キャンプツーリングの最大の楽しみは、独り静かに瀬戸内の夕暮れを眺めつつ、おいしいつまみでビールを飲むこの時間。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/35/111750a986f641245377a9a8b314d88c.jpg)
夜の時間のメインは、なんといっても一番の大好物であるビールだから、食事のメニューはシンプルなものだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/86/9d6b9a4ed53c0e082b4b692c3e6b6a78.jpg)
ミョウガとキュウリの塩揉み。 釜炊きの、ホカホカ&ツヤツヤごはん。 里山コンロを使い、炭火で炙った椎茸とピーマン、そして鶏肉。
コップに注いだビールをグビリ。 そう、いくら外で飲むとはいえ、やはりビールは缶から直接ではなく、一度コップに注いだ方が何倍も美味い。 ビールをグビリ、ミョウガをパクリ。 うーんミョウガ、こりゃあ夏らしゅうて、ええつまみや。
傘の表側だけを炭火で炙り、裏側がしっとりとなってちょうど良い火の通り加減の椎茸。 ポン酢に付けて食すと、なんともいえぬ炭火焼独特の香ばしさと食感がたまらない。 たまらずビールを、グビグビ、グビーリ!
独りの時間だから、何かを話す訳でもなく、ただただ炭火焼きと瀬戸内の夕暮れの景色をつまみに、大好きなビールを楽しむ。
ああ、ええなあ、こりゃあたまらん。 わしには、こんな時間が必要なんや。
周りは徐々に暗くなり、最後はヘッドランプを点けて焼酎で〆。 おやすみなさい。
***
翌朝、シュラフの中で目が覚めた。 テントの外はまだ暗く、そして静かである。
出発前に確認した予報天気図では、土曜日は風が強くなる可能性があるように思えた。 だが、少なくとも今の時点では、風は吹いていないようだ。 ああ、良かった。
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*** 先船を漕ぐな! ***
今回のように島に渡ってキャンプする場合、なにより気になるのが二日目の天気、特に風である。 行きはよい良い、帰りは怖い、ではないが、初日はピーカンの晴天でも、二日目に風が上がってくる事も少なくない。
旅するシーカヤックを楽しむ上で、私が大切に心に留めている言葉に、『先船を漕ぐな』というのがある。 以前読んだ北前船に関する本で見つけた言葉。 ご存知のように北前船は帆走なのだが、もちろん風は思い通りには吹いてはくれない。 全く風が吹かずに風待ちをする日もあれば、逆に嵐のように強く吹き過ぎて出られず、風待ちをする日もある。 そんな北前船の船乗り達の間で、戒めのように伝えられた言葉が、『先船を漕ぐな』
その心は、『何日にどこそこの港に着く』と予め決めてしまうと、口に出したその予定が自分自身を縛り、危ない状況でも無理をして船を出し、遭難してしまう危険性が高まる事を、船乗り達は経験から知っていたのである。
『尺取り虫方式での瀬戸内横断』や『日本海北上:下関~日御碕_古代人ツアー』、『瀬戸内カヤック横断隊』での経験から、私も『先船を漕ぐ』こと、すなわち予め決めた予定で自分を縛る事の危険を実感しているので、先船を漕がないよう、自分自身を戒めている。
だから、友人知人と約束してある場合を除いて、予めどこそこに行くと”確定”することはなく、前日の夜か、出発日の朝の天気予報を確認した上で、最終的な目的地を確定する事にしているし、友人知人と一緒のときも、自分が出たくない海況の時には、『今日はやめましょう』とはっきり伝える事にしている。
