あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_とびしま海道キャンプツーリング(1)

2009年06月27日 | 旅するシーカヤック
2009年6月26日(金) 久し振りに、蒲刈にある県民の浜へと向かう。 蒲刈の県民の浜から岡村島や大崎下島の御手洗まで往復するキャンプツーリングは、以前の私のお気に入りコースの一つであり、年に何度も通っていた。
しかし、昨年の秋に豊島大橋が開通した後は、島の道に渋滞が発生するほど観光客が訪れるようになり、静かな島の雰囲気が好きな私は、このルートを漕ぐのを避けていた。

しかしそろそろブームも落ち着いたとの事であり、金曜日ならさすがに人も少ないだろうと言う事で、久し振りに出かけてみる事にしたのである。
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キャンプ道具をパッキングしたシーカヤックを海に浮かべて乗り込み、スプレースカートを装着して漕ぎ出した。
今日は、途中で立ち寄る所があるので、北回りルート。 追い潮に乗って北上し、昨年開通した豊島大橋の下を漕ぎ抜ける。
 
豊島では、今でも現役の家船が残る小さな漁港に入り、しばし上陸。 昨年、豊島で知り合いになった方を通じて、夏に行っている子供達のカヌークラブの活動を、2回ほどではあるが、お手伝いさせていただくことができた。
『シーカヤックが結ぶ縁』

施設に行ってみると、ちょうどお世話になった先生が居られた。 『今日は、蒲刈から御手洗までツーリングなんで、ちょっと寄ってみました。 ご無沙汰してます。 今年もカヌークラブの活動をやられるのなら、お手伝いをさせていただければと思って来てみました』 『いやあ、今年も梅雨明けくらいからやろうと思ってるんですよ。 また手伝って下さい。 今年はショートツーリングができると良いなあと思ってるんです』
『はい。 安全確保くらいしかできませんが、ぜひお手伝いさせていただきます。 また決まったら連絡ください』 『ええ、また近くに来たら気軽に寄って下さい』 『ありがとうございます』
うん、今年も子供達と一緒に漕げると好いなあ。 楽しみだ!
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再び漕ぎ出し、梅雨時期らしい穏やかな海を漕ぎ進み、御手洗へ。
 
雁木の所にシーカヤックを浮かべた状態で荷物を下し、空荷になったシーカヤックを揚げる。 ツルツルと滑り易い雁木での上陸では、フェルトソール仕様に改造したサンダルが大活躍。
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荷物を片付け、テントを張り、着替えるとお昼過ぎ。 途中で買ってきたお弁当を広げる。 いつもなら、ここでプシュッと缶ビールのプルタブを開けるのだが、今日はまだ予定があるのでそうはいかない。 我慢我慢。
しばし御手洗の町を散策し、観光案内所で『みかんジュース』をゴクリ。 地元産みかん100%で一杯100円。 良く冷えていて美味い。
 
午後2時過ぎにバス停へ。
今回のツーリングは、One Way。 下関から日御碕までの日本海北上_古代人ツアーで実践してきた私の好きな旅のスタイル。 出発地点から漕ぎ進み、ゴールした浜にシーカヤックと荷物を置いたまま、バスや汽車でクルマを取りに戻るのだ。
出発地点まで漕ぎ戻る必要がない、自由気侭な『行きっぱなしの旅』

豊島大橋が開通して、大崎下島や岡村島が離島でなくなったことは、静かな島好きの私にとっては寂しい事ではあるのだが、せっかく橋が架かってバスで行き来できるようになったのだから、その便利さを旅に活かさない手はない。
変化は変化。 実際、瀬戸内の島々は、これまで北前船が行き来するようになって、また地乗り航路が沖乗り航路に変化する事によって、あるいは帆船が機帆船、そして動力船に変わる事によって、その後はクルマや列車など陸上交通が主流になる事によって、時代時代で大きく変わってきたのである。
島を取り巻く状況が変わってしまう事は、自分にはどうしようもない。 変わった状況を受け入れ、そのなかで、いかに旅を楽しむか。 そして、そこに住む人々からかつての暮らしや漁の話しを聞き、記録する事。 それに尽きる。
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バスに乗り込み、恋が浜で降りると徒歩で県民の浜へ。 温泉にまったりと浸かって潮抜きをし、疲れを癒す。

クルマで御手洗に戻ると、今回の目的である『みはらし食堂』へ。
 
これまでは、何度かお昼に立ち寄って『中華そば』や『鍋焼きうどん』を食べていたのだが、せっかくなのでこの食堂でゆっくりとビールを飲んでみたいと思っていたのである。
『ビールください。 あと、冷や奴あります?』 『はい、あるよ』 暑かった一日。 ビールが旨い。
 
『今日は県民の浜からカヌー漕いできたんですよ。 いつもは昼に来てラーメン食べるんじゃけど、今日はゆっくりビールが飲みたい思うて』 『ほうねえ、カヌーでね』とおばあちゃん。
『ここには、カヌーやっとる人が前に来たでしょう』 『そうよ、そんときは十何人泊めてくれいうて』 『ええ、私もその人を知っとるんです。 その時には私も岡村島で手伝いよったんですよ』
『あんたも小豆島まで行くん?』 『あ、そうか、最初はあの人たちが小豆島に行く途中に寄ったんですね。 私らも、それとは別ですが、毎年小豆島の方から山口の島まで漕ぐのをやりよるんです』

残念ながら夏なので、楽しみにしていた『おでん』はなかったが、その後も四方山話をつまみにビールを飲み、飯を食い、島の食堂での夕食を堪能した。 ええ雰囲気やなあ、ストライクゾーンど真ん中。 『ごちそうさまでした』
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夏の日は長く、テントに戻ってもまだ明るい。 蚊取り線香に火を点け、雁木に座って、夕焼けを眺めながらカップ酒。
ああ、ええ一日やった。 さて、明日は、豊島に寄ってから帰ろうか。 『おやすみなさい』
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