20200117今日の一手
11月30日の名南将棋大会から、WさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
仕掛けはこの図です。
先後が逆で、本来後手番のAさんが流行の48金29飛型です。本来先手のKさんが85歩77銀を決めていないのですが、類似形はあるにせよあまり見かけない形です。
45同歩同桂44銀46歩とするのが
先手(本来後手)のねらいです。この後で飛先の歩を交換して満足だと。ここで64角47金(47銀とするものかも)55銀直
こう進んだのが問題図です。
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは少し後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は45桂と持ち駒角の2枚。56銀は攻め駒として数えても良いです。
後手の攻め駒は64角と55銀の2枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
後手(実際は先手)Kさんの趣向というか定跡外しというか新手というか。角換わり腰掛け銀が流行しているので取り上げてみました。後手(本来の先手)は31玉まで囲ってから反撃するので、この形は見かけません。
後手の立場で見ると、強い反撃ですが先手の45桂が目障りなので選びにくいかなあという55銀直です。
先手は本来後手番ですから、千日手でもよいとして見ていきます。先手玉が薄いので、一つ間違えると敗勢になります。しっかり読み進めねばなりません。
☆ 簡単なまとめ
飛車先の歩を切って27飛
これは46銀に28角を見ています。
あるいは35歩
45桂を生かし、反撃含みで指すのが筋だろうというのが感覚です。
× 後手のねらいを見るために79玉と待ってみます。
77銀では85桂とされるかもしれないので、79玉はとりあえず一番先手玉が堅くなったというか、戦場から離れたという手です。
56銀は同金
これは歓迎です。先手玉が少し堅ければ、金が攻守に働いていると見ます。47金の位置よりも働きが良いのです。
46銀同金同角
これは後手有利。68玉77銀の形だとしたら、まだ難しいですが後手もちです。
途中の工夫は46銀の時に28角
64角が浮いているのでカウンターです。これも「ピン」の手筋と見てよいでしょう。
十分戦えそうですが、この先手の飛角金の配置が怪しいです。45銀同銀37桂
駒損が避けられずに悪くなります。
△ 49飛はおとなしい指し方で
後手も手を出しにくくなります。多分駒組に戻って
本来は先手は後手番で、待機策を取ったと思えば悪くはありません。
× 37角は手堅い受けのようですが
56銀同金47銀
先手の駒の配置が悪くて、47や38に銀を打ち込まれる手が気がかりです。指しにくいでしょう。
○ 24歩から2筋の歩を切っておくというのが当初のねらいでした。引き場所は27です。
これで46銀に28角とすれば
45銀同銀37桂の筋はありません。55銀引しかなくて、同銀同銀にどうするか。44銀54銀
銀を打ち合えば55銀同銀から千日手です。後手が角も交換しようというのは応じるのもありますが46金
でしょうか。いずれも難しい戦いです。本来後手番だと思えば、互角で十分というところでしょう。
△ 単に27飛でも
あまり変わらないです。飛先の歩を交換しておく方が普通ですが。
△ 15歩の突き捨ては
入るかどうかは微妙なところです。でも46銀同金同角14歩
この図も難しいので、後手としては(本来先手だと思えば)15同歩とするのかなあと思います。42玉の位置ですから端攻めが怖くないということもあります。
○ 35歩は
突き捨てておけば十字飛車や33歩のたたきが生じるので、15歩よりも優っているかもしれません。後手の35同歩や同銀は利かされですから、46銀同金同角34歩
こうなると42玉の位置が安全ではなくなり、31玉に47歩37角成46角
馬も消せそうです。これならば互角で戦えるでしょう。
× 実戦は55同銀
後手の言いなりですが、これで良ければ問題なしです。
実戦では55同角でしたが、55同銀のほうが厄介です。24歩同歩同飛23歩34飛33歩
飛は切りにくいですし、縦に引いて44歩
桂を殺されるのも悪いです。つまり55同銀は先手がまずかったわけです。
実戦では後手が55同角だったので
56金64角の形にしてしまえば、後手から56銀同金としたのと同じ理屈です。24歩同歩79玉
飛を追われたら走れるようにして、玉を囲っておくというのが本筋です。
他には77角を打ってしまうのもありそうで
43歩55銀
ごつい戦い方ですが、後手にも55同角同金66銀という反撃があるので微妙なところです。
実戦では56金と出ないで24歩
無視して38銀を打たれたら23歩成か、26飛47銀成23歩成か、どちらも後手が有利な気がしますが、実戦の手順は24同歩同飛23歩28飛45銀
桂をただ取りされては悪いです。56歩46銀55歩47銀成
二枚換えにしても駒損ですし、先手玉はすぐに寄せられそうです。この後ちょっとチャンスがあったのですが、後手に寄せられてしまいました。
△ 77角は
85歩77銀を決められていないので打てるのです。案外にこの位置をとがめられにくく、43金右35歩
くらいでしょうか。よくわからない戦いです。
☆ まとめ
結局は先手有利にならないのですが、本来後手番なのでまずまずというところです。定跡として先手番でこの55銀直が定跡として取り上げられるということはなさそうです。55銀直よりも55銀左のほうが、44歩の催促もあるので優るのではないかという気はします。ならば47金の形ではなく、47銀と引いて受けておくものかと。
ちょっと角換わり腰掛け銀の中盤感覚がわかってきたでしょうか。この形は少し有利、少し不利という感覚が身に付けば、正解を導き出しやすくなります。
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