映画「最後の忠臣蔵」を見た。
※以下ネタバレします。
吉良邸に討ち入った四十七士の一人寺坂吉衛門(佐藤浩市)は、討ち入りの様子を浪士の遺族たちに伝えるため諸国を放浪していた。十数年に渡る長い旅も終わろうとしている時、偶然一人の男の姿を見かける。その男とは、討ち入り前夜に逐電した瀬尾孫左衛門(役所広司)。
瀬尾は討ち入り直前、大石内蔵助から密かに自分の隠し子を育てて欲しいと頼まれていたのだ。そのため討ち入りには参加せず姿を消した。内蔵助の娘、可音は16歳になっていた。
可音は孫左衛門と人形浄瑠璃を観に行った折、豪商茶屋四郎次郎の息子に見染められる。しかし可音が密かに淡い想いを寄せていたのは、自分を育ててくれた孫左衛門だった。さまざまな葛藤の末、四郎次郎の息子のもとへ嫁入りすることを決心する可音。花嫁行列には、寺坂をはじめかつての赤穂浅野家の家臣たちが集った。
内蔵助の娘を育て上げ、豪商の家に嫁入りさせることができた孫左衛門は、内蔵助の霊前で腹を切る。予感を察した寺坂が着いた時にはすでに十分に切り終わった後。介錯無用と孫左衛門は自分で首を掻き切って果てる。
(最後の切腹シーンは画面は暗めだが、真っ赤でぬるぬるした血がはっきり映るし、効果音もぐちゅぐちゅと生々しい。おじさまの切腹がお好みな人は見る価値あるかも。)
たぶん↑上の簡単すぎるあらすじだけだと、瀬尾孫左衛門が腹を切ったわけが分からないと思う。しかし、最後まで見た自分もよく分からなかった。いや、分からないというよりは共感できなかったのかもしれない。
孫左衛門が自害したという話が可音の耳に入ってしまえば、物凄くショックを受けるだろう。孫左衛門とともに可音に礼儀作法やお稽古事などを教えたゆうという女性も悲しむだろう。討ち入り前夜に逃亡した「裏切り者」という汚名も晴らすことができたんだから、晴れて大手を振って余生を生きることもできたはず。…もし孫左衛門が内蔵助に恋慕の情を抱いていたとしたら、役目が終わった以上遅ればせながらの追い腹を切って自分の思いを遂げたいというのも分からないでもないけど。
それにしても自分の隠し子を密かに育ててくれと頼んだ内蔵助も自分勝手だ。隠し子を育て上げた暁には孫左衛門は自害するかもしれないと想像できただろうに。
超余談だが、茶屋四郎次郎の息子役が山本耕史なんだけど、遊び人ぽいイメージがあるので今後可音が苦労しないかちょっと心配になってしまった。