『処刑宣告』原題:Even the Wicked(邪悪な者でも) ローレンス・ブロック著 田口 俊樹訳
「マット・スカダー」シリーズ-13作目
有名コラムニスト:マーティ・マグローに届けられた匿名の投書は、法では裁けぬ罪人たちを「ウィル」が「人々の意志」の名のもとに処刑するという殺人予告。 そして名指しされた人物が次々と殺害されてゆき、マット・スカダーは次のターゲットとしてウィルの処刑宣告を受けた弁護士:エイドリアン・ウィットフィールドから身辺警護を依頼され、対策を練ったにもかかわらず殺人は実行されてしまい・・・
ここでも、法で裁かれなかった悪党どもに「人々の意思・will」に依ってウィルが死を与えたというものでした。 ウィルが誰で、どんな結末だったかは意外なものでした。 そして、新たにウィルと名乗る(騙る)人物の犯行は身勝手(自己満足?)なものでしたが・・・
「ウィル事件」に関係しているのではないかとの疑問を持って調べたのはAAの仲間である女性からのもので、エイズ患者の友だちが公園で射殺されたというものでした。
これには「ヴァイアティカル取引」という人道的にどうなの?というものが係わっていました。 ヴァイアティカル取引とは、末期疾患を抱える人が生命保険を投資家達に売ることで、投資家達は保険料を肩代わりすることと引き換えにその人が亡くなったら死亡保険金を受け取る権利を得るという取引だそうです。 自然死であれば満額、事故死であれば倍額で、その投資家が罪を犯したものでした。
マットは、その犯人を自首させ彼の肩の荷を降ろす手助けをしてやったことになります。
すべての事件が解決し迎えたクリスマス、エレインとTJはプレゼントを交換マットにもTJからのプレゼントが手渡されました。 そしてマットは、TJを事務所に使っているホテルに連れて行きプレゼントを・・・それはTJがず~っと欲しがっていたパソコンと、思う存分そのプレゼントを使える部屋の鍵だったのです。 何故かここで泣けてきました(´;ω;`)ウッ… こんな終わり方、今までなかったなぁ~って感じでした。
これでまた繋がりが増え、深まりましたっ!てところでしょうか?
文中、度々出てきたThe will of the people(人々の意思〈will・ウィル〉)・Publix will(公共の意思〈will・ウィル〉)が「ウィル」という名の正体?