『春のソナタ』三田 誠広著 初めましての作家さん。
芥川賞作家だそうで、この本も古本屋さんで目にして積読状態(昨年末はスカダーシリーズにハマっていたので)でした。
内容はと言いますと、「ソナタ」という題に準えてなのか、目次も第1楽章~第4楽章で区切られていました。 主人公の高校生・遠山直樹の心模様を描いたもの。 学校では、柔道部の西村、バスケットボール部を退部し受験勉強に励む開業医の息子・中島、幼馴染みの清宮真衣などと普通の高校生活を送っていて、成績も悪くなくスポーツもそこそこ?できる。 そんな直樹はピアニストの父からバイオリンを勧められ幼い頃から個人レッスンを受けていて腕前は確かなようです。 当然のように音楽大学に進学するのだろうと周りからは思われている様子。 この年頃には迷いがあって不思議はなく、色んな事に挑戦したいという気持ちが溢れていました。 そんな中、魅力ある年上の女性・早苗と出会い大人の世界へと足を踏み出しましたが、年齢の割に冷静に大人たちを見て(観察して)いました。 そんな大人たちを見る目は家庭においても同じで、両親への接し方も覚めた?ものに感じました。 母より父の方が好き。 何故なら、母は父しか見ていない、直樹の存在は見えていないのかも・・・ 両親の結婚にも問題があったからかも知れません。 母が二人の娘を残して再婚したことの結果が終盤で表れるのですが、父の生き方、選択への後悔も直樹に吐露する場面でよく判ります。 そして父の選んだ道は悲しいものでしたが、それしか無かったのかも・・・と直樹に思わせるのでした。
秋から始まり、大学進学の時期の春で終わっています。 春は出発の季節だと思いたいです。
Beethoven's ♪-Spring Sonata-♪を聴いて本の内容を感じたいと思ったのですが・・・チョット無理でした。