今回も決して例外ではなく、生野島に最終決定したのは当日朝の天気予報確認後であるし、基本は金曜土曜の一泊二日のツーリングの予定だが、妻にはこう言ってある。 『土曜日に帰る予定じゃけど、風が吹いたら無理せず日曜日に延ばすかもしれん。 まあ、多少の風なら別の方法で帰って来れるような準備はしとるし、それじゃけえ、あそこを選んどるんじゃ』
北前船の時代から、本物の船乗り達の間で伝えられてきた知恵、『先船を漕ぐな』 私の、海における座右の銘である。
***
日の出の時刻には、空には雲が広がっていた。 うどんとベーコンエッグの朝食を食べ、コーヒーを飲んでいると、次第に晴れ間が広がって行く。 と同時に、東の海はギラギラと輝き出した。
うーん、これは。。。 そう、これは海上では風が吹いていることを示している。 山の上の木々の葉っぱも次第にザワザワし始めており、なんだか風が上がってくる気配が漂ってきた。
今日はだんだん風が強くなりそうだ。 早立ちすることにしよう。 荷物を片付け、シーカヤックを浜に降ろし、着替えて荷物をパッキング。
午前7時、準備完了。 今日の竹原港の満潮は、午前7時半過ぎ。 ということは、もうすこし上げ潮が残っているので、それに乗って唐島、阿波島に渡り、潮止まりから下げ潮の時間帯に、阿波島から海水浴場まで戻ればちょうど良いはず。 ようし、出発だ。
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大崎上島と竹原を結ぶフェリーが居ない事を確認し、唐島に向かって漕ぎ出した。 予定通り、潮はまだ押している。
沖に出ると、やはり風が吹いて波がザワついている。 うん、これくらいなら全く問題ない。
この辺りは以前、竹原と今治を結ぶフェリーの航路だったのだが、西瀬戸自動車道や、土日の高速料金引き下げなどの影響で航路が廃止になり、そういう意味ではこのエリアを漕ぐ心理的プレッシャーは減っているのだが、船旅好きの一人としては複雑な気持ちである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/c6/cfa9b98a85fe43d6fe90b0699481917e.jpg)
唐島を越え、阿波島へ。 阿波島から海水浴場までのルートは潮流が早くて重いので、逆潮で漕ぎ上がるのは大変なのだが、今日は予定通り潮止まり。 結局、生野島を出てからほぼ1時間で、海水浴場に戻ってきた。
シーカヤックを揚げ、荷物を運び、片付けていると、周りの木々の葉がザワザワと音を立て始めた。 やはり、風が上がってきたようだ。 家に帰り、昼過ぎにインターネットでチェックすると、竹原沖では6~7m/sの東寄りの風が吹いているとの事。
やはり、今日は早立ちして正解だったようだ。
天候にも恵まれ、初夏の瀬戸内をたっぷりと堪能した生野島キャンプツーリング。 海水浴シーズン直前の静かな海を堪能するには、ベストタイミングであった。
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夜の時間のメインは、なんといっても一番の大好物であるビールだから、食事のメニューはシンプルなものだ。
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ミョウガとキュウリの塩揉み。 釜炊きの、ホカホカ&ツヤツヤごはん。 里山コンロを使い、炭火で炙った椎茸とピーマン、そして鶏肉。
コップに注いだビールをグビリ。 そう、いくら外で飲むとはいえ、やはりビールは缶から直接ではなく、一度コップに注いだ方が何倍も美味い。 ビールをグビリ、ミョウガをパクリ。 うーんミョウガ、こりゃあ夏らしゅうて、ええつまみや。
傘の表側だけを炭火で炙り、裏側がしっとりとなってちょうど良い火の通り加減の椎茸。 ポン酢に付けて食すと、なんともいえぬ炭火焼独特の香ばしさと食感がたまらない。 たまらずビールを、グビグビ、グビーリ!
独りの時間だから、何かを話す訳でもなく、ただただ炭火焼きと瀬戸内の夕暮れの景色をつまみに、大好きなビールを楽しむ。
ああ、ええなあ、こりゃあたまらん。 わしには、こんな時間が必要なんや。
周りは徐々に暗くなり、最後はヘッドランプを点けて焼酎で〆。 おやすみなさい。
***
翌朝、シュラフの中で目が覚めた。 テントの外はまだ暗く、そして静かである。
出発前に確認した予報天気図では、土曜日は風が強くなる可能性があるように思えた。 だが、少なくとも今の時点では、風は吹いていないようだ。 ああ、良かった。
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*** 先船を漕ぐな! ***
今回のように島に渡ってキャンプする場合、なにより気になるのが二日目の天気、特に風である。 行きはよい良い、帰りは怖い、ではないが、初日はピーカンの晴天でも、二日目に風が上がってくる事も少なくない。
旅するシーカヤックを楽しむ上で、私が大切に心に留めている言葉に、『先船を漕ぐな』というのがある。 以前読んだ北前船に関する本で見つけた言葉。 ご存知のように北前船は帆走なのだが、もちろん風は思い通りには吹いてはくれない。 全く風が吹かずに風待ちをする日もあれば、逆に嵐のように強く吹き過ぎて出られず、風待ちをする日もある。 そんな北前船の船乗り達の間で、戒めのように伝えられた言葉が、『先船を漕ぐな』
その心は、『何日にどこそこの港に着く』と予め決めてしまうと、口に出したその予定が自分自身を縛り、危ない状況でも無理をして船を出し、遭難してしまう危険性が高まる事を、船乗り達は経験から知っていたのである。
『尺取り虫方式での瀬戸内横断』や『日本海北上:下関~日御碕_古代人ツアー』、『瀬戸内カヤック横断隊』での経験から、私も『先船を漕ぐ』こと、すなわち予め決めた予定で自分を縛る事の危険を実感しているので、先船を漕がないよう、自分自身を戒めている。
だから、友人知人と約束してある場合を除いて、予めどこそこに行くと”確定”することはなく、前日の夜か、出発日の朝の天気予報を確認した上で、最終的な目的地を確定する事にしているし、友人知人と一緒のときも、自分が出たくない海況の時には、『今日はやめましょう』とはっきり伝える事にしている。
今回も決して例外ではなく、生野島に最終決定したのは当日朝の天気予報確認後であるし、基本は金曜土曜の一泊二日のツーリングの予定だが、妻にはこう言ってある。 『土曜日に帰る予定じゃけど、風が吹いたら無理せず日曜日に延ばすかもしれん。 まあ、多少の風なら別の方法で帰って来れるような準備はしとるし、それじゃけえ、あそこを選んどるんじゃ』
北前船の時代から、本物の船乗り達の間で伝えられてきた知恵、『先船を漕ぐな』 私の、海における座右の銘である。
***
日の出の時刻には、空には雲が広がっていた。 うどんとベーコンエッグの朝食を食べ、コーヒーを飲んでいると、次第に晴れ間が広がって行く。 と同時に、東の海はギラギラと輝き出した。
うーん、これは。。。 そう、これは海上では風が吹いていることを示している。 山の上の木々の葉っぱも次第にザワザワし始めており、なんだか風が上がってくる気配が漂ってきた。
今日はだんだん風が強くなりそうだ。 早立ちすることにしよう。 荷物を片付け、シーカヤックを浜に降ろし、着替えて荷物をパッキング。
午前7時、準備完了。 今日の竹原港の満潮は、午前7時半過ぎ。 ということは、もうすこし上げ潮が残っているので、それに乗って唐島、阿波島に渡り、潮止まりから下げ潮の時間帯に、阿波島から海水浴場まで戻ればちょうど良いはず。 ようし、出発だ。
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大崎上島と竹原を結ぶフェリーが居ない事を確認し、唐島に向かって漕ぎ出した。 予定通り、潮はまだ押している。
沖に出ると、やはり風が吹いて波がザワついている。 うん、これくらいなら全く問題ない。
この辺りは以前、竹原と今治を結ぶフェリーの航路だったのだが、西瀬戸自動車道や、土日の高速料金引き下げなどの影響で航路が廃止になり、そういう意味ではこのエリアを漕ぐ心理的プレッシャーは減っているのだが、船旅好きの一人としては複雑な気持ちである。
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唐島を越え、阿波島へ。 阿波島から海水浴場までのルートは潮流が早くて重いので、逆潮で漕ぎ上がるのは大変なのだが、今日は予定通り潮止まり。 結局、生野島を出てからほぼ1時間で、海水浴場に戻ってきた。
シーカヤックを揚げ、荷物を運び、片付けていると、周りの木々の葉がザワザワと音を立て始めた。 やはり、風が上がってきたようだ。 家に帰り、昼過ぎにインターネットでチェックすると、竹原沖では6~7m/sの東寄りの風が吹いているとの事。
やはり、今日は早立ちして正解だったようだ。
天候にも恵まれ、初夏の瀬戸内をたっぷりと堪能した生野島キャンプツーリング。 海水浴シーズン直前の静かな海を堪能するには、ベストタイミングであった。