名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

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20190501今日の一手(その868);読まねばならない先の局面

2019-05-01 | 今日の一手

20190501今日の一手

 

3月9日の名南将棋大会から、KさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

 

 

一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

駒の損得はありません。

玉の堅さは同程度ですが、横からの攻めを考えれば先手のほうが堅いです。

先手の攻めは55飛と持ち駒角銀で3枚。

後手の攻め駒は84飛89角と持ち駒銀で3枚。

 

総合すれば互角か先手もちか。

 

☆ 大局観として

先手だけ左桂を跳ねているというのがプラスの要素ですし、玉が少し堅いので先手もちなのだと思います。

後手に角を打ち込まれたところです。これは良い手なのでしょうか?という問題です。後手としては96歩同歩98歩同香を決めて89角のほうが良かったのではないかという比較がありました。

金取りですから、金をかわすか、ひもをつけるか、それ以上の手(多分飛取りくらい)を探すか、という3通りです。狭いところに角を打たれたので、何かうまい返し技がありそうな感じです。

 

 

△ 88金と角取りで返すのは

普通は悪い手です。でも67角成に65飛がありますね。49馬同銀52金上

少し駒得で、また駒組みになるのでしょう。38銀打、78金は指したい手です。長期戦は歓迎のはずで、本来は先手もちです。後手からは77桂の頭をねらって手を作れるかどうか。

 

 

○ 68金とかわすと

(このほかに79金とかわすのは67角成が好位置の桂取りなので面白くないです。)

金が玉に近づくので自然な手です。もちろん87飛成とされる(先手から78銀があるから)のでしょうが、85飛があります。

87歩を取られた損はたいしたことがなく、1歩と1手の交換は1手のほうが大きく、良い感触です。85同竜同桂88飛82飛に71金が気になりますが、77銀

飛車の取り合いでも少し良いですし、

 

77銀ではなく42飛成

から王手飛車もありますね。これは優勢です。

 

ということで71金ではなく68飛成の一手、これに86角でどうか。

67角成にも42角成は

先手の勝ちです。

 

71金42角成

でも先手の勝ち。

 

となれば38竜同銀72銀

二枚換えで粘るわけですが、73桂成同桂42角成同銀89飛成

銀桂と「竜」の交換です。駒損はたいしたことがなく、玉の堅さで少し優り、攻撃力は互いに十分ですが大駒が多いので先手有利なのだと思います。

 

 

× 金にひもをつける手をみてみます。58飛と受けると

後手からは57銀もあります(が57同飛87角成65桂はまだ戦える)。57歩48飛78角成同飛87飛成

とされるほうが嫌ですね。まだ劣勢まではいきませんが後手有利です。

 

 

△ 駒を打ってひもをつけるのはどうか。69銀は

79から打つのもあって比較は難しいです。浮いているけれど先手玉に近いので69銀のほうか。後手からは96歩同歩98歩

があるので受けきりにはできません。

 

96歩の時に85飛

とぶつけるか

 

68金97歩成85飛

とするか。どちらも互角です。

 

受けきりたいならば96歩に86角

を打つのですが、これは形勢不明です。

 

また96歩に65飛

として52金上に88金で角を殺すのもあります。73桂66飛55銀

89金66銀同歩87飛成

8,9筋を守り切るのは難しいですが、駒得なので指しやすくなるはず。

 

 

△ 69角は

銀を打つよりも損なようですが、96歩に65飛

飛車成りを受けたら79金か88金で角が死ぬというのは69銀の時と同じ。でも69角は87の地点も守っているので後の87飛成がありません。

なので64銀(か54銀)と打つことになり85飛同飛同桂

78角成同角79飛82飛

42飛成同銀88角があるので、78飛成81飛成51金打91竜

というのがほぼ必然です。金と桂香の二枚換え(先に取っているだけですが後手が99香を取るのは時間がかかります)、攻め駒は十分なので先手有利です。64銀を無駄に打たせて飛交換というのは気持ちが良いです。

 

 

○か△ 他の手としては飛取りに角を打ちます。66角

は攻防に働きます。82飛68金87飛成85飛

85同竜同桂と進むと88飛を打たれません。66角を打っているのは先手の明らかな得なのです。

 

ということで66角には78角成と

せざるを得ないです。84角77馬

これが飛取りになるのでどうするか。単に逃げるよりは51飛打41金打61飛成55馬81竜46馬

これは駒の損得なしです。一度36金を打つのでしょう。64馬に52歩

というところで先手よしです。

 

 

△か× 角をほかのところから打つと、39角とか

48角とか57角は守りに働きます。78角成以下は前の変化と同じ、82飛68金87飛成85飛同竜同桂88飛

 

先手玉が堅いとはいえ、両取りなのでちょっと悪いです。(57角の場合は56歩を打たれることになります。)

 

 

△ 実戦は54歩でした。

78角成53歩成77馬というのもありそうですが、後手Tさんは52歩と受けて53歩成同歩85飛

85同飛同桂78角成

というのは金得で後手有利です。この後

31角または31銀を打つチャンスがあり、逆転していた瞬間があったのですが、攻防に見える66角が疑問手です。67馬31銀12玉

この後手玉を寄せきれません。66角67馬が入っていなければ(42銀成同金)15歩と攻めて先手よしか。

 

○ 他には51角という手がありました。

見つけにくいのですが、51同金同飛成32金79金打

というのは竜を作っている分だけ先手有利です。

 

51角に82飛でも

42角成同銀79金打

78角成同金で駒の損得はないのですが、51飛成同金55角という手も見えますし、先手よしです。

 

☆ まとめ

中飛車の78金型にはいくつか隙があるのですが、問題図の89角もその一つです。ただ陣形の違いがあり、68金と逃げて87飛成85飛同竜同桂という図

を第一に考えるべきでしょう。左桂が使えているので先手よしの可能性があります。ここで後手の88飛に対策があるかどうか。82飛68飛成86角から先手よしまで読めれば完璧です。

この図に自信がなければ、問題図から66角などを利かせてどうかを考えます。

それでもだめならば角か銀を打って受けます。ひねって88金だってあるのでした。

実戦のように78金を取らせるのはこの図以前で68金は87飛成でだめだ

と読みを打ち切ってしまうからなのでしょう。もう一息が足りません。(後手Tさんから見たら、これで有利だと考えていたのでしょうからおあいこですが。)

 


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