あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 13年目となる夏のシーカヤック教室がようやく始動

2020年07月05日 | 旅するシーカヤック
今日は、朝ごはんを食べ、コーヒーを飲んでしばしノンビリ過ごすと、ロードスターで家を出る。
向かうは地元の島。

先日、珍しく緊急連絡以外はほとんど使うことがないケータイに着信が。
用件は、コロナ禍で今年は実施を諦めていた夏のシーカヤック教室の件であった。

さすがに今年は、様々な行事を自粛されていたとのことだが、緊急事態宣言も解除され、ようやく様々な部活動を再開されるとのことで、シーカヤック教室の開催可否について打診を受けたのである。

お話しを伺い、今年も開催することとして、希望日の潮と俺の予定を確認し、コロナ対策も知恵を絞って提案を整理した上で、翌日に改めて回答をさせていただいた。

***

幌を開けたロードスターでいつもの出艇場所に到着すると、すでに道具は準備されており、部員たちと職員さんたちが揃っていた。

今日は、部員が3名、職員さんが3名で、俺を含めて計7人である。
まずは挨拶と、部員と職員さんたちから改めての自己紹介。

部員の2人は、昨年までも参加してくれていた女の子。
『今年はコロナでシーカヤックができないかと思っていたけど、漕ぐことができて嬉しいです』
ありがとう。 そして俺の方がみんなと一緒に漕ぐことができて嬉しいよ!

『えーっ、そうか。 もう中学生になったんだねえ』
『6年生になったんだ。 今年も一緒に海を楽しもうね』

俺は、マスクをして部員達とは距離をとって話しかける。

そして、当たり前といえばそうなのだが、毎年部員達が年を重ね、小学校の中学年が高学年になり、小学生が中学生になる。
俺には孫はないのだけれど、まさに孫が成長していくのを心配しながらも楽しみに見守っている気分。

『いやあ、みんな成長していて、本当に嬉しいなあ』

初めて参加してくれた新入部員は、その二人よりも年上の中学3年生。
そして職員さんも一人が担当を入れ替わり、今日は初めての参加。

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2007年に始めた夏のシーカヤック教室。
始めの頃は、年に数回の体験であったが、途中からは6月か7月からの開始となり、夏が終わった9月には、近くの島までみんなでシーカヤックを漕いで渡り、海で釣りをしたり、泳いだり、カレーを作って食べたりして練習の成果を確かめてきた。
その後、春のシーカヤック駅伝にも参加するようになり、春と夏の開催にも進化した。

また昨年秋には、初めてとなるキャンプツーリングにも漕ぎ付けるなど、職員さん達の尽力もあり、夏のシーカヤック教室が定着し、進化してきたことは嬉しい限り。
この部活は、子供達にも人気であると聞いており、さらには職員さん達の間でも漕いでみたいという声が増えているとも聞いている。

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『じゃあ、始めようか!』

みんなで距離をとって準備体操。
その後は船割を決め、今年は職員さん達に部員の乗艇を支援してもらう。
部外者の俺が距離を取るという感染対策という意味もあるのだが、さらには徐々にこの部活動を施設で回せるよう自立していって欲しいという、俺の部活動継承プランの一環でもある。

俺は最初に海に出て、子供達の乗艇の様子や周りの安全チェックを担当する。

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全員無事に海に出ることができたので、『ようし、じゃあ今年最初だから、まずはここを一周してみよう』
シングル艇に乗った昨年までも漕いでいた部員達は、手馴れたものでスイスイと海のお散歩を楽しんでいる。

今年が初めてということで、タンデム艇のバウ側に乗った新入部員の子も、しっかりとパドリングできている。
『うん、みんなちゃんと漕げているよ。 その調子』

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少し風はあったが、港を出て漕いでみることに。
離れた浮き桟橋に向けて漕ぎ進む。

しばし漕ぐと、ちょっと休憩。
『みんな、振り返って見てごらん。 青空が覗いているよ。 綺麗だねえ』
そう、漕いで向かっている南東の方向は雲が多いのだが、北西側は景色も抜けが良く、梅雨空ではあるが青空がのぞき、とても気持ちが良い芸予諸島の眺めが楽しめる。

シーカヤック教室といっても、俺の場合はテクニック云々よりも、海の楽しさと厳しさ、そして何より芸予諸島の素晴らしさを、シーカヤックを使った散歩を通じて子供達に知って欲しい、記憶して欲しいと思って続けている。

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俺は殿(しんがり)を務め、海の様子を観察し、漁船が近づいていないか、子供達が疲れていないか、常にチェックしながら声をかける。

『うん、調子いいねえ』
『あまり手元ばかり見ないで、前の先生を見ながら漕いだ方がいいよ』
『大丈夫か、疲れてないか。 疲れたら遠慮せずに言えよ』

『中学校の授業はどう?』 『そうか、夏休みが2週間になるんだねえ』
『部活は何をやっているの?』 『へえ、そうなんだ。 でもシーカヤックもいいだろう!』

そう、俺の一番の役目は部員たちと職員さんの海の上での安全確保。 そして次は、部員たちに楽しく海の散歩を楽しんでもらうこと。

***

Uターンして引き返し、今度は西に漕ぎ進む。
防波堤の釣り人を避けながら、橋のところまで漕ぐと、『ここまで来たことない』と喜ぶ一人の部員の声が。

そう、地元の場所でも、陸から見るのとシーカヤックを自分で漕いで海の上から見るのとでは、全く異なる景色と体験になるのである。

しばし潮が穏やかな場所で休憩し、『ようし、そろそろ戻ろうか!』

***

13年目となる夏のシーカヤック教室を再開できた、記念すべき今日の日。
コロナ感染対策もしながらの、これまでとは様々異なる対応とせざるを得なかったことは事実だが、何より子供達が喜んでくれ、笑顔で漕ぎ終えてくれたことが何よりであった。

『じゃあまた次回。 楽しみにしているよ!』

風の吹くまま気の向くまま、フラリ風来坊の生涯不良の旅するサラリーマン・シーカヤッカー。
さて、来週はどこ行こう?

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