2009年12月29日(火) 今年の漕ぎ納めは、年末恒例のしまなみツーリング。 生名島にある、お気に入りのキャンプ場をベースにした、一泊二日の旅である。
天気予報を確認し、年末年始に漕ぐなら29日しかないと確信した28日の朝。 生名島の施設に電話。
『すみません。 明日なんですけど、キャンプ場は使えますか?』 『え、明日ですか? 管理人さんに確認して折り返し電話します』との事。 ま、そりゃそうだ。 完全なシーズンオフで、かつ年末のこの忙しい時にキャンプ場を予約する人なんてあまり居ないよなあ。
しばらくすると電話が掛かってきた。 出ると管理人さんである。 『あ、こんにちは。 いつも年末年始の変な時にお願いしてすみません。 キャンプ場、大丈夫ですか?』 『ええ、全然大丈夫ですよ。 来て下さい。 いつものようにしときますから』 本当にありがたいことである。
***
29日朝、生名島に到着。 前日の強風が嘘のように治まり、瀬戸内らしい穏やかな海。 絶好のツーリング日和である。
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今日はお気に入りの定番、岩城島一周コースの予定。 潮を確認し、時計回りで一周することにした。
ユニクロのヒートテックの上に、薄いフリースのシャツ、そしてスカノラック。 薄い作業用手袋とニットキャップで漕いでいると、ジンワリと汗ばんでくるほどの良い天気。
休憩無しで約1時間。 岩城島に到着。
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クルマを洗っている人、スーパーに買い出しに行く人、帰省した人などなど、いつもの岩城島と違って人の気配が濃く、年末の慌ただしさと活気が感じられる。
***
岩城島一周コースがお気に入りになっている理由の一つが、『よし正』 ここの日替わり定食、『よし正定食』が安くておいしいのだ。 また、夜にここを定期船で訪れると、おいしい料理で一杯という楽しみもある。
ただ今日は、前から気になっていたお店に行ってみる事に。 ターミナル内にある『レモンハート』
ここには最近、『レモン豚丼』というメニューが加わっており、一度試してみたいと思っていたのだ。
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運ばれてきたレモン豚丼は、ごはんの上に薄い千切りキャベツとソテーした薄切りの『岩城島名物、レモン豚』が載せられ、その上に目玉焼きが置かれて、ソースがかけられている。
目玉焼きの半熟の黄身を崩してレモン豚とごはんに絡めて食べると、これがロコモコ丼風でなかなかおいしい。
『ごちそうさまでした』 たまには、レモン豚丼も良いかも。
***
ターミナル内には、島の農家の方が作られた『岩城島特産のレモン』や野菜などが売られている。 今日の夜ごはん用に、『レモン豚の切り落とし』と『春菊』を購入。
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また、芋菓子で有名な『タムラ食品』を覗いてみると、見た事のない一品、『黒糖、芋かりんと』が。 『これ、ありましたっけ?』 若いお兄さんに聞いてみると、『新製品です』との事。
『評判はどう?』 『うーん、おいしいって言う人もいれば、普通の芋菓子の方が良いと言う人もいますね。 まあ試してみて下さい』 と言う訳で、芋菓子一袋と黒糖芋かりんとを二袋購入。 味は、帰ってからのお楽しみである。
***
浜に戻り、出艇の準備をしていると、ちいさい男の子と女の子を連れた若いお父さんが歩いて来られた。 挨拶を交わし、しばし会話。 出発の時には、3人が手を振って見送ってくれた。
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晴天の中、再び漕ぎ出し生名島へ戻る。 帰りは、抜けの良い景色を眺めながら、休憩無しの快適なパドリングで1時間と少しでゴール。
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最高の天気と海のコンディションに恵まれ、良い漕ぎ納めとなった。
***
天気予報では明日は昼前から天気が崩れて荒れると言う事なので、カヤックや道具を水洗いし、片付けていると、バイクに乗ったおじいさんが浜に来られた。 『こんにちは』と挨拶。 みると、大きなビニール袋を持って防波堤の上に置いてある海藻を集め始められた。
