
そしたらありました、白い楚々した美しい花が

静かに林の中に咲いていました。

イカリソウです。

この花に30代の若い頃のおもしろい思い出があるんですよ。
50代の先輩が私に言うんですよ。「君はよく山遊びに行くようだがイカリソウのあるところを知っているか」と、「はい、そんな珍しい植物ではありませんからいくらでもありますよ。ご案内しましょうか」 そして二人で近くの山へいきました。イカリソウを見ると先輩は大喜びして夢中で採っていらっしゃいました。なにになさるんでしょうか。不思議に思ってみていました。
次の日、先輩は誇らしげに同僚に笑顔でイカリソウについて何か話していました。そして休日に何人かでまた山にイカリソウ採集にでかけたようです。
あとでわかったんですけど、先輩たちは「イカリソウ」をいかって元気が出る薬草と思ったらしいんです。私は笑ってしまいました。イカリソウは花の形が舟の錨(いかり)に似ているからの名前でいかるからついた名前ではないことを知っていたからです。
先輩たちは暗示にかかっていかられたんでしょうか。まぁよかったです。欲しい方がいらっしゃればいつでもご案内いたしますよ。