茶席では昔から「掛物ほど第一の道具はなし」といわれておりますように、床の間の軸によって、茶席の趣旨が決まるといっても過言ではありません。

床の間の軸は、招いた側と招かれた側(主と客)の気持ちのキャッチボールみたいなもので、「今日の茶会はこんな趣旨ですよ~分かりました、楽しませていただきます。」と、投げたボールが正確に返って来るようであれば、その茶会は成功したといえます。
さて「聴雨」ですが、見たとおり、感じたままでしたら、雨の多いこの時期にかけられる軸で、「雨の音を心静に聞きなさい」とこんな意味でよろしいかと思います。
お稽古の時雨が降っていると、前日用意した軸から急遽「聴雨」に変えたという話を聞いたことがあります。しかし、「聴雨」にはやはり出典がありました。
聴雨寒更盡 雨を聴いて寒更尽き・・寒更とは「 夜明けの寒さ」という意味
開門落葉多 門を開けば落葉多し
唐代の詩人 無可上人の作と伝えられております。
大まかな意味は、昨夜は屋根を打つ雨の音を聴きながら、寒さに震えながら侘しい思いで横になっていたが夜が明けてしまった。朝、門を開けて見ると、あたり一面の落葉であった。さては、夜もすがら雨の音だと思って聴いていたのは、雨ではなく落ち葉の音だったのか・・・。
紀貫之の歌に「秋の夜に 雨と聴こえて降りつるは 風にみだるる 紅葉なりけり」があります。平安時代にはすでに「聴雨寒更盡・・・」の詩が我国に伝わり多くの歌人達に知られていたのではないかと思われております。
「聴雨」の掛けられたお茶室で、雨音だけの静寂を感じながら、自分の心の中を省みるなんて素敵な事かも知れません。

床の間の軸は、招いた側と招かれた側(主と客)の気持ちのキャッチボールみたいなもので、「今日の茶会はこんな趣旨ですよ~分かりました、楽しませていただきます。」と、投げたボールが正確に返って来るようであれば、その茶会は成功したといえます。
さて「聴雨」ですが、見たとおり、感じたままでしたら、雨の多いこの時期にかけられる軸で、「雨の音を心静に聞きなさい」とこんな意味でよろしいかと思います。
お稽古の時雨が降っていると、前日用意した軸から急遽「聴雨」に変えたという話を聞いたことがあります。しかし、「聴雨」にはやはり出典がありました。
聴雨寒更盡 雨を聴いて寒更尽き・・寒更とは「 夜明けの寒さ」という意味
開門落葉多 門を開けば落葉多し
唐代の詩人 無可上人の作と伝えられております。
大まかな意味は、昨夜は屋根を打つ雨の音を聴きながら、寒さに震えながら侘しい思いで横になっていたが夜が明けてしまった。朝、門を開けて見ると、あたり一面の落葉であった。さては、夜もすがら雨の音だと思って聴いていたのは、雨ではなく落ち葉の音だったのか・・・。
紀貫之の歌に「秋の夜に 雨と聴こえて降りつるは 風にみだるる 紅葉なりけり」があります。平安時代にはすでに「聴雨寒更盡・・・」の詩が我国に伝わり多くの歌人達に知られていたのではないかと思われております。
「聴雨」の掛けられたお茶室で、雨音だけの静寂を感じながら、自分の心の中を省みるなんて素敵な事かも知れません。