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『これ、畑に入れるんですか?』 『そう。 肥料にするんよ』 『昔は船を出して海藻を取りに行きよったそうですね』
『ほうよ。 せっかく浜に打ち上がってくるもんじゃけえ、今でも使いよる。 これを畑に入れたらええ野菜ができる』 『畑に撒くんですか?』
『まず雨にあてて塩を抜いて、それから畑に鋤き込むんよ。 土の上に載せるだけよりも、鋤き込んだ方がええ。 野菜の根っ子が海藻を巻き込むようにして成長しよる』 『なるほど。 そうやって海藻から栄養を吸収するんですね』
『またのう、海藻は少し塩が残っとるけえ、ナメクジなんかの虫があまり付かんのもええよ』 『そうですか。 お金も掛からんし、農薬もいらんし、それでおいしい野菜ができる。 こりゃあええですねえ』
***
キャンプ場で自転車をお借りして港まで行き、そこに自転車を置いて因島へ。
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町を歩くと正月モードである。 もう、29日だものなあ。
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いつもの銭湯の暖簾をくぐり、お金を払って脱衣所へ。
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ガラリとガラスの引き戸を開けて浴場に入り、湯船をみると見覚えのある顔が。
おっちゃんも覚えていたのかニヤリと笑い、私もニコリと笑顔で挨拶。 『こんにちは。 また来ました!』 この方は、『前回、因島の銭湯で出会ったおっちゃん』である。 その時は、ヤンチャしていた時期の、波瀾万丈の一代記をおもしろおかしく聞かせていただき、二人で笑ったのだ。
今日も、名古屋に住んでおられた頃の話や、造船所関係の仕事の話、この通りの近くは『花街』だったことなどなどを聞かせていただいた。
『のう、兄さん。 この辺りは花街じゃったんで。 昔の花街いうたら別嬪さんがようけ居った。 今の飲み屋じゃいうたら、こーんな顔や、あーんな顔のおネエちゃんでも店に出とるがのう』と、手振り身振りを交えておもしろおかしく話をされる。
『まあ、いろんな所に住んで、いろんな事があったが、今じゃあみな、ええ思い出じゃのう』 こういう方が呟かれると、その一言に深みがある。
『いやあ、今日もありがとうございました。 じゃあ、先に上がります』 『おお、また会いたいの。 こっち来たらまた寄りんさい』 『はい、また来ます』 偶然の、そしてうれしい再会であった。
***
キャンプ場に戻り、管理人さんから最近の生名島や因島の様子などについて伺う。
夜は、釜炊きごはんと水炊き。 ホカホカつやつやの釜炊きごはんは、卵かけごはんにしていただく。 水炊きは、岩城島のレモン豚と春菊、そして豆腐。
水炊きを食べながらビールを飲み、焼酎を飲んで、独り静かな夜は更ける。
***
2009年12月30日(水) 朝、生名島を出発。
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かなり工事が進んだ、生名島と佐島を結ぶ橋。
生名島から因島へと向かうフェリーは、クルマで満杯。 帰省なら逆のルートなのだが、管理人さんによるとこれは買い出しだとの事。 生協のスーパーくらいしかない生名島では、品数も少なく、値段も高いので、正月の準備などは因島や遠くは福山まで買い出しに行く人が多いのだそうだ。
*** 〆 ***
絶好の天気に恵まれ、お気に入りの生名&岩城エリアを漕ぐことができた『2009年の漕ぎ納め』 今年も様々な海旅&陸旅を楽しみ、多くの出会いに恵まれ、たくさんの貴重なお話を伺うことができた。 本当にありがたい事である。
またブログの方も、一週間に1度か2度しか書き込みせず、また1回分の文章がとても長いにも関わらず、多くの方に訪問いただいているようで、それもまた嬉しいことだ(訪問者数で100人~200人/日程度、ページビューだと150PV~450PV/日程度)。
2010年は、『旅する櫂伝馬プロジェクト』というワクワクする大きな企画も待っている。 来年も、ライフワークとなった『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を通じて、出会いに恵まれるといいなあ。 では、みなさんも良いお年を!
