昨日に引き続きコメントを呼んで思いついたこと。
切腹のノウハウというのはどういうふうに伝えられてきたのか?
切腹の「作法」というのは、美しく見せるにはまずこうして次はこうするべきだ、というものだ。様式化された立ち居振る舞いの決まりごと、という感じだろうか。
対して、切腹の「ノウハウ」というのは、見苦しくない切り方、または苦しさを軽減させる切り方はこうすると良い、というものだ。実質的に行動の手助けをしてくれる導き、という感じかな。
当たり前のことだが腹を切るというのはかなり痛いそうだ。
しかし武士は時としてそれをやらなければならない。だが、いざ腹を切ろうとしてもどう切ったらいいのか分からない。左脇腹から右脇腹へ一文字に‥という作法は聞いたことがあるが、ちゃんと切りきるにはどういった切り方がいいのかが分からない。
短刀をどう握って、腹のどの辺りにどういう角度でどれぐらいの深さまで突き刺し、息を止めて切ったらいいのか吐きながら切ったらいいのか‥。
そういうノウハウは、作法とは別に武士たちの間で研究され伝えられてきたはずだ。
しかしどうやって、「この方法なら比較的苦しくなく見苦しいことにもならない」ということを研究したんだろう。
やはりその場に立ち会って検分し、さらに次の機会に良いと思った方法を切腹人に伝え実践してもらい証明するんだろうか。
それともノウハウみたいなものは、もっとアバウトに迷信のように伝えられたものなんだろうか。
よく考えてみれば切腹した人間が全員すぐ死んだわけではない。
その傷がもとで数日苦しんだあと死んだ者もいれば、傷が完治して長生きした者もいるだろう。そういう経験をした人間から「切った感想」を聞けるかもしれない。なかには自分で数回切ってベストな切り方を研究した人もいるかも‥。
そういえば・・・ (長くなったので次回に続く)