろ)78金打98歩成

後手の詰めろが続き、持ち駒金を使ってしまうと反撃が遠くなりますから勝てません。

 

 

△飛車を横に逃げてみます。18飛

この先手玉が詰めろを逃れているかどうか。67銀同玉58銀不成同飛56金

76玉79竜77歩75金同角同歩86玉95角97玉96歩98玉

かなり危険ですが詰みません。

 

ということで後手は竜取りを避けて29竜

が最善です。飛車のただ取りにならないように、先ほど先手の飛車は18に移動しておくのが正しい手だったとわかります。ここで73桂打など後手玉に詰めろをかけると、67言同玉66銀成同玉56金

76か77に逃げて79竜がぴったりで先手玉を詰まされます。つまり後手の29竜は詰めろだったというわけです。

 

先手は93歩82玉44角

とするのが先ほどの66銀成の手を消す攻防の手です。詰めろ逃れの詰めろですね。53歩73桂打(詰めろ)同金92歩成

92同玉は73桂成で勝ち。72玉73桂成同金85桂62玉73金52玉33角成

後手玉に詰めろが続きますが、桂を使い切ったので18竜同香48飛の時に68桂合が無くなって詰まされるようです。68金打に67銀同玉56金、68金が桂ならばこれを取れます。

もう少し工夫すれば何とかなりそうなのですが見つからず。(73桂打で73歩62金とか、93歩82玉を決めるかどうかとか97香とか。)実戦的にはどう転ぶかわからないので△評価です。

 

 

× 67金と打つと

56銀同金68銀成同角56竜

持ち駒金を使って銀2枚もらったのですが、後手玉が詰みません。

 

 

× 69金と打てば19竜

先手玉の安全度が増した(3手すき以上)のですが、金を使うと寄せ合いになりません。

 

 

× 69桂と打てば

68銀成同金(と取れるようになった、68同角は67銀があるので状況は変わらず)76飛77桂打88金

77の合駒が銀でも、67玉に56竜があるので詰みを逃れていません。

 

 

× 67桂は19竜

76香を打たれるのが痛いです。

 

×  67角は良さそうですが98歩成

で詰めろ。45角(詰めろ)に68銀成同角88飛

清算は簡単、77玉に68飛成同金88角以下、詰みを逃れていません。

 

 

× 76角でも56銀

と使われて詰めろなので受けが無くなります。

 

 

× 88玉と早逃げしても

98金78玉68銀成同角88飛

77玉に68飛成同金88角という詰み筋です。

 

 

× 端も詰めろに関係しているのですが、95歩は

68銀成同角67銀同玉56銀78玉67金88玉79竜

79同角78飛97玉96歩同玉76飛成86角95香同玉84金96玉85金・・・ずいぶん長い手順(37手詰め)ですが詰まされます。

 

 

○ 実は問題図は92歩成同玉と成り捨てた直後なのですが、93歩82玉92金71玉と筋悪く追ってみたら

わかるでしょうか。26角が王手竜取りなのです。61玉59角

寄せ合いの逆転(詰めろ逃れの詰めろ)ではないですが、確実に詰めろ逃れにはなっていて、先手玉が何手すきまで延びたのかわかりません。

 

 

○ 同じ意味で93金81玉73桂打

筋悪く追って、71玉に26角で王手竜取り、73同金に同桂成では詰まされて負け、73同桂不成72玉82金62玉26角

という王手竜取りでも勝ちです。

 

☆ まとめ

18飛とかわして詰めろ逃れの竜取りで勝ちだと思って問題にしたのですが、わずかに負けのようです。

王手竜取りをかければ勝ちですが、見えにくいですよね。攻防の手ですが、詰めろ逃れ(だけど)の詰めろではありませんでした。

パズルのようなものだと思って楽しんでください。


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