天気予報を確認し、年末年始に漕ぐなら29日しかないと確信した28日の朝。 生名島の施設に電話。
『すみません。 明日なんですけど、キャンプ場は使えますか?』 『え、明日ですか? 管理人さんに確認して折り返し電話します』との事。 ま、そりゃそうだ。 完全なシーズンオフで、かつ年末のこの忙しい時にキャンプ場を予約する人なんてあまり居ないよなあ。
しばらくすると電話が掛かってきた。 出ると管理人さんである。 『あ、こんにちは。 いつも年末年始の変な時にお願いしてすみません。 キャンプ場、大丈夫ですか?』 『ええ、全然大丈夫ですよ。 来て下さい。 いつものようにしときますから』 本当にありがたいことである。
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29日朝、生名島に到着。 前日の強風が嘘のように治まり、瀬戸内らしい穏やかな海。 絶好のツーリング日和である。
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今日はお気に入りの定番、岩城島一周コースの予定。 潮を確認し、時計回りで一周することにした。
ユニクロのヒートテックの上に、薄いフリースのシャツ、そしてスカノラック。 薄い作業用手袋とニットキャップで漕いでいると、ジンワリと汗ばんでくるほどの良い天気。
休憩無しで約1時間。 岩城島に到着。
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クルマを洗っている人、スーパーに買い出しに行く人、帰省した人などなど、いつもの岩城島と違って人の気配が濃く、年末の慌ただしさと活気が感じられる。
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岩城島一周コースがお気に入りになっている理由の一つが、『よし正』 ここの日替わり定食、『よし正定食』が安くておいしいのだ。 また、夜にここを定期船で訪れると、おいしい料理で一杯という楽しみもある。
ただ今日は、前から気になっていたお店に行ってみる事に。 ターミナル内にある『レモンハート』
ここには最近、『レモン豚丼』というメニューが加わっており、一度試してみたいと思っていたのだ。
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運ばれてきたレモン豚丼は、ごはんの上に薄い千切りキャベツとソテーした薄切りの『岩城島名物、レモン豚』が載せられ、その上に目玉焼きが置かれて、ソースがかけられている。
目玉焼きの半熟の黄身を崩してレモン豚とごはんに絡めて食べると、これがロコモコ丼風でなかなかおいしい。
『ごちそうさまでした』 たまには、レモン豚丼も良いかも。
***
ターミナル内には、島の農家の方が作られた『岩城島特産のレモン』や野菜などが売られている。 今日の夜ごはん用に、『レモン豚の切り落とし』と『春菊』を購入。
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また、芋菓子で有名な『タムラ食品』を覗いてみると、見た事のない一品、『黒糖、芋かりんと』が。 『これ、ありましたっけ?』 若いお兄さんに聞いてみると、『新製品です』との事。
『評判はどう?』 『うーん、おいしいって言う人もいれば、普通の芋菓子の方が良いと言う人もいますね。 まあ試してみて下さい』 と言う訳で、芋菓子一袋と黒糖芋かりんとを二袋購入。 味は、帰ってからのお楽しみである。
***
浜に戻り、出艇の準備をしていると、ちいさい男の子と女の子を連れた若いお父さんが歩いて来られた。 挨拶を交わし、しばし会話。 出発の時には、3人が手を振って見送ってくれた。
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晴天の中、再び漕ぎ出し生名島へ戻る。 帰りは、抜けの良い景色を眺めながら、休憩無しの快適なパドリングで1時間と少しでゴール。
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最高の天気と海のコンディションに恵まれ、良い漕ぎ納めとなった。
***
天気予報では明日は昼前から天気が崩れて荒れると言う事なので、カヤックや道具を水洗いし、片付けていると、バイクに乗ったおじいさんが浜に来られた。 『こんにちは』と挨拶。 みると、大きなビニール袋を持って防波堤の上に置いてある海藻を集め始められた。
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『これ、畑に入れるんですか?』 『そう。 肥料にするんよ』 『昔は船を出して海藻を取りに行きよったそうですね』
『ほうよ。 せっかく浜に打ち上がってくるもんじゃけえ、今でも使いよる。 これを畑に入れたらええ野菜ができる』 『畑に撒くんですか?』
『まず雨にあてて塩を抜いて、それから畑に鋤き込むんよ。 土の上に載せるだけよりも、鋤き込んだ方がええ。 野菜の根っ子が海藻を巻き込むようにして成長しよる』 『なるほど。 そうやって海藻から栄養を吸収するんですね』
『またのう、海藻は少し塩が残っとるけえ、ナメクジなんかの虫があまり付かんのもええよ』 『そうですか。 お金も掛からんし、農薬もいらんし、それでおいしい野菜ができる。 こりゃあええですねえ』
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キャンプ場で自転車をお借りして港まで行き、そこに自転車を置いて因島へ。
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町を歩くと正月モードである。 もう、29日だものなあ。
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いつもの銭湯の暖簾をくぐり、お金を払って脱衣所へ。
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ガラリとガラスの引き戸を開けて浴場に入り、湯船をみると見覚えのある顔が。
おっちゃんも覚えていたのかニヤリと笑い、私もニコリと笑顔で挨拶。 『こんにちは。 また来ました!』 この方は、『前回、因島の銭湯で出会ったおっちゃん』である。 その時は、ヤンチャしていた時期の、波瀾万丈の一代記をおもしろおかしく聞かせていただき、二人で笑ったのだ。
今日も、名古屋に住んでおられた頃の話や、造船所関係の仕事の話、この通りの近くは『花街』だったことなどなどを聞かせていただいた。
『のう、兄さん。 この辺りは花街じゃったんで。 昔の花街いうたら別嬪さんがようけ居った。 今の飲み屋じゃいうたら、こーんな顔や、あーんな顔のおネエちゃんでも店に出とるがのう』と、手振り身振りを交えておもしろおかしく話をされる。
『まあ、いろんな所に住んで、いろんな事があったが、今じゃあみな、ええ思い出じゃのう』 こういう方が呟かれると、その一言に深みがある。
『いやあ、今日もありがとうございました。 じゃあ、先に上がります』 『おお、また会いたいの。 こっち来たらまた寄りんさい』 『はい、また来ます』 偶然の、そしてうれしい再会であった。
***
キャンプ場に戻り、管理人さんから最近の生名島や因島の様子などについて伺う。
夜は、釜炊きごはんと水炊き。 ホカホカつやつやの釜炊きごはんは、卵かけごはんにしていただく。 水炊きは、岩城島のレモン豚と春菊、そして豆腐。
水炊きを食べながらビールを飲み、焼酎を飲んで、独り静かな夜は更ける。
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2009年12月30日(水) 朝、生名島を出発。
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かなり工事が進んだ、生名島と佐島を結ぶ橋。
生名島から因島へと向かうフェリーは、クルマで満杯。 帰省なら逆のルートなのだが、管理人さんによるとこれは買い出しだとの事。 生協のスーパーくらいしかない生名島では、品数も少なく、値段も高いので、正月の準備などは因島や遠くは福山まで買い出しに行く人が多いのだそうだ。
*** 〆 ***
絶好の天気に恵まれ、お気に入りの生名&岩城エリアを漕ぐことができた『2009年の漕ぎ納め』 今年も様々な海旅&陸旅を楽しみ、多くの出会いに恵まれ、たくさんの貴重なお話を伺うことができた。 本当にありがたい事である。
またブログの方も、一週間に1度か2度しか書き込みせず、また1回分の文章がとても長いにも関わらず、多くの方に訪問いただいているようで、それもまた嬉しいことだ(訪問者数で100人~200人/日程度、ページビューだと150PV~450PV/日程度)。
2010年は、『旅する櫂伝馬プロジェクト』というワクワクする大きな企画も待っている。 来年も、ライフワークとなった『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を通じて、出会いに恵まれるといいなあ。 では、みなさんも良いお年を!