続・切腹ごっこ

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「切腹の歴史」2

2006-03-22 | ★レビュー(本)
章の順番が前回の記事と前後しているが‥

 2章「起源と発達」。
 腹は身体の中で一番面積が広く、場所も都合がいいので突き刺しやすいのだが、質から言えば腹部は脂肪が多く普通の男がせいいっぱい突き刺して五厘から十厘どまりだ、とある。一厘というのは1寸の100分の1、0.3mmのことらしい。‥ということは深さ1.5ミリから3ミリ??自分が調べた単位が間違っているんだろうか、こんなはずはない。
 痛みは臍の上を切るより下を切った方が幾らか軽いといわれるが、腹壁や内臓を切断する痛みは尋常ではなく失神した例もあるという。失神してしまうとやはり「見苦しい」ということになってしまうのかもしれない。

 3章「義経記の切腹」。
 衣川の合戦で自刃した源義経の切腹の記述。刀を深く突き刺し疵口を三方に破り、腹わたを繰り出すが絶命せず、刀を衣類の袖で拭い、脇則にもたれて死を待つ、とある。
 衣川の合戦以前に自刃した家臣の佐藤忠信は、十文字に掻き切り掴み出した腹わたを縁側に撒き散らすがまだ絶命せず、「これはあまりに義経様を恋い慕っているからだろう」と、義経からもらった太刀をくわえて立ち上がり、そのままうつ伏せに倒れる。切っ先は後頭部を突き抜け鍔は口で止まったという。
 また割腹だけでは致命傷にならない例として、18歳の小姓を刺殺し切腹を命ぜられた16歳の少年のことが書いてある。少年が一文字に切腹し介錯が首を落とす前に倒れたので死んだものと思われ、座棺に納めて座敷に置いていたら、夜中に「死にきれないから殺してくれ‥」と声がするので、友人が棺の隙間から刀を刺して絶命させたという。そんな横着をせずに棺を開けてトドメを刺してやればよかったのに、と思う。それとも顔を見ると名残惜しくなるから開けなかったんだろうか。

 8章「刑罰的切腹」。
 関白豊臣秀次(28歳)と寵童3名(供に18歳)のことを書いている。彼らの切腹は寵童が先に腹を切る「先腹」で、しかも秀次自身が介錯している。なんとなく秀次の気持ちも分からなくもない。自分が愛した小姓の最期は自分の手で、という気持ちもあるし、自分が切腹した後本当に追い腹を切ってくれるだろうか、という不安もあったかもしれない。「功名が辻」の秀次役の成宮寛貴の自刃シーンはあるんだろうか。

次回に続く

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★レビューは上記のとおり